Monthly FB NEWS 月刊FBニュース 月刊FBニュースはアマチュア無線の電子WEBマガジン。ベテランから入門まで、楽しく役立つ情報が満載です。

子供の無線教室 ~電波のフシギをやさしく学ぼう~

最終回 「アマチュア無線の免許を取ろう!」

月刊FBニュース編集部

このコーナーは小学生のキミたちに電波や無線のふしぎなところ、面白いところを知ってもらうために毎月連載しているよ。バックナンバーも読んでみてね。

さて、この連載も今回がいよいよ最終回だ。これまで電波の歴史や基礎知識をいろいろ紹介してきたけれど、最後は「アマチュア無線技士の資格を取って、キミも電波を出したり、世界中の人と交信したりしてみよう!」というお話をしよう。

キミたちがこの連載を読んで「電波って面白そう!」とか「ボクも電波を出してみたいな」「誰かと無線で交信してみたい」という気持ちになったら、電波を使って楽しむ趣味、アマチュア無線(ハム)を始めることをオススメするよ。


短波の7MHz帯で交信中のアマチュア無線局(電子情報通信学会の創立100周年記念局、8J100EIC)。日本中のハムから次々に呼ばれていた


カラフルなハンディタイプのアマチュア無線機もある。「D-STAR」というデジタル通信システムに対応し、インターネット回線に接続された中継局を経由して世界中と交信できるスグレモノだ

アマチュア無線は、電波や無線に興味のある人が、商売やお金儲けのためではなく、趣味や技術的な研究として楽しむための制度なんだ。始めるためには「アマチュア無線技士」という国家資格が必要になるよ。

資格を取ったら、無線機を手に入れ、「アマチュア無線局」の免許をもらうことで始められる。日本にはアマチュア無線技士の資格を持つ人は340万人もいて、小学生や中学生でも楽しんでいる人はたくさんいるんだよ。

アマチュア無線は、その昔、大先輩たちが、短波帯が遠距離通信で実用になることを発見した努力が認められて、電波の世界では大切に扱われているんだ。アマチュア無線に使うことが許されている周波数(アマチュアバンド)は、下は長波の135kHz帯から、上はミリ波の248GHz帯まで、とっても多くの周波数が割り当てられているのもその証だよ。

送信できる電波の強さは資格によって違うけれど、入門用の「第四級アマチュア無線技士(4アマ)」で最大20ワット、最上級の「第一級アマチュア無線技士(1アマ)」では無制限(実際は最大1キロワット=1,000ワットまで免許されている)と、とってもパワフルなんだ。

アマチュア無線の楽しみいろいろ

アマチュア無線の楽しみ方はたくさんあるよ。そのいくつかを紹介しよう。

●自分の無線機を使って、遠くの人と交信できる
アマチュア無線機を使って「CQ、CQ(誰でも良いので応答してください、という無線用語)」と呼びかければ、その電波を受信した“誰か”が応答してきてくれる。どこの誰とつながるかは応答があるまでわからない。そのドキドキ感や、遠くの人から応答があったときの「やった、ボクの電波がこんな遠くまで届いたぞ!」という感激は、キミをヤミツキにするだろう。

●世界中のハム仲間と知り合うことができる
日本のアマチュア無線局数は約43万局で世界第2位だ。世界第1位はアメリカで約75万局。そのほか、世界中ほとんどの国でアマチュア無線は許可されている。電波状態の良い日なら、朝はアメリカやブラジル、昼はオーストラリア、夕方からはドイツやフランス…といった感じで、世界中のハムとリアルなおしゃべりができることがある。この楽しさを味わって欲しいな。

●国際宇宙ステーションの宇宙飛行士とも交信できる!?
地球上空を周回している「国際宇宙ステーション(ISS)」にもアマチュア無線の資格を持つ宇宙飛行士が何人も滞在しているよ。


地球上空約400キロメートルを周回している国際宇宙ステーション(ISS)。アメリカとロシアを中心にさまざまな国の宇宙飛行士が滞在している。内部にはアマチュア無線機も装備されている(写真©JAXA/NASA)

宇宙飛行士と世界の子供たちがアマチュア無線を通じて交信する「ARISSスクールコンタクト」という教育プログラムもよく行われていて、交信スケジュールは公開されているから、キミの家でISSからの電波を受信することもできる。もしキミの学校でARISSスクールコンタクトが行われることになったら、宇宙飛行士と交信できるチャンスだ!!


