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テクニカルコーナー

D-STARを楽しむためのUSB超入門 ~スマホ機種変したらRS-MS1AもRS-MS3Aも使えなくなった!?~

JK3AZL 高岡奈瑞

D-STARもスマートフォンも年々進化し楽しさが広がっていますが、2016年夏頃から「スマホの機種変更をしたら画像伝送できなくなった」「アクセスポイントモードが使えなくなった」の声が寄せられるようになりました。そこで、今回は「USB接続してD-STARを楽しむ」にテーマを絞ってご紹介いたします。

USBとは?

USB(ユニバーサル・シリアル・バス)は1996年に登場した汎用シリアルバス規格で、USBケーブルを介してデータ転送できる他、周辺機器に電力供給する仕組み(バスパワー)も備えていることから、現在では様々な家電やパソコン周辺機器にUSBコネクタが搭載されるようになりました。


左はパソコンなどに接続する 標準Aプラグと、右がプリンタなどに接続する標準Bプラグ。ホスト側とデバイス側でプラグ形状が異なっている。

周辺機器の小型化と共にUSBコネクタも小型化し、さらにA・Bどちらにも対応した共用コネクタの登場で、1本のケーブルをホスト側にもデバイス側にも差し込めるようになりました。ただしパソコン以外の機器が「ホスト」として動作するためには、ある条件が必要です。

ID-51をケーブル接続するには、スマホ側にUSBホスト機能(OTG)が必要

スマートフォンをパソコン(=ホスト)に接続すると、スマートフォンはパソコンに対する「デバイス」として認識され、パソコンとデータの同期が可能になります。しかしスマートフォンにキーボードやマウスなど市販のUSB機器(=デバイス)を接続して使うには、スマートフォンが「親(=ホスト)」として動作する必要があり、これを「USBホスト(OTG)機能」、接続に使うUSBケーブルを「USBホスト(OTG)ケーブル」と呼びます。USBホストケーブルと、スマートフォンに付属している充電・データ転送用ケーブルや充電専用ケーブルとは内部配線が異なっており、目的に合った正しいケーブルを使わなければ、スマートフォンは思うように動作してくれません。


OPC-2350LUのマイクロUSBケーブルの配線は、普通のUSBケーブルと異なる。

マイクロUSBケーブルの配線

マイクロUSBケーブルの配線は、下記のようになっています。
1番 電源用(VBus )
2番 データ転送用(D-)
3番 データ転送用(D+)
4番 識別用(ID)
5番 電源用(GND)


同期・充電用マイクロUSBケーブルの配線(USB2.0)

スマートフォンに付属しているマイクロUSBケーブルや、「同期・充電用」として販売されているマイクロUSBケーブルは上記の配線になっており、このケーブルを使うと、スマートフォンはパソコンに対する「デバイス」として動作し、充電やデータの同期が可能になります。


充電専用マイクロUSBケーブルの配線

「充電専用」として市販されているマイクロUSBケーブルは、上記のように電源供給用の1番と5番しか配線されていないため、スマートフォンとパソコンをこのケーブルで接続しても、データの同期はできません。(データ転送用2番+3番を短絡したものもあり)


USBホストケーブル(OTGケーブル)の配線

USBホストケーブルはマイクロUSBプラグの4番と5番が短絡しており、USBホスト機能のあるスマートフォンがこれを検出すると、「デバイス」ではなく「ホスト」として動作するようになります。ID-31やID-51とスマートフォンをデータ通信ケーブルで接続してRS-MS1AやRS-MS3Aなどのアプリが楽しめるのは、データ通信ケーブルのスマートフォン側の配線が上記のようになっているためです。

ところが2016年夏頃から、これまでのマイクロUSBとは形状が異なる「USB Type-C」を搭載したスマートフォンが増えてきました。その影響で「スマホの機種変更したらデータ通信ケーブルが挿入できない」「変換コネクタを買ったがケーブルが認識しない」の声が寄せられるようになりました。

