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1.9MHz帯の一括記載コード「3MA」「4MA」にSSBなどが含まれる

総務省は8月19日付けの官報で「アマチュア局において使用する電波の型式を表示する記号を定める件の一部を改正する件」を告示した。1.9MHz帯の一括記載コード「3MA」「4MA」に、新たにSSB(J3E)、AM(A3E)、SSTV(F3F)、FAX(F3C)など9モードを追加するという内容だ。

さらに経過措置として、すでに「3MA」「4MA」の指定を受けている局は、改正後の「3MA」「4MA」で免許を受けたものとみなすほか、1.9MHz帯で「A1A」の指定を受けている局も「3MA」で免許を受けたものとみなすことが明記された。

この告示は即日施行されたため、1.9MHz帯のSSBモードを含む形で技適番号(技術基準適合証明、工事設計認証)を取得、または同一番号で技適を再取得した機種で免許を受けているアマチュア無線局は、この日から特別な手続きを行わずに1.9MHz帯のSSBモードなどの運用ができるようになった。


令和2年8月19日付 官報号外171号より関連部分を抜粋

ここまでの経緯と改正内容

今年4月21日の電波法改正で、1.9MHz帯のアマチュアバンドが拡張され、初めて「全電波型式」という使用区別が設けられ、このバンドでSSBやAMなどの音声系モードや、SSTV、FAXなどの画像系モードの運用も可能になった。しかしこれまで、同バンドに対応した無線局免許状の一括記載コード「3MA」と「4MA」にはこうした電波型式は含まれていなかった(「4MA」はF1B、F1D、G1B、G1Dの4モード。「3MA」はこれにA1Aを含んだ5モード)。

そこで総務省は、1.9MHz帯で新たに音声通信等を行う場合の免許手続きの簡素化を目的として、「3MA」「4MA」の一括記載コードに「J3E(SSB)」や「F3C(ファクシミリ)」「F3F(SSTV)」など9つの電波型式を追加する告示改正案を作成。電波法改正直後の4月25日から5月29日まで「アマチュア局において使用する電波の型式を表示する記号を定める告示の一部改正案に対する意見(パブリックコメント)募集」を行い、その結果を7月31日に公表した(8月1日号のニュース参照)。

この意見募集の結果をふまえ、総務省は告示の改正作業を進め、8月19日に総務省告示第242号として官報で公布した。

「3MA」「4MA」に含まれる電波型式(8月19日付け官報より抜粋)

★改正前


改正前の4MAはF1B、F1D、G1B、G1Dの4モード。これにA1Aを加えた5モードが3MAだった

★改正後


改正後は新たにA3C、A3E、D3C、F3C、F3F、H3E、J3E、J3F、R3Eの9モードが追加された

この改正で特筆されるのは、附則として「現在(SSBなどを含まない)一括記載コード「3MA」「4MA」で免許(または予備免許)を受けている局は、改正後の(SSBなどを含む)「3MA」「4MA」で免許(または予備免許)を受けたものとみなす」と、「1.9MHz帯のA1Aで免許(または予備免許)を受けている局は、改正後の(SSBなどを含む)「3MA」で免許(または予備免許)を受けたものとみなす」という経過措置が設けられている点だ。

この告示の経過措置(8月19日付け官報の附則欄より)


2 この告示の施行の際 現に3MAの記号による電波の型式が指定された免許又は予備免許を受けているアマチュア局は、この告示による改正後の規定による3MAの記号による電波の型式が指定された免許又は予備免許を受けたものとみなす。

3 この告示の施行の際 現に4MAの記号による電波の型式が指定された免許又は予備免許を受けているアマチュア局は、この告示による改正後の規定による4MAの記号による電波の型式が指定された免許又は予備免許を受けたものとみなす。

4 この告示の施行の際 現に1,910kHzの周波数においてA1Aの電波の型式が指定された免許又は予備免許を受けているアマチュア局は、この告示による改正後の規定による3MAの記号による電波の型式が指定された免許又は予備免許を受けたものとみなす。


総務省が意見募集の際に示した改正案には、「1.9MHz帯のA1Aで免許を受けている局も改正後の3MAで免許を受けたとみなす」という経過措置は盛り込まれていなかった。しかしJARLやアマチュア無線家個人から出された意見で、A1Aで免許されている局の救済を求める声が複数あり、これに応えた形だ。

なお、改正された告示は475kHz帯の3MA/4MAにも適用される内容となっているが、475kHz帯で使用できる電波型式は、平成21年総務省告示第179号で「A1A、F1B、F1D、G1B、G1D」と定められ、今回これが改正されていないことから、475kHz帯で運用できるのは今後もこの5モードのみとなる。

アイコムの現行機種は1.9MHz帯SSB/AMを含む技適を取得

すでに1.9MHz帯で「3MA」「4MA」の一括記載コードか、A1Aの電波型式が指定された免許/予備免許を受けているアマチュア局が、例えば新たに1.9MHz帯でSSBモードの通信を行いたい場合、使用する無線設備がすでに「1.9MHz帯 J3E」を含む形で技適を受けていれば、特別の手続きは不要で、すぐに運用可能となる。

アイコムの場合、1.9MHz帯でSSBやAMモードの運用手続きが容易になるように、同社製アマチュア無線機のIC-7100/M/S、IC-7300/M/S、IC-7610/M、IC-7700/M、IC-7850、IC-7851、IC-9100/Mについては「同一番号による技適の取得手続き」を完了している。さらに新製品のIC-705は、初回出荷時点から1.9MHz帯のSSBやAMモードを含む形で技適を取得しているので、こうした機種で1.9MHz帯の3MA/4MAまたはA1Aの免許を受けていれば、SSBモードなどの運用が免許状の範囲内で可能になる。


アイコムが1.9MHz帯SSBやAMモードを含む形で「同一番号による技適の取得手続き」を完了しているHF機(同社ホームページより)。このほかIC-705が初回出荷時点から1.9MHz帯SSBモードなどを含む技適を取得している

しかし、1.9MHz帯のSSBモードを含む形での技適番号取得が行われていない無線設備で免許を受けている場合は、(現に1.9MHz帯の3MA/4MAの指定を受けていても)、地方総合通信局に「1.9MHz帯で音声通信を行う」旨を記載した変更届を提出する必要がある。手続きについては、電子申請で可能か否かなど不明な点もあるため、むやみに問い合わせをすることなく、詳細が発表されるまで待つのが賢明と考えられる。

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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