アパマンハムのムセンと車
2026年10月15日掲載
連載49回目となります。この原稿を皆さんがご覧になる時は、全市全郡コンテストが終わっています。3連休の初日から2日目にかけて開催されますので、コンテストで疲れた体をゆっくりと休むことができる時間がありますね。
昔は平気だった徹夜でのコンテスト参加、今では途中で休まないと脱落しそうですhi 皆さんも体調には十分注意して運用されてください。こうもアマチュア無線家の年齢層が上がると、国内コンテストでも休憩時間を入れないといけない時代なのかなと、考えさせられます。
さて、お空も気候も秋らしくなってきました。夜の時間も長くなってきています。秋の夜長を無線で楽しむ良い季節になりました。では今回も原稿を進めていきましょう。

秋の夜長といえば・・・
皆さんは、開局申請や再免許の申請、最近はどうされていますか? 今は総務省の「電波利用電子申請」を利用している方が多いと思います。書面申請よりも手数料が安く、スピーディーに手続きが終わるため非常に便利ですよね。
このシステムを使っていると、「そういえば昔は申請書にハンコを押して郵送していたな」と思い出しませんか? そして、ネットで申請した後に必ず求められるのが「ペイジー(Pay-easy)」という支払い方法です。
今回は、日本の役所から「ハンコ(認印)」が消えた歴史と、それに伴って普及した「ペイジー」の仕組みや使い方について、電子納税などにあまり詳しくない方にもわかりやすく深掘りして解説します。
1. ハンコ行政の終焉: なぜ役所の申請から「認印」が消えたのか?
昔は、アマチュア無線の免許申請をはじめ、役所に提出する書類には必ずと言っていいほど「印鑑(ハンコ)」を押す欄がありました。しかし現在、これらの多くで押印が不要になっています。これにはどのような背景があるのでしょうか。
●「テレワークの壁」がハンコ廃止を加速させた
大きな転機となったのは、2020年(令和2年)の新型コロナウイルス感染症の流行です。感染対策としてテレワークが推奨されましたが、「書類にハンコを押すためだけに出社しなければならない」という事態が社会問題化しました。これを受け、当時の河野太郎行政改革担当相の主導のもと、行政手続きにおける「押印の抜本的見直し」が急ピッチで進められました。その結果、全府省庁の手続きの実に99%にあたる約15,000種類の手続きで、押印が廃止されたのです。
●知っておきたい「認印」と「実印」の違い
ここで整理しておきたいのが、「認印」と「実印」の違いです。今回の行政改革で廃止されたのは、主に「認印」でした。

認印の例 100円ショップでもおなじみです

実印の例 実印は印鑑登録証明書とセットで使用します
●自動車の手続きも劇的に変化!
この「認印廃止」は、車好きの無線家の方にも身近なところで起きています。ちょっと余談にはなりますが、例えば、普通車の名義変更や新規登録には、財産としての価値が高いため現在も「実印と印鑑証明書」が必要です。しかし、軽自動車の名義変更や車検証関連の各種手続きにおいては、2021年(令和3年)から「認印」の押印が不要になりました。
これは普通自動車は国に所有権を「登録」する重要な財産(土地とかに近い感覚ですね)として扱われるのに対し、軽自動車は自転車や家電と同じ「一般の動産」として扱われるからです。
現在では、書類に名前を書くだけで済むようになり、行政のデジタル化・ペーパーレス化が自動車業界でも大きく進んでいます(法人の場合は代表者の役職と氏名も不要に!)。実際にはプリンターから出力した記名であっても、問題なく受け付けてもらえるので、サインという概念すらなくなっています。
ただし2025年7月より、所有権が付いている(所有者がローン会社やディーラーになっている)軽自動車のローンを完済しても、紙の所有権解除承諾書は発行されません。ここも電子化されており、車検証上の所有者が所有権解除の承諾を電子申請しない限り、名義変更等の手続きが行えないようになっています。これもハンコがなくなった影響と言われています。
現在、軽自動車でも高い車両は300万円近くになります(下記写真のスーパーセブンは例外中の例外で税込900万円オーバーです!)。もうこれは普通車の値段を完全に超えちゃってますよね。お金がないから軽自動車なのではなく、好きな車を選んだらそれがたまたま軽自動車だった、という認識なんだと思います。法律が追いついてないかもしれません。

例外中の例外 スーパーセブン 600 クラシックエディション (600 CE)
(ケータハムカーズ・ジャパンWebサイトより)
2. アマチュア無線の申請も「ハンコレス&ペーパーレス」の時代へ
このような国の行政改革の流れを受けて、アマチュア無線の手続きも劇的に変化しました。現在、紙の書面で申請する場合でも、申請書への押印(認印)は不要になっています。さらに「電波利用電子申請」を使えば、紙すら不要です。事前に取得したユーザーIDとパスワードでログインすること自体が「デジタル空間での本人確認(ハンコの代わり)」を果たしているのです。
そして、「申請がネットで完結するなら、手数料の支払いもネットで完結させよう」という流れで登場するのが、今回のもう一つの主役「ペイジー」です。
3. ペイジー(Pay-easy)の「仕組み」と「歴史」
ペイジーとは、一言でいえば「税金や各種料金を、パソコンやスマートフォン、ATMから支払うことができるサービス」です。