新規格のUSB Type-Cとオルタネートモード

USB Type-Cは、2014年夏に登場した、これまでのUSBの形状と異なる新しいコネクタで、マイクロUSB同等の小型サイズながら、上下の向きを気にせず使えるリバーシブル設計、給電能力アップ、デバイス間接続、機能追加など、さまざまな使い方に対応できる画期的な仕様です。


USB Type-Cのピン配列。どちら向きにも接続できる構造になっている。

USB Type-CはマイクロUSBで使われているUSB2.0規格の信号を2本分同時に配線できるようになっており、上下逆さまに挿入しても動作するようになっています。またUSB Type-Cの仕様には「オルタネート(Alt)モード」と呼ばれるオプション機能があり、ハイスピードパスを利用して映像信号を伝送できる他、接続された機器がホストまたはデバイスのどちらとして動作するかの制御を切り替えたりできるようになります。ただしオルタネートモードを利用するには、ケーブル内に認識用のチップ(E-Marker)が組み込まれている必要があります。


NTTドコモのスマートフォン、Xperia Z3 SO-01G(2014年冬春モデル)とXZ SO-01J(2016年冬春モデル)


上はXperia Z3のmicro USBコネクタとXperia XZのUSB Type-Cコネクタ。コネクタの大きさは似ているが、形状が異なるのがわかる。なお下はGALAXY S5(2014年夏モデル)に搭載されたUSB3.0規格のmicro USBコネクタ。

USB Type-C規格のコネクタを搭載したスマートフォンにデータ通信ケーブルを接続し、スマートフォンを「ホスト」に切り替えるには、USB Type-C変換ケーブルがオルタネートモードに対応している必要がありますが、USB Type-Cコネクタを単純に「抜挿リバース」「抜挿耐久性アップ」目的にUSB2.0として搭載しているスマートフォンもあり、オルタネートモード非対応のUSB Type-C 変換OTGケーブルも市販されているので、使用する際には十分注意が必要です。


USB Type-Cを変換するためのコネクタやケーブルはいろいろあるが、スマートフォンが「ホスト」に切り替わらなければ無線機やマウスなどのデバイスは使えない。


変換コネクタを使ってデータ通信ケーブル(OPC-2350LU)を挿入しても、スマホが「ホスト」にならなければケーブルは認識されない。

困ったことに、市販のUSB Type-C変換ケーブルに「オルタネートモード対応」と記載された商品が見つかりません。「OTG」と記載された変換ケーブルを使ってもスマートフォンがホストに切り替わってくれないなど、試行錯誤が続きました。もちろんスマートフォンと無線機をBluetoothで接続すればRS-MS1Aは動作するのですが、アクセスポイントモード用のアプリ(RS-MS3A)はケーブル接続が必要なので、なんとしてもUSB Type-Cに接続できる変換ケーブルが欲しいところです。


Bluetoothを利用すれば画像伝送などができるアプリ(RS-MS1A)と接続できるが、アクセスポイントモードが使えるアプリ(RS-MS3A)はケーブル接続のみで動作するため、なんとしてもケーブル接続したい。

そこで「スマホでUSB機器を使う」をキーワードに検索してみると、ようやく使えそうなアダプタが見つかりました。


ミヨシ製「切り替えて使えるUSB Type-C対応ホストアダプタ」。 「ホスト機能対応のスマホ/タブレットでUSB機器が使える」便利なアダプタである。


「USB Type-C対応ホストアダプタ」を介し、データ通信ケーブル(OPC-2350LU)でID-51PLUS2と接続したXperia XZ。 スマホがホストに切り替わり、アプリが動作しているのがわかる。

最後に

アマチュア無線を楽しむ人々を表す言葉に、DX’erやコンテスターといった呼び名がありますが、デジタルやプログラミング、ネットワーク技術も含め、新しい技術を積極的に取り入れながらアマチュア無線を楽しむ人たちのことを「TECH系HAM」と呼ぶそうです。D-STARやSNSを通じて国内外のTECH系HAMな先輩方と交流させて貰っていますが、彼らの興味対象の広さには、いつも感心させられます。

D-STARはもちろん、電子機器やインターフェースの進化はめざましいものがありますが、新しいモノに出会った時のワクワク感は一生持ち続けて行きたいと思っています。

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