PHONEで楽しむQRP通信
2024年10月15日掲載
土地の高低を語るうえでまずは・・・。
「標高」と「海抜」について触れなければなりません。「標高」は東京湾の平均海水面からの高さをいいます。「海抜」は近隣の海面を0mとしてそこから計った高さをいいます。
現代では管理上の都合から双方とも東京湾の平均海面0mを基準として測定しているとことです。
昔から「○○と煙とHAMは高い所を好むとか好まないとか・・・」。我々HAMは遠距離とQSOしたいとき、見通し距離を稼ぐために高所での無線運用を好み、特にV/U帯の運用では強い傾向にあります。筆者も高所恐怖症ではあるものの、過去にあべのハルカス展望台等の高所で移動運用を実施しています。ただ、今回は人があまりやらないことを行うことが好きな筆者は逆に低い場所でのQRP運用に挑戦してみました。低い場所といっても漠然としているので、今回は「東京都23区内」に限定しました。今回の移動地は台東区と江東区(2か所)の合計3か所を1日でQSYしがらQSOしてみました。
今回は都内の移動ということもあり、使用期限が間近?(2026年3月31日)である未使用の交通系ICカード(東京駅開業100周年SUICA)を発掘? したので使用期限を忘れないうちにこれを活用しました。
東京駅記念SUICA
東京メトロ浅草駅
(1)待乳山(まつちやま)
最初に訪れたのは常置場所から東急線、東京メトロ銀座線を乗り継ぎ、台東区浅草です。ここには23区内の最低山・待乳山(標高9.8m: ネット検索では9.7mとか10m以下と言われています。)があり、頂上には待乳山聖天(本龍院)の本殿があり、その隅田川側に三角点があります。この山は隅田川のほとり、言問橋の近くにあります。移動した日は麓の町? 浅草ではサンバカーニバルが開催されていました。この山の頂上へは階段を登るほか、駐車場側からさくらレールという無料の登山電車(モノレール)も運行されています。このお寺でのお供物は「大根」であり、お供物のお下がりの大根は無料配布されています。
今回は参拝者に配慮してお寺の隅(駐車場へ向かう階段近く、三角点からは5mほどの距離)で石の柵の上にリグ(IC-705)を置いて出力5W、アンテナはRH770にて運用してみました。ちょうど隅田川や東京スカイツリーに向いた方向になります。運用はCQを出して144MHz SSBと430MHz FMとで1時間半程度の時間で実施しましたが144MHzではQSOができませんでした。しかし考えていた釣果を上回ったことは聖天様のご利益でしょうか。運用結果は以下の通りです。
言問橋01
言問橋02
待乳山聖天01
待乳山聖天02
さくらレール01
さくらレール02
さくらレール03
さくらレール04
本龍院本殿
お供物のお下がり大根
昔の眺望を描いた碑
三角点01
三角点02
三角点と運用場所
IC-705
IC-705と東京スカイツリー
(2)東武鉄道亀戸線「亀戸水神駅」
続いて、駅前QRVを行うため向かったのが、「亀戸水神駅」です。この駅は東京都23区内に存在する地上駅で最も低い場所ある駅です。海抜は「-2.3m」とのことです。ここでの運用方法はあべのスタイルで行いたいところですがあえてリグを地面においてQRVしてみました。IC—705の付属マイクはカールコードが長いのでリグを地面においても自身が立った状態でQSOが可能です。滞在時間は30分程度、430MHz FMでCQを出して3局とQSOができました。
東武・浅草駅01
東武・浅草駅02
曳舟駅で亀戸線へ乗換
亀戸水神駅01
亀戸水神駅02
駅周辺案内図
IC-705と亀戸水神駅
駅周辺案内図
亀戸水神駅構内案内図
(3)江東区大島(おおじま)6丁目
