新・エレクトロニクス工作室
この題名だと、何の事なのか良く解らないと思います。50MHzのAMトランシーバを自作しようと考えていたところから始まりました。AF部と電源部の実験は特に必要はないと考え、LA1600を使ったIF部の実験を行いました。生基板上に空中配線で試験回路を作っていましたが、この時にトラブルがあり少々悩んでしまいました。そこで急がば回れという事で考え直し、IF部のテストボードを先に作る事にしました。これで実験を行い、トラブルは解決しました。その流れでRF部のテストボードも作りました。これに電源とアンプとスピーカを接続して、受信機としての動作を確認しました。
確認したのは良いのですが、このように受信機としての試験まで進むとAF部と電源部がないと不便なのです。そこで後から作る事にした、写真1の「AF部&電源部テストボード」です。電源部は9Vや7.2Vのように電圧が可変できると便利ですし、送信用と受信用に切り替えられると更に便利と考えて作製しました。
写真1 このように作ったAF部&電源部のテストボード
このような流れなので実際にはIF部とRF部の後で作ったのですが、トランシーバはAF部から作るのが普通でしょう。そこで、このシリーズの最初として「AF部&電源部テストボード」を紹介します。本格的なトランシーバではなく、簡単な小型トランシーバの実験用というイメージです。ボード間の接続はブレッドボード等で使う写真2のジャンパーワイヤーを使用し、このようなボード間を接続します。最終的にはトランシーバまで発展させるのが目的です。
写真2 ボード間の接続には、このようなジャンパーワイヤーを使用
ジャンパーワイヤーでAF信号や電源線の接続するのは良いとして、RF信号とIF信号の接続は大丈夫なのかと心配になります。高周波ですので良いとは思えませんが、一応は問題なく動作しました。もちろん一番短いジャンパーワイヤーを使っていますが、特に同軸は使っていません。極細の同軸を使って、ジャンパーワイヤーを作っても良いのかもしれません。
更に、この先に避けて通れない問題となるのがIFのフィルタとの接続です。一番の問題となりそうですが、さらっと済ませてしまいました。この部分の紹介は次回にしたいと思います。
本格的に試験する場合には、実際の回路で試さないと解らない場合も多々とあります。例えば、TX→RXの切り替え時のポップノイズなどです。アンテナの切り替えの他に電源の切り替えも関わってしまいます。更にCPU制御が絡むと、このようなボードではどうしようもありません。まあ、送信機と受信機の回路が基本的に動作する、程度の確認と考えるのが良いのでしょう。切り替えのような部分は、テストボードでは実験し難いと思います。
最初に戻りますが、トランシーバの作り方には様々な進め方があると思います。何回も実験していると、同じような回路が多い事に気が付きます。全てを作るのは効率が悪いのです。そこで、なるべくブレッドボードのようにして作る事を考えました。ブレッドボードでも良いのですが、50MHzになるとさすがに厳しそうです。そこで、多少は高周波に対応できるように、専用のテストボードを組み合わせて進める事としました。
なお、今回は50MHzのAMをターゲットとしていますが、IF部とRF部は7Sタイプのコイルを抜き差しできるように作っています。50MHz以外でも応用可能ですし、IF部は別にSSB用のボードを作るという事も可能でしょう。このように、効率の良い実験を目標としています。但し、最終的に本当に効率が良かったのかについては、今のところ疑問もありますが・・・。
今回はAF部ですので、実際に使う回路と異なっても大きな問題はありません。もちろん理想的には違いますし、細かい問題は多々とあります。本来は全く同じ回路で実験するのが理想です。今回は簡単なAFアンプにしています。このボードの中で完結ができるように、スピーカも含めました。
このような考えで図1の回路としました。AFアンプとしては秋月電子のTA7368Pのキットでも良かったのですが、スペース的に入れる事ができず自分で作りました。手抜きができませんでした。レギュレータICにはLM317Tを用い、入力の12Vを2~9Vにするようにしました。実際にはもう少し広く出力します。この場合、100mAでは少ないと考え1.5Aタイプを使用しています。逆にこのような使い方ですので、ジャンプワイヤーの接続ミスも考えておくべきなのでしょう。すると100mAの方が良いのでは・・・ という考え方もあります。最終的に100mAを超えるか超えないかになりますが、超える場合を考えて1.5Aにしました。これは哲学になり難しい判断です。200mAがあれば使いたかったと思います。少なくとも、大元の電源に10A等を使うのは避け、実験用の小型電源を用意すべきでしょう。
