Monthly FB NEWS 月刊FBニュース 月刊FBニュースはアマチュア無線の電子WEBマガジン。ベテランから入門まで、楽しく役立つ情報が満載です。

PHONEで楽しむQRP通信

第6回 コンテストやQSOパーティをQRP運用で楽しむ

JE1ECF 斎藤毅

2023年12月15日掲載

1. コンテストは交信の理にかなった遊び方

冬の時期になると夏場のようにEスポシーズンではなくなり、7MHz帯を除き、各アマチュアバンドは閑古鳥が鳴いているのは皆さんもご存知のことと思います。昨今は都内の430MHz帯でさえも交信相手を見つけるのに苦労します。

こんな時、交信相手を探すのに苦労せずQSOできるのがコンテストやQSOパーティではないでしょうか。普段QRVしていない方ともQSOするチャンスがあります。皆さんはアマチュア無線を知らない人からアマチュア無線で「どんな事を話すのか?」と聞かれ返答に困ったことがありませんか? 私は困ったことがあります。なぜなら、アマチュア無線の交信は「どんな内容を話すか」ではなく、「どの場所と交信できるか」が重要になり、相手のコールサインの把握とシグナルレポートの交換ができれば、交信が成立するからです。このことから特にコンテストはアマチュア無線の理にかなった遊び方の一つであると筆者は考えます。

少しコンテストの話から脱線しますが同様な考え方から巷では「FT8」が流行っています。しかし、筆者はこのFT8に対しては無機質感? を想像することから食わず嫌いとなっています。

話を元に戻します。通常のコンテストでは順位を競うことから、殺伐とした一面が伺えますが、これを好まない方はラグチューをしながら、のんびりとした感覚でQSOできるマラソンコンテストやQSOパーティがお勧めだと思います。

また、DXコンテストでは世界各国から多くの方が同時にQRVします。これにより普段コンディションが悪い場合でも、この時だけは電離層が刺激されるのか? 思いがけない場所とも安定してQSOできることがあるので珍局をゲットするチャンスもあります。

2. コンテストでQRVする

2023年11月は以下のコンテストでQRPによるQSOを楽しむことができました。

(1)QRPコンテスト【JARL QRP CLUB 主催】
2023年11月3日(金・祝)13:00~21:00JST
このコンテストの傾向は、7MHz帯CWは参加者が多く最終時間まで楽しめるようですが、その他周波数、モードでは開始から30分が勝負でそれ以降は参加者を探すのが大変になります。また、季節がらHF帯ハイバンドはコンディションがすぐれないので、同様に交信相手を見つけるのが大変とのことでHF帯ハイバンドを好む方からはJARLコンテスト周波数を使用せず、一般周波数で不特定多数とのQSOを対象にしたコンテストを望む声を聴くことがあります。

さて、筆者は主催するクラブ局のコールサインJQ1ZYG/1で50MHz帯SSBに5Wで参加しました。内輪なのでチェックログ扱いでの参加となりました

このコンテストのQSOで当該クラブ局のQSLカードを希望する場合は筆者のGmailにE-mailを頂けば、PDFデータのものを返信いたします。当該クラブはJARLの冠をかぶっているJARL東京都支部の登録クラブではありますがJARL会員ではないことから、紙カードのJARLビューロー経由でのカード発行はできませんのでご了承ください。

(2)第5回マラソンコンテスト【JL3YYKサバイバルハムクラブ 主催】
2023年11月10日(金)00:00~11月20日(月)23:59JST迄で開催された144MHz帯SSBに特化したマラソンコンテスト。この開催期間中、144MHz帯SSBはにぎわいますが、これが終わるとバンド内は閑古鳥が鳴き冬眠状態? となってしまいます。筆者は11/10初日に参加できなかったので連日QRVとはなりませんでした。常置場所にてRIGはFT-817 3W、ANTはGP-15で参加しました。

(3)第40回多摩川コンテスト【APOLLO HAM CLUB 主催】
2023年11月19日(日)13:00:00~14:59:59JST迄で開催された50MHz帯を活用したコンテスト。移動運用で参加しました。(詳細は後に記述)