続いて炎天下の中、丸八通りを徒歩で1.6km程移動し、到着したのが江東区大島6丁目です。東京都23区では海抜の低い地域として「0m地帯」が有名? でその中でも「江東デルタ」という地域があり、最も海抜の低い場所が大島6丁目(海抜-3.9m)です。実際には丸八通り添いの学校付近になるそうですが、今回はこの丸八通りを挟んだ対面に公園があったので、この公園のベンチに座り運用をしました。海抜の話に戻りますがこの地域の最寄り駅になる地下鉄の大島駅の出入口には「海抜-2.2m」の表示が掲出されていました。なお、今年のハムフェア2024の会場・有明GYM-EX(江東区有明3丁目)の海抜は「5.3m」だそうです。
余談になりますが地元の品川区では「海抜表示」はいたる所で目に入ってきますが、今回、江東区では大島駅でしか見ることができませんでした。
大島6丁目での運用は1時間程度行い、144MHz SSBでCQを出している局2局と430MHz FMでCQを出して1局とQSOできました。144MHz SSBでは横浜市緑区の移動局が聞こえたのでQSOしようとしましたが、次のCQがなかったことでQSOできず、他に柏市の固定局のCQに応答するもサフィックスを取ってもらえず、QSOには至りませんでした。運用場所が低地かつ、高層建築物の谷間であったことから、QSOの難しさを痛感しました。丸八通り沿いの歩道で運用すれば通り沿いに開けていることから交信局数は増えたかもしれません。ここでの運用実績は以下の通りです。
運用した公園01
運用した公園02
最寄り駅の海抜表示
今回は、東京都23区内の最低山で運用してみましたが23区内にはまだまだ、低山(超低山標高200m未満)が存在しています。23区内最高峰の自然の山は港区の愛宕山(標高25.7m)が低山として有名でした。しかし、今回のように愛宕山より低い山の存在がわかったことで散歩のついでのお手軽運用もアリかなと感じました。ちなみに愛宕山より低い自然の山は以下になります。
北区・飛鳥山(標高25.42m)、大田区・佐伯山(標高25.13m)、北区・平塚山(標高23.38m)、荒川区・道灌山(標高23.34m)、台東区・大仏山(標高22.06m)、荒川区・新堀山(標高20.6m)、大田区・菱山(標高18.3m)、品川区・権現山(標高18.21m)、大田区・大倉山(標高15.15m)、そして今回の台東区・待乳山(標高9.8m)があります。
皆さんの身近なところにも、人工の山を含めると数多くの超低山はあると思われます。これから秋の紅葉の中、超低山で散歩ついでに(超低山であっても登山の装備が必要な場合もあるので山をなめることなく、予めのリサーチを忘れずに!)軽装備の無線機材でQRPプチ移動運用はいかがでしょうか。
QSLカード
9/24にCMの休暇をとり、JARL本部にて投函? してきました。JARL本部は東京都豊島区の大塚HTビル6階にあります。
テナント案内
JARL看板
QSLカード投函
出向いたついでに資料室で筆者のQRP運用の原点となるミズホピコトラに関して筆者開局前の資料? CQ誌掲載のミズホ通信の広告を閲覧してきました。
初代MX-6は1981年10月に掲載、翌1982年にはMX-2、MX-6Z、MX-15の3機種が販売されていました。1982年12月の広告には以下の告知がされており、このサービス(カラフルピコライン)を知らなかった筆者には新鮮な情報? でした。
衝撃な事実
★★★QRPプチ情報★★★
巷では、東海道新幹線開業60周年が話題となっています。
このことより、2024年12月22日(日)に
「QRPで楽しむWARC BAND 新幹線QSOパーティ」
を開催します。
このQSOパーティはJR各社とは関係はございません。
今回はこれでおしまいです。
PHONEで楽しむQRP通信 バックナンバー
アマチュア無線関連機関/団体
各総合通信局/総合通信事務所
アマチュア無線機器メーカー(JAIA会員)
©2024 月刊FBニュース編集部 All Rights Reserved.