ISSの宇宙飛行士と子供たちが交信する教育プログラム「ARISSスクールコンタクト」は世界中の小中学校などで開催されている。この写真は2015年7月に山口県で開催された「第23回世界スカウトジャンボリー」で行われた際のもの

中には、自分の休憩時間にISSのアマチュア無線機を使って「誰でもいいから交信してください!」と、突然“CQ”を出す宇宙飛行士さんもいるから、家から“アポなし交信”ができるかもしれない!? 日本でもそうしたチャンスに交信できた一般のハムがいるんだよ。

●カッコいい! モールス通信もできる
短い「トン(ト)」という音と、長い「ツー」という音の組み合わせで文字を送るモールス通信は知っているかな? このカッコいい通信も「第三級アマチュア無線技士(3アマ)」以上の資格を取れば楽しめるようになるよ。音声を使った交信よりも小さい送信出力でも遠くと交信できるのが特徴だ。

通信に必要なモールス符号は、一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL)のWebサイトに掲載されているよ。国際的に使われている、アルファベット(欧文)と数字なら、1か月もあれば覚えてしまえるはずだ。3アマの資格を取るときに備えて、今から少しずつ勉強していこう。


「電鍵(でんけん、キー)」という装置を使って、短い「トン(ト)」という音と、長い「ツー」という音の組み合わせで文字を送るモールス通信。アマチュア無線のイベントでは練習機を備えた体験コーナーが設けられることがある

●自分で作った無線機やアンテナで交信を楽しむことができる
アマチュア無線は、市販の無線機とアンテナで楽しむ人が大部分だけれど、自分で作った無線機やアンテナを使えば、交信できたときの喜びは何十倍にもなるんだ。少しでも感度が良くなるように回路を工夫したり、アンテナに改良を加えたりして、その成果が現れたら楽しいよね。

●交信した相手と「QSLカード」の交換が楽しめる
アマチュア無線では、交信した相手局と交信データを書いた「QSLカード」という交信証を交換する習慣があるんだ。みんなが思い思いのデザインでカードを作っているから、集めると楽しいよ。キミならどんなデザインのQSLカードを作るかな?


海外のハムと交信したときに届いたQSLカードの例。その地域の雰囲気が伝わってくるものが多く、届くのが待ち遠しい

●QSLカードを集めて「アワード」をもらえる
アマチュア無線には「アワード(賞状)」に挑戦する楽しみもある。例えば、日本のすべての都道府県の局と交信してQSLカードを47枚集めると、JARLの「WAJA」というアワードが申請できる。また世界の6大陸と交信してQSLカードを集めれば、国際アマチュア無線連合(IARU)が発行している「WAC」というアワードが申請できる。


ルールに従ってQSLカードを集めることで申請できる「アワード」の一例。左から全都道府県と交信する「WAJA」、世界6大陸と交信する「WAC」、144MHz帯で100局と交信する「144MHz-100」、日本のすべての市と交信する「WACA」だ

アワードは世界中のアマチュア無線連盟やクラブ、団体がルールを作って発行している。簡単に達成できるものから、何十年も掛けて挑戦していく難易度の高いものもあるんだ。趣味は目標を持つと長続きするから、キミたちも挑戦してみてはどうかな!?