(4)東京UHFコンテスト【JARL東京都支部 主催】
11月23日(祝)09:00~15:00JSTに開催されたUHF帯を活用したコンテスト。1200MHz帯にてRIGはTH-59 1W、ANTはGP-21で参加しました。

3. 移動運用で多摩川コンテストを楽しむ

今回は神奈川県川崎市中原区に移動してコンテストを楽しみました。昨年は晴れた日には富士山を展望できる東京都大田区ふれあいロード桜新道のベンチに座り、住宅街の隙間からQRVしましたが、今年はもっと開けた場所でQRVしたいと思い、中原街道丸子橋の橋上(中原区側)の歩道に数か所設けられた展望スペースにてQRVしました。当日は風もなく穏やかな日で移動運用日和となりました。当日の午前中、周辺では市民マラソンが開催されていたようです。また、眼下の河川敷ではアトラクションが設置されていました。

コンテストではRIGはIC-705 5W、ANTは自作1/2λホイップアンテナを使用し、小幌駅スタイルで運用しました。交信局数は38局でした。以前、144MHz帯SSBで運用したときはノイズが非常に気になりましたが、今回はあまり気になりませんでした。


最寄り駅・東急電鉄 新丸子駅


運用場所全景



今回使用したIC-705



今回も移動運用あるある事象である通行人からの話しかけがありました。別々のタイミングで3名から話しかけられました。うち2人は外国の方でお一人は「OH! AMATEUR RADIO? スバラシイネ。」の一言を。もう一人は「IC-705?」と言いながらポケットからID-52を取り出してきました。この方はARRLとの相互運用協定でJK1のコールで開局をしたが、日本語がむずかしいのでもっぱらCWとFT8を楽しんでいるとのことでした。前者の外国の方もハムだったかもしれません。こういったちょっとした出会いも楽しいですね。

4. QRPに特化したコンテストやQSOパーティを企画する

筆者は、コンテストに参加することにとどまらず、これまで「こんなことをやってみては面白いのでは?」と考え、QRPで参加するコンテストやQSOパーティの立案、企画、運営も行ってきました。

何かの記念にひもづけて開催することでテーマを掲げ実施してきました。以下、過去に開催したものを紹介します。

(1)ミズホ ピコトランシーバ30周年記念QSOパーティ
【きゅうあ~るぴぃ~コミュニティ 主催】 リンク先
かつて、QRPの代名詞といえば、ミズホのピコトランシーバ(ピコトラ)でした。

ピコトラファンである筆者は無線雑誌のピコトラ特集を読み返しているときにこのリグの発売が1981年であることが目に入りました。時は2010年でその翌年は2011年であり、ちょうど生誕? 30周年になることに気がつき、所属する当該クラブへ話を持ち込み、2011年6月11日~12日で開催の運びとなりました。開催に際し、JA1AMH高田OMにも声かけたところ、条件付きで協力を得ることができました。条件とはピコトラの最大のコンセプトは「手のひらサイズの小型SSB、CW機」でありましたが、当該QSOパーティで使用するトランシーバに「Pシリーズ・卓上CW機」を追加することでした。当時は「Pシリーズ・卓上CW機」をピコトラと思い込み愛用するユーザーが多く、これらユーザーも楽しめるものとしてほしいというものでした。高田OMのユーザーに対する思いやりにふれることができました。

このQSOパーティは運営をクラブで実施しましたが、これがのちに色々なイベントを企画・運営することの原点となりました。

(2)ヘンテナデビュー40周年記念 第33回全市全郡コンテスト併設 ヘンテナユーザーQRPコンテスト
ヘンテナは1972年にJE1DEU染谷OMが発案し、染谷OMが所属していた相模クラブにおいてJH1FCZ大久保OMを筆頭に開発が行われたアンテナです。

JH1FCZ大久保OMの執筆した書物を読んでいた時に1972年から今年は2012年だから生誕40周年かと思いつつ、筆者が立案したのがこのコンテストです。とりあえず、JH1FCZ大久保OMにこの話を持ち掛け、氏を介して相模クラブに了承を取り、開催の運びとなりました。開催は2012年10月6日(土)9:00~2012年10月7日(日)21:00JSTの期間、運用周波数は第33回全市全郡コンテストに準じて開催しました。なお、このコンテストでは原理の異なるSKYDOORアンテナの使用は対象外としました。

