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CQ CQ ・・・こちらは、8J3YAA/3体験臨時局です

アマチュア無線の従事者免許を持たない人でもオンエア体験ができる「体験臨時局」が、2020年4月21日施行の総務省告示により認められた。体験臨時局とは、無資格者の利用機会拡大の一環として「ワイヤレス人材の潜在層を増やすため電波の利活用の可能性や楽しさを体験する機会を増やすための制度整備」として一定の有資格者のもとで国民が電波を利用する機会の増大を図ることが目的とされて開局する臨時局である。

宇治市立北小倉小学校にて8J3YAA/3の体験運用

3エリア(近畿)では7月4日に大阪府池田市で初の体験局「8J3YAA/3」が開局し、アマチュア無線に興味を持たれた一般の方々が体験運用を行った。今回、その体験局が京都府宇治市立北小倉小学校(中野正彦校長)にて9月23日から10月9日まで運用された。


図工室に設置された臨時の8J3YAA/3

中学校、高校以上になると理科クラブや無線クラブなどでアマチュア無線を体験し免許を取得する人も多いが、小学校の課外活動の一つとしてアマチュア無線の実施を体験したのは全国でも稀だ。

この小学校で指導してくださったのは、同校で5年生のクラスを担当されている 杉浦先生だ。教師歴36年、アマチュア無線歴43年で、コールサインはJF3PLF。氏は日本の免許のみならず、米国FCCの免許も持ち、VE (Volunteer Examiner)としても活躍されている超ベテランのアマチュア無線家だ。こんな先生の下で授業を受ける児童たちはうらやましい。

この小学校で体験局8J3YAA/3を開局しようとしたきっかけはこうだ。通常5年生は、毎年1泊2日の林間学習があり、児童たちが校外で自然を楽しみ、友達との友好を深め、日ごろ学校ではなかなか学べないことをこの林間学習で学ぶのであるが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で宿泊がなくなり、何か特別なことを子供たちに体験させることができないかと先生たちが考えた末の取り組みだったそうだ。


10月7日、運用を体験された生徒たち(写真は加工しています)

校長先生は、「5年生担当の杉浦先生から今回の取り組みを提案されました。最初は児童たちが見知らぬ人とお話しするので大丈夫かと気になった」そうであるが、電波法のことやアマチュア無線のことなどを杉浦先生から説明を受けて安心したそうである。

その校長先生が電波法第59条のアマチュア無線家なら誰もが知っている例の文言、「何人も法律に別段の定めがある場合を除くほか、特定の相手方に対して行われる無線通信を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。」をご存じだったのには驚いた。

5年生の林間学習

さて、児童たちは10月2日の林間学習では近くの小高い山の展望台からCQを出して交信した。とはいえ、いきなり当日アマチュア無線を紹介しても児童たちは何のことかわからないこともあるため、それより10日ほど前からプリントにて児童たちに概要説明や先生が行うデモ交信でアマチュア無線に対する知識を付けていったそうだ。


アマチュア無線体験マニュアルを説明したプリント

無線機は、IC-7300Mとハンディー機のID-51で運用を楽しんだ。林間学習は学校の行事ではあるものの、地元の小学生が8J3YAA/3を運用するとあって、校区の「子ども見守り隊」のメンバーを含む宇治アマチュア無線クラブのメンバー達が現地まで応援に駆けつけて下さるという、うれしいハプニングもあったそうだ。

校内での体験運用

10月7日、2時間目と3時間目の間の中休みの20分間が体験運用をする時間となっている。2時間目の授業が終わるチャイムが鳴ると多くの児童たちは運動場に一斉に走り出て遊んでいる。体験運用をする5年生の児童5名と担当されるJF3PLF杉浦先生は図工室に集まってきた。子どもたちは元気だ。大きな声であいさつを交わし、臨時シャックを囲むように集まる。この日は誰がマイクに向かってしゃべるというのがあらかじめ決まっているらしく、その子は無線機の前に座り、その他の児童たちはマイクに向かってしゃべる子のヘルプをするのだ。

無線機はIC-7300M(50W)。アンテナは、オートマチックアンテナチューナーを使ったロングワイヤーアンテナである。校舎の3階から30mぐらいのワイヤーが取り付けられている。この日の運用は、7MHz、SSBだ。まずは、先生が無線機のメインダイヤルを回して空き周波数を探すのであるが、平日の午前中にもかかわらず、結構周波数は混み合っており、空いている周波数を探すのはひと苦労だった。


オートマチックアンテナチューナーを使ったロングワイヤーアンテナ

先生がCQを出し、応答があると先生は「8J3YAAは、免許を有しない者が運用する体験局である」ことの説明を相手局にし、そののちマイクを児童に渡すといった具合だ。そのうち、JA2の局とつながった。マイクを持っていない児童達は、相手の名前や話した内容をホワイトボードに書いていく。マイクを持った児童は、次に自分が送信するときは、そのホワイトボードを見て送信するといった協力体制ができている。SSBの聞きなれない音声も慣れてくると、間違わずにコピーしていたのには驚いた。


このようなテロップが準備されている


(左)コピーした内容をホワイトボードに書き込む。 (右)運用の様子(写真は加工しています)

児童たちの反応は

児童たちはみんな自主的に交信をやりたいと思っているので、とても楽しそうだ。携帯電話は、最近小学生も持っている時代になった。児童たちは、携帯電話は無線機と同じ原理であるとの認識は全くない。「携帯電話でも遠くの人とお話はできるし、この無線機も同じだよ。君たちは携帯電話でしゃべるときと無線機でしゃべるときでは何が違う?」と問うてみると、「携帯電話でしゃべる相手の人は知っている人ですが、無線でしゃべる相手の人は全然知らない人です」と答えていた。また、「電話でしゃべるときは緊張しませんが、無線機では緊張します」とも答えていた児童もいた。

「今回の体験運用は今週(10月9日)で終わりです。来週からどうする?」と尋ねると全員「もっとやりたい、校長先生、先生無線機買ってください」と盛り上がっていた。校長先生も担当の先生も児童の言葉にたじたじであった。

「それでは、無線の免許を取りたい人、いますか?」と尋ねたところ、全員「ハーイ」と力強く手を挙げたのには感激した。ARISSスクールコンタクトでは、無線体験も子供たちの興味ある一つであるが、むしろ宇宙や科学に関心が向いている子供たちが多いように思う。反面、8J3YAAのような体験運用は、ダイレクトに無線に対する関心というところに今回の総務省の取り組み「電波の利活用の可能性や楽しさを体験する機会を増やす」を感じた。今後も広がってほしい取り組みである。Enjoy wireless communications!

感想文の一部をご紹介



参考
FB NEWS 8月号ニュース「アマチュア無線体験運用の臨時局、各地で開設」

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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