From Steve's Workbench
アマチュア無線の世界では、「無線機は何台あっても困らない」と言いますが、一部の人にとってはアンテナにもそれが当てはまります。最初のアンテナを設置するときは、シャックには1本の同軸ケーブルが入り新しい無線機に接続されるだけです。そしてアンテナを増やすと、追加のケーブルがオペレートデスクに向かって蛇行します。やがてあなたのシャックは下の写真のようになり、バンドを変えることやアンテナを切り換えることが煩わしくなります。
幸いなことに、これは簡単な問題であり、解決策も単純です。アンテナスイッチとリレーは人気のあるアクセサリーで、「プラグアンドプレイ」と「自作用」の両方で多くのバリエーションが用意されています。私は、自作は楽しくて安価なDIYプロジェクトであり、より楽しい運用につながると思いました。
図1. 私のシャックはこれとほぼ同じで怖かったです。
数年前から7バンドを2本のアンテナで運用しています。2本の同軸ケーブルは、3ポジションのアンテナ切り換えのあるマニュアルATUに接続され、ダミーロード用に空いているポジションを使用できるようにしていました。
アンテナに情熱を燃やしたため、さらに自宅の屋根に新しいアンテナを建てた結果、ATUに接続しきれないほどの同軸ケーブルや制御ケーブルが蛇行するようになり、私のオペレートデスクはジャングルのようになり、アンテナを切り換えるのが一苦労となりました。私は、色々なバンドでSOTAアクティベーターやDXを追いかけることが好きなのですが、アンテナを切り換えることを簡単にして、その楽しみを取り戻したかったのです。
問題を解決するために、パッチパネルを製作しアンテナと無線機との接続を同軸ジャンパーケーブルで選択できるようにしました(図2)。これだと見た目はきれいに見えるのですが、ケーブルの抜き差しが必要で時間がかかりミスも発生しやすいのです。
図2 同軸ケーブルジャンパーパッチパネル
また、選択するアンテナの数が少ない場合は、手動式の同軸切り替えスイッチを使用することもできますが、パッチパネルも手動スイッチも、机上からケーブルをあまり移動させることはできません(図3)。
図3 手動式アンテナ切り換え器はシャックの整理整頓にお勧め
リモートアンテナ切り換えシステムでは、すべてのアンテナケーブルは操作位置から離れている中継ボックスまで来ており、アンテナは無線機の近くのコントロールボックスから選択することができます。中継ボックスは屋外のアンテナの近くやタワーに設置されることが多いようです。1本のケーブルで複数のアンテナに切り換えて給電できるため、高価な低損失同軸ケーブルを何本も配線する必要がありません。私の目的は、比較的短いアンテナケーブルを机上から遠ざけ、素早く切り替えることだけですが、基本的な考え方は同じです(図4)。
市販のリモートアンテナスイッチは、図5のような卓上スイッチと中継ボックスのようなシステムとして販売されているのが一般的です。また、10本程度のアンテナを手動または自動で選択できるような類似のシステムや、より凝ったシステムも多く存在しています。
図5 シンプルな市販リレーボックスと卓上コントローラー
周辺機器の価格は「ピンキリ」ですが、安価にシステムを構築できる選択肢もあります。今何が効果的か判断して将来個々のパーツを変更することも可能です。
リモートリレーボックスは最も重要な部品でしょう。もちろん、屋外で使用するため耐候性が必要です(図6)。同軸リレーを選択する際に重要なパラメーターは、挿入損失と絶縁です。また、安全のために未使用の回路を接地するものがほとんどです。定格電力などに応じて、オープンフレームリレーと密閉型リレーのいずれかを使用することができます。
図6 リモートリレーボックスを設置
図7a(左)、7b(右) 自作のためのリレーボード
自作派には、部分的または完全に組み立てられたリレーボードがインターネットから入手できます。中には1500Wまで対応できる高耐圧なリレーを使用したものもあります。図7aおよび図7bに例を示します。リレーと同軸コネクタは、標準的な屋外の電気ボックスに取り付けることができます。
コントロールボックスの運用時の選択は、主に手動でアンテナを選択するか、トランシーバーやリンクしたPCからのバンド情報を使って自動選択するかのどちらかです。市販のものは図5のような単純なものから、自動制御のためのバンドデコードを行うものまであり、複雑で高価なものが多いです。バンド選択方式は、八重洲とエレクラフトがデジタル(BCD)バンド信号、アイコムとケンウッドがDC電圧レベルという、大きく分けて2つの方式が存在します。ユニバーサルデコーダは、特殊なスイッチング出力をプログラムできるものや、リモートステーションを制御するために特別に設計されたものなどがあります。