昨年2022年は生誕50周年ではありましたが、年間3つのイベントを取り扱うことはむずかしかったため節目である50周年での開催は断念してしまいました。


筆者が当時使用したフォークヘンテナ

(3)ミズホ製品でQRVしよう。JA1AMH 追悼 QSO WEEK
この年の2月にSKとなったJA1AMH高田OMを追悼する意で開催したものです。高田OMの生み出した、氏のセカンドともいえるミズホ製(サンテック、JIM製を含む)のトランシーバをQRPで運用することで氏を追悼しようというものでした。

開催は6/17のQRPデーを含む2016年6月13日(月)0000~2016年6月19日(日)2400JST。奇しくも、この年はピコトラ生誕から35年目でした。

(4)FT-817(ND)、FT-818NDユーザーQSOパーティ
2018年に販売となったFT-818NDを取り上げ、翌年2019年の8/17、18が土日であったことから立案・運営を行い、開催したQSOパーティです。事前にメーカーに企画を持ち込み、了承を得て協賛してもらえることになり実現したQSOパーティです。2023年も8/17、18はFT-817/818の日とし、略称を「FTパーティ」として継続開催しています。

参加賞や副賞をメーカーからご提供頂いています。第3回開催時には株式会社西日本電子(ハムショップマッコイ)様からも協賛いただきました。2023年の結果はただいま集計中です。しばらくお待ちください。


デニムを纏った筆者のFT-817


ハムショップマッコイ様からの協賛品(第3回)

(5)ミズホ ピコトランシーバ デビュー40周年記念 QSO WEEK
過去に行ったものの継続の開催です。開催は2021年6月12日(土)00:00~6月20日(日)24:00JSTでした。

参加賞は「はやり病」を受けてピコトラをモチーフとしたマスクを参加者に進呈しました。また、CQ出版社に許諾をとることでHAM Journal誌のピコトラ特集の一部を関連資料としてJARL QRP CLUB HPへ掲載することができました。サプライズとして筆者が使用することのない14MHz帯ピコトラ・MX-14Sを無料で進呈することを参加者に告知しましたが希望者はいませんでした。


参加証とピコトラ・デザインマスク

(6)祝 IC-705 販売1周年記念 QSOパーティ
開催日時をリグ名称と掛け合わせて実施したQSOパーティです。販売時期が遅延したことで7/5の週に開催するには宣伝期間がなかったことから1年先送りで開催しました。開催は2021年7月1日(木)00:00~7月5日(月)24:00JSTでした。(4)項のQSOパーティと同様に事前にメーカーに企画を持ち込み、了承を得て協賛してもらえることになり実現したQSOパーティです。参加賞や副賞をメーカーからご提供頂いています。初回の開催では株式会社西日本電子(ハムショップマッコイ)様からも協賛いただきました。次年度からは名称を「IC-705ユーザーQSOパーティ」、略称をICパーティと改め、継続して開催しています。2023年の結果はただいま集計中です。しばらくお待ちください。


筆者所有のIC-705オープニング画面


メーカー協賛品の一部(初回)


ハムショップマッコイ様からの協賛品(初回)

(2)~(6)項のイベントはJARL QRP CLUB 主催として実施しています。リンク先

5. 今後開催予定のコンテスト・QSOパーティ

来年以降もFTパーティやICパーティは継続実施の予定です。これに加えて2023年4月に開業50周年を迎えたJR武蔵野線を題材にして、多摩川コンテストを参考にしたQRPコンテストを開催します。多摩川コンテストの事務局からはすでに口頭ではありますが承諾を得ています。開催時期が1年近くずれ込んでしまいましたが2024年2月開催します。皆さんの参加をお待ちします。なお、このイベントは東日本旅客鉄道株式会社とは関係はありません。規約は以下に記載します。