アマチュア無線の始めかた

では、アマチュア無線はどうやって始めたらいいのだろう。

最初で少し触れたけれど、「アマチュア無線技士」には入門用の第4級からトップクラスの第1級まで4つの資格があり、上級になるほど“できること”が増えてくる。その代わりに試験の問題も難しくなるよ。

でも心配はいらない。実はアマチュア無線技士のうち、90%は入門資格の4アマなんだ。4アマなら小中学生でもちゃんと勉強すれば試験に合格できるから大丈夫だよ。

資格を取る方法は2つある。1つは公益財団法人 日本無線協会が主催する「国家試験」を受験するというもの。全国24か所の会場で行われている(試験スケジュールや申し込み方法は日本無線協会のWebサイトを見てね)。


アマチュア無線技士の国家試験は、全国24か所で開催されている。毎年夏の「関西アマチュア無線フェスティバル(KANHAM)」や「アマチュア無線フェスティバル(ハムフェア)」では当日受付で試験結果も当日発表される臨時試験も行われる

もう1つは一般財団法人 日本アマチュア無線振興協会(JARD)などが主催している「養成課程講習会」を受講するという方法だ。2日間の授業(無線工学4時間、法規6時間)を受けて、最後に行われる修了試験に合格すればOKだ。JARDの開催スケジュールはWebサイトで確認してほしい。18歳以下には受講料の割引もあるよ。


ベテランの先生がやさしく教えてくれる「養成課程講習会」は、子供たちの参加も多い。この写真はJARDが開催した「中学生以下対象の4アマ講習会」の模様(講習終了後のビギナーズセミナーで撮影)

国家試験は参考書を使って自分で勉強しなくてはならないから、マイペースでじっくり勉強したい人や、家族や知り合いにアマチュア無線家がいて、勉強を教えてもらえる人にピッタリだ。養成課程講習会はベテランの先生が基礎から教えてくれるので、電気や無線の知識がない人でも安心できる。修了試験を受けた人の合格率は90%以上の実績なんだ。

国家試験の合格通知が届いたら、3か月以内に無線従事者免許証の申請をしよう。JARDの養成課程講習会の場合は、修了試験に合格後しばらくすると、無線従事者免許証が届く仕組みになっているよ。

無線従事者免許証が届いたら、アマチュア無線機を手に入れて(無線ショップで買うほか、ハムをやっている人から中古機を譲ってもらう方法もある)、総合通信局にアマチュア無線局の開局申請書をに出すと、アマチュア無線におけるキミの名前になる「コールサイン(呼出符号、識別信号)」が印字された無線局免許状が届く。これでハムの仲間入りができるというわけだ。


アマチュア無線局の証、無線局免許状の例。右上にコールサイン(呼出符号、識別信号)が書かれている

開局まででわからないことがあったら、JARLに尋ねたり、近くにあるアマチュア無線ショップで相談してみるとよいだろう。またJARDは養成課程講習会の卒業生の開局サポートと交流のための会員制サイト「HAMtte」を開設しているよ。

アマチュア無線は、とっても勉強になる!

最後に、小学生のキミたちに強調しておきたいのは「アマチュア無線はとっても勉強になる」ということだ。

アマチュア無線を始めると、電気や無線の知識がものすごく豊富になるはずだ。大好きなこと、興味のあることはどんどん覚えられるからね。それから、いろいろな場所と交信することで、地名(都道府県、市区町村名)や国の名前に詳しくなったり、英語にも強くなることができるよ。

また、学校の教科書にも書いていないようなこと、たとえば「電離層による電波状態の変化」「アンテナの指向性」といったこともいろいろ体験できるし、交信を通じて、さまざまな年齢、職業の人たちと知り合いになれるのもメリットだね。

アマチュア無線技士の資格(無線従事者免許証)は、一度取ってしまえば一生有効で、免許証の書き換えもないんだ。早く資格を取ると長~く楽しめるから、お家の人に相談して、ぜひチャレンジしてほしいな。

さて、10回にわたる連載を読んでくれてありがとう。今度はアマチュア無線の電波で交信しようね!

子供の無線教室 ~電波のフシギをやさしく学ぼう~ バックナンバー

2017年10月号トップへ戻る

次号「月刊FBニュース2017年12月号」は 12月1日(金)と15日(金)に公開予定

サイトのご利用について

©2017 月刊FBニュース編集部 All Rights Reserved. 発行元: 月刊FBニュース編集部