最後の構成部品は、オペレーティングデスクとリモートアンテナリレーとの間の実際のリンクです。シンプルな手動コントローラーは多芯ケーブルを必要とし、他のコントローラーはシリアルデジタル制御(RS-232)を使用します。また、Wi-Fiやスマートフォンとの接続も可能です。
リモートアンテナセレクターを自作する場合、部品に特別な条件はありません。レイアウトも自由にでき、回路設計も入手可能な部品をベースにした非常にシンプルなものになるでしょう。
図8c 私の机の奥の壁にある中継ボックス。一番重い太いケーブルは無線機に繋がっている。
ケースの小さな開口部を除くとどのリレーが動作しているかがわかる。
手動切換器にせよリレーを使用する場合にせよ、低挿入損失、インピーダンスが一定、高絶縁性が望ましいのですが、HF帯での用途では妥協することが多いようです。多くのトランシーバーやリニアアンプでは、筐体のコネクタに直接配線した普通のリレーが送受信用に使われています。私は、レイアウトがきれいで広帯域に対応した、安価な5VのSPDTパワーリレーモジュール(図9a、9b)を使用しました。これは高周波用に設計されものではありませんがうまく機能し、フォトカプラなどのオンボード構成部品で構造を簡素化することができます。内部容量が非常に高くインピーダンスで問題になることがありますが、私は50Ωで最大500Wまでテストしました。図10は、ハイパワーリレーを使用した別の自作リレーボックスです。
図9a(左)、9b(右) リレーはヘッダ―ピンを1つ接地する事で動作します
図10 ハイパワー用に自作したリレーボックス
手動や自動のバンドデコーダは、1つのアンテナを複数のバンドに使うことは容易にできますが、あるバンドに対して複数のアンテナから1つか2つを選択し、カップリングネットワークで切り替えることはより困難です。そこで、リレーを手動で制御するシステムを設計しました。
壁掛け用のリレーボックスには、1960年代のポータブルトランシーバーキットに使われていたアルミケースを流用しました。クロームメッキの取っ手と革製のキャリングハンドルを外し、天板にMコネクタを9個とBNCコネクタを2個取り付け、内部にはリレーモジュール、DC電源、ダイオードマトリクス基板、コントロールコネクタを入れるスペースを確保しました。これで、すべてのアンテナ、ATU、ダミーロード、将来のアンテナ用(!)、リレー故障時の予備回路を収納することができました(図11、12)。
図11 リレーボックス内部。ダイオードはプリント基板上にある。
図12では、ほとんどの常時閉型リレー接点が共通のグランドバスに接続され、常時開型接点がトランシーババスに接続されている様子を示しています。個々のリレーの共通接点は、図10のユニットと同様に、最も近い同軸入力に接続されています。このため、トランシーバーに接続されるまでは、アンテナは接地されたままです。この回路については、設計が単純であることと、アンテナ切り換えのニーズが人それぞれであることから、詳しくは説明しません。浮遊容量が小さいですが目立ちます。50Ωのダミー負荷に対するVSWRは20MHzで1.1:1、30MHzで1.3:1で、いくつかの市販品ほどではありませんが、動作には影響がありません。
小型ボックス内の11ポジション、2組のロータリースイッチでリレーを制御し、リレーボックスとはCAT5ケーブルで接続されています。(図13a、13b)2つ目のスイッチデッキは、将来の機能追加を簡略化することができます。リレーボックス内のダイオードマトリックスにより、どのようなスイッチポジションでもリレーの組み合わせが可能です。2本の7MHzアンテナのどちらかを選択したり、マッチングネットワークを介してそれらを結合するために、5つのSPDTリレーと5つのダイオードが必要でした。Arduinoやマイコンをプログラムできれば、どんなカスタムリレー制御も可能です。
図13a(左)、13b(右) コントロールボックスと内部配線
机の上のケーブル類をすっきりさせ、アンテナ切り換えを簡単・迅速に行うという目的を達成しました。自動ではありませんが、片方の手でリグを操作し、もう片方の手でアンテナ切換器を操作しても構わないと思っています。リモートアンテナスイッチの設計と製作は、安価で楽しいプロジェクトで、私の運用を本当に便利にしてくれました。アンテナケーブルの切換が面倒な人は、この機能をシャックに追加することを強くお勧めします。
肌寒い沖縄から 73
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What a tasty time! ~グルメYLたちのGirl'sトーク♥~/第8回 番外編 春うらら♪豪華弁当でお花見、FB Monthly Fashion/第5回 ブラウス&シャツを使ったコーディネート、子供の無線教室/第5回 「周波数によって変わる、電波の特徴」を掲載しました
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