QRP PHONEで楽しむJR武蔵野線コンテスト 規約
※東日本旅客鉄道株式会社との関係はございません。

【主催】 東京QRPers

【日時】 2024年2月25日(日)13:00:00~14:59:59

【資格】 QRP(出力5W以下)で運用する国内のアマチュア局

【周波数】 50MHz帯(AM/SSB/DSB: 50.350~51.000 FM: 51.000~52.000)
      144MHz帯(AM/SSB/DSB: 144.250-144.500 FM: 144.750-145.600)
      430MHz帯(AM/SSB/DSB: 430.250-430.700 FM: 432.100-434.000)

【部門】 沿線地域50MHz(コードナンバー: M6)
     沿線地域144MHz(コードナンバー: M2)
     沿線地域430MHz(コードナンバー: M7)
     沿線地域外50MHz(コードナンバー: X6)
     沿線地域外144MHz(コードナンバー: X2)
     沿線地域外430MHz(コードナンバー: X7)

  • 注1: マルチバンド部門の設定はございません。周波数帯毎にエントリーをお願いします。
  • 注2: 個人局と社団局の区別は行わない。個人局による参加はゲストOP禁止。
  •   社団局による参加はシングルオペレータによるもののみとする。
  • 注3: 沿線地域: JR武蔵野線および武蔵野南線の旅客扱いのある駅、信号所、
  •   貨物ターミナル駅等が所在する市区
  •   沿線地域外: 沿線地域以外の地域

【コンテストNR】 RS+市区等略号
        ※例: 府中市で運用の場合、「59 FC」。

【市区等略号】   府中市: FC
       国分寺市: KB
       小平市: KD
       東村山市: HM
       所沢市: TZ
       新座市: NZ
       朝霞市: AK
       さいたま市桜区: SK
       さいたま市南区: MN
       さいたま市緑区: MD
       川口市: KW
       越谷市: KG
       吉川市: YK
       三郷市: MS
       流山市: NY
       松戸市: MT
       市川市: IK
       船橋市: FB
       横浜市鶴見区: TR
       川崎市幸区: SW
       川崎市宮前区: MM
       沿線地域以外: X

【呼出し】 「CQ 武蔵野線コンテスト」

【得点】 1交信1点

  • 注1: 同一の呼出符号の局とは同一周波数において、全てのモードを通じて
          最初の交信のみを得点とする。ある局と最初にSSBで交信し、その局と
          後刻FMで交信した場合には、SSBの交信を得点計上し、FMでの交信は
          重複交信とする。周波数が異なれば、同一の呼出符号の局との交信は
          有効である。
  • 注2: 沿線地域外同士の交信も得点計上できる。ただし、周波数ごとに必ず全体
          で1局は沿線地域の局との交信を含むこと。

【マルチ】 異なる沿線地域内の市区町およびそれ以外の地域の1マルチ
     (最大22マルチ)

【総得点】 (得点)×(マルチ)

【締切】 2024年3月15日

【書類提出】 JARL形式のものを下記へE-mailで提出(JARL電子ログ提出
      要項に準ずる。※サマリシートはVERSION=R1.0)
      ※メール本文にテキスト貼り付けでお願いします(添付不可)

【提出先】 E-mail: mail_je1ecf(アットマーク)ymail.ne.jp
     ※(アットマーク)は@に置き換える。

【その他】 各部門優勝者に記念品を贈呈(予定)します。
     問い合わせは提出先にE-mailにて。
     結果発表はE-mailにて返信します。

★★★QRPプチ情報★★★

QRP通信を楽しむための団体「東京QRPers」を発足します。
引き続き、クラブ員(発足メンバー)を募集します。

以下を目的とするQRP通信に関わるグループ(クラブ)を立ち上げます。
 「アマチュア無線QRP通信(QRV)」を楽しむ。
 「アマチュア無線の運用」により,クラブ員の親睦を計る。
 「ロールコール」などを実施してクラブ員同士の情報交換を行う。

都内在住で参加希望、興味のある方はJE1ECFまでご連絡ください。

 Email: t.saitoje1ecf(あっと)gmail.com
 ※(あっと)は半角@マークに変換。

表題を【東京QRPers問合せ コールサイン】として送信してください。

次号をお楽しみに

PHONEで楽しむQRP通信 バックナンバー

2023年12月号トップへ戻る

サイトのご利用について

©2024 月刊FBニュース編集部 All Rights Reserved.