電源入力は12Vとしています。この12Vを直接使用するのか、可変電圧側を使用するのかをジャンパーワイヤーで選択します。この電源を他のテストボードにもジャンプするように考えました。つまり、このボードが電源を分配する中心となります。
送信側と受信側の電源切り替えができるように、トグルスイッチで切り替えています。もちろん共通用の電源も必要です。ところが、このスイッチを使うようなTX部までは、まだ作っていません。作らずにトランシーバまで作ってしまったためです。そのため送信部では思いがけないトラブルに悩まされました。「これで大丈夫なはず」と思ってはいても、思わぬ落とし穴はたくさんあります。ワンステップ飛ばしたのは失敗でした。
図2のような実装図を作成してからハンダ付けを始めました。ハンダ面が図3になります。基板には普通のユニバーサル基板を使っています。秋月電子のBサイズの基板になります。VRは基板用を用いて外側から回すようにしました。これは手持ちの都合ですので、使用するVRによって異なりますので修正して下さい。このような使い方ですので半固定VRでも十分と思います。
ジャンパーワイヤーの受け側には「分割ロングピンソケット」を使っています。電源とアース以外に信号線にも使います。従って、全部に黒を使うと解り難くて仕方ありません。このため写真3のように黒の他に赤白緑黄を入手して、色の使い分けを始めました。もちろん写真4のように、基本的に電源は赤でアースは黒を使っています。しかし、このような約束も少々考え方の変更が必要です。つまり電源だけど、そのアース側の表示方法です。もちろん信号だけどそのアース側、という表示もあります。そこで写真5のようにAF信号には黄色のソケットを使いましたが、そのアース側には黒丸の印を付けました。この先のRF部やIF部では、電源なので赤ですが、黒丸付きはアースになります。色で分けるのは良いのですが、逆に面倒な部分も出てきてしまいました。
写真3 各色の「分割ロングピンソケット」を使用
写真4 基本的に電源は赤、アースは黒
写真5 黄色はAF写真5 黄色はAF信号で、黒丸がアース側
使用しているジャンパーワイヤーもソケットも2.54mm間隔仕様のものです。しかし間隔だけではなく、太さにも微妙な規格があります。購入する時には注意をする必要があります。私もピッタリ合っているのか良く解っていません。
スピーカは第1回目の「モールス練習用低周波発振器」と同じで、100均ショップで購入した写真6を使っています。コードは短くカットし、コネクタを自分で付けました。コネクタにしたのは、別のスピーカが使えるようにしたためです。小型ですのであまり音質が良いとは言えませんが、このような用途にはピッタリだと思います。スピーカの後ろ側を自分で閉じる必要もありませんし、両面テープで簡単に固定できます。
写真6 100均ショップで購入したスピーカを使用
ハンダ付けがほぼ終了した様子が写真7です。この時のハンダ面が写真8になります。ハンダ終了後には動作確認を行い、問題の無い事を確認します。スピーカを両面テープで固定し、テプラで表示を行ったところが写真9になります。
写真7 ハンダ付けが終了した部品面
写真8 そのハンダ面
写真9 このようにテプラで表示して仕上げた
一応このような基板だけですが、ハンダ部分が机上の線材と接触したりすると面倒です。実験でハンダ部分に触れたくない事もあります。そこで仕上げとして、B基板サイズ用のアクリル板を写真10のようにネジ止めしています。もちろん基板だけでも使えないという事ではありませんが、何らかの対策をしておくのが良いと思います。
写真10 このように専用のアクリル板にネジ止めして仕上げた
これだけだとAFアンプにプラスアルファ程度ですので、面白い部分は何もありません。もちろん、問題はなく正常に音声は出せました。可変電圧の出力や電圧の切り替えも問題なく正常です。もちろん、ここでトラブルがあっては困りますが・・・。
この先の実験に備えるための自作になります。従ってテストをする部分がないテストボードです。この先のIF部やRF部になると、テストする部分が増えてきます。とりあえずは50MHzのAM受信機までを、このようなテストボードを連ねて作ってしまおうと考えています。先々に、どこまで作るのか私にも解りません。
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