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前方に見える山々が大阪府と奈良県を分ける生駒山地
去る11月17日、アイコム株式会社(本社: 大阪市平野区、代表取締役社長:中岡洋詞、東証プライム上場)は、すでに8月のハムフェアに参考展示した144/430/1200/2400/5600MHz/(10GHz)をD-STARのDV/DD、ATVを含むオールモードでカバーする新製品IC-905を使い、大阪-奈良間でSHF帯の通信実験を行った。
今回の実験は大阪市平野区にあるアイコム本社の6階建ての屋上と奈良県にある同社ならやま研究所、またその付近の木津川市とを結ぶ2点間約25kmで行われた。一般的にUHF以上の高い周波数では電波の持つ直進性の特性で見通し通信が主流となるが、2点間通信の間に山が連なる場合は、電波の山岳回折が発生し、山で陰になるところとも通信ができることを実運用で確かめることであった。
地図画像: 地図データ(国土地理院)(https://www.gsi.go.jp/)をもとに月刊FB NEWS編集部作成
今回の実験では、そのため2点間のほぼ中央に見通し通信を遮る生駒山地を選んだ。実験に使われた無線機は、同社が発売を計画しているIC-905。通信実験に使われた周波数帯は5600MHz帯と10GHz帯。アンテナは両周波数ともメーカー製のパラボラアンテナであった。
UHF帯、あるいはそれ以上の高い周波数になれば、電波伝搬は光に似た直進性を持つことが知られている。今回のように見通しでない条件では通信不可となるのか、あるいは山頂がそれほど鋭利でもない生駒山系の山々が異常伝搬として知られる山岳回折をもたらすのか興味津々の実験となった。
実験は、アイコム本社側がJK3AZL、ならやま研究所および周辺の移動局をJL3ZABが担当して行った。JK3AZLはアイコム本社の屋上に無線局を設置し、移動局側はならやま研究所から北東に数キロメートルの生駒山頂が見通せる小高い丘の上に無線局を設置した。双方ともパラボラアンテナを地図とコンパスを使い生駒山頂に向けると簡単にお互いの信号を受信することができ、5600MHz帯および10GHz帯とも音声での通信ができた。
移動局側は、次にならやま研究所に移動して同様の実験を行った。ならやま研究所では、ロケーションの関係で生駒山頂を見通すことができず、5600MHz帯 CWでかろうじて通信ができた状態であった。残念ながら10GHz帯による通信は成功しなかった。
今回の実験で分かったことは、生駒山系のような比較的山頂がなだらかな山々でも山岳回折現象が発生することが分かった。反対に山頂が見えない場合は、通信は困難であることも分かった。
詳しい実験報告は2023年1月5日公開の新年特別企画でお伝えします。
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