ペイジーのロゴ 見たことありますよね?
●どうやって瞬時に支払いが終わるの?
従来、お役所への支払いは「納付書を持って窓口に並ぶ」のが当たり前でした。しかし、ペイジーの裏側には「マルチペイメントネットワーク」という巨大な通信網が存在します。このネットワークが、総務省などの「収納機関」と、銀行などの「金融機関」を直接デジタルで結びつけています。あなたがペイジーで決済した瞬間、総務省へ「免許申請の手数料が支払われました!」というデータが瞬時に届くため、領収書の提出などが不要で、すぐに免許の審査プロセスへと進むことができるのです。
●ペイジーの歴史
ペイジーのサービスが本格的にスタートしたのは、今から約20年前の2001(平成13)年です。当時、日本政府は「電子政府」を推進していました。「ネットで申請できても、支払いのためにお役所や銀行の窓口に行かなければならないなら、意味がない」ということで、行政と金融機関が協力して作り上げた統一規格がペイジーです。今や、自動車税や確定申告の納税など、日本の行政手数料決済の大黒柱となっています。

電波利用料の納付にもPay-easyが使用できる
4. ペイジーの「具体的な使用方法」
それでは、アマチュア無線の電子申請システムで、実際にペイジーを使って支払いをする手順を見てみましょう。使うのは「3つの魔法の数字」だけです。
●ステップ1: 3つの番号をメモする
審査が進むと、総務省のシステムから「手数料を納付してください」というお知らせが届きます。メールに記載された納付情報のリンクから以下の3つの番号を確認し、メモやスクリーンショットをとります。
1. 収納機関番号(総務省を指す5ケタの番号です)
2. 納付番号(あなたの今回の申請に割り当てられた16ケタの固有番号です)
3. 確認番号(パスワードのような役割を果たす6ケタの番号です)
●ステップ2: 支払い方法を選ぶ
支払いが完了すれば、自動的に総務省へ通知が送られるため、こちらから連絡する必要はありません。あとは免許状が届くのを待つだけです(最近ここも変わりましたね! 免許状の発行がなくなったので、総務省からのメールを待つだけとなりました)。
なお、ペイジーを扱っている銀行と、そうではない銀行が別れていますので、インターネットバンキングができるからといって、必ずしもペイジーが使えるとは限りませんので、注意が必要です。詳しくはペイジーのサイト、若しくはお取引銀行のWebサイト等をご覧ください。
5. その他、アマチュア無線家が知っておくべき支払い方法
最後に、電子化が進む中で知っておきたい、その他の支払い手段についても触れておきます。
●クレジットカード・スマホ決済(電波利用料など)
政府は現在、キャッシュレス決済の導入も進めています。毎年かかる数百円の「電波利用料」などは、すでにクレジットカードやPayPayなどのスマホ決済で納付できるようになりました。ただし、決済手数料(システム利用料)が別途かかる場合があるため、金額によっては手数料無料のペイジーの方がお得なケースもあります。
●収入印紙
昔から無線を楽しんでいる方にはおなじみですね。書面(紙)で申請を行う場合は、今でも収入印紙を貼り付けて提出します。ただし、「電子申請+ペイジー」の組み合わせに比べて、書面申請は行政側の処理コストがかかるため手数料が割高に設定されています(例: 再免許の場合、書面は3,330円、電子申請なら1,700円)。

世の中で一番目にする収入印紙ですね
●JARL(日本アマチュア無線連盟)の会費支払い
行政ではありませんが、JARLの会費やQSLカード転送費用などは、クレジットカード決済やコンビニ決済が主流です。特にクレジットカードでの自動継続にしておくと、「うっかり払い忘れてQSLカードが届かなくなった!」という悲しいトラブルを防ぐことができます。

我らがJARLもクレジットカード決済ができます!
6. まとめ: デジタル決済を味方につけて快適なハムライフを!
いかがでしたでしょうか。「ハンコ(認印)の廃止」から始まり、「ペイジー」によるオンライン決済へと繋がる流れを知ると、面倒に思えた手続きも「社会が便利に進化している証拠」として少し面白く感じられるのではないでしょうか。
「ペイジー」は、アルファベットで難しそうに感じるかもしれませんが、要は「3つの番号を入力するだけで、銀行と総務省を直結してくれる安全で便利なシステム」です。
アマチュア無線は、常に最先端の技術と向き合ってきた趣味です。電波の技術だけでなく、こうした便利な電子手続きの仕組みも味方につけて、より快適でお財布にも優しいハムライフをお送りください。次回の申請手続きが、少しでもスムーズにいけば幸いです。
なおご意見、ご感想、ご質問等については、筆者である私宛(jf1kktアットマークgmail.com)へご連絡頂けますと幸いです。
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