2016年7月号

トップページ > 2016年7月号 > Masacoの「むせんのせかい」~アイボールの旅~/第6回 「UECコミュニケーションミュージアム」を訪問!!

連載記事

★第5展示室

ここは「本学の前身である無線電信講習所の教室を再現しています。実際にモールス信号を送受信して当時の授業の様子を体験することができます。また、希少な1925年製のN&K社 マグネチックホーンスピーカーも展示しています」というコーナー。


電気通信大学でモールス通信の実技を教えていた時代を再現したコーナー。授業で実際に使われていた学生用の机にはタイプライターや印字機、電鍵などが当時のままに置かれています

中は学校の教室のような雰囲気で、先生が立つ教壇と学生の机があり、机の上には符号を印字する「印字機」や電鍵などが置かれていました。ここで先生がモールス通信を教え、生徒がそれを聞き取って記録していくのだそうです。

受信の演習は英文と和文(カタカナ)のタイプライターを使っていました。授業の進行により机の中に左右に収納されている英文または和文(カタカナ)のタイプライターを引き出して使用していました。


学生用の机に収納されていた和文タイプライター。東京・銀座のクロサワというメーカーが製造した「電信用タイプライター」です。キー配列に注目!!!

「Masacoさんもぜひやってみてください」と有澤さんに勧められて、電鍵で「JH1CBX」と打ちましたが、印字機で出てきた符号はちょっと間延びしたり、文字の間隔がバラバラで、自分で見ても「イマイチや~」という感じでした。これで品がわかるとか…?!(汗) 3アマ返上にならないようにがんばらなくちゃ!


印字機の置かれた送信練習卓で、JH1CBXとモールス符号を打ってみたけれど…あれっ!?

そう思っていたら、有澤さんが「これがこの大学の合格者に配った“モールス符号表”です」と、ワラ半紙に印刷された1枚の紙を見せてくださいました。そこには英文と和文のモールス符号が書かれているのですが、注意書きとして「本表を入学式までに完全に記憶しておくこと」と書かれているのです!! ヒヤァー。

電気通信大学の合格発表を見に行って、自分の受験番号を見つけてウキウキしながら手続き書類を受け取ったら、この用紙が入っていた…なんて考えたらテンション下がっちゃうわ。こんなにたくさんの符号は一夜漬けは無理やし、卒業旅行を返上して覚えなくちゃダメやん~。と 意外とまじめちゃんなんです、私。

★第6展示室

続いては第6展示室です。ここは「フレミングの法則で有名なフレミングが20世紀初頭に発明した最初期の2極管から、第二次世界大戦当時に使われていた国内外の軍用管、オーディオ管、撮像管/受像管、マイクロ波管など、多くの真空管を展示しています」というコーナーで、本当に数え切れないほどの真空管がガラスケースの中でキラキラ☆彡


左上:初期の真空管、左下:第二次大戦中の国産真空管、右上:さまざまな送信管、右下:米国の三極出力管。どれも展示品のほんの一部です

真空管の原型になったエジソン電球、初期の真空管から、第二次大戦中の国産真空管、そして本格的な送信管まで。有澤さんは「真空管好きの方がこのコーナーを訪れて、感動のため息をついては、ケース内の1本1本を閉館まで熱心にご覧になって、また次のときはその続きからご覧になられる方もいらっしゃいます」とおっしゃっていたので、真空管ファンにはたまらない充実の展示なんでしょうね。

特にオススメは、真空管の増幅作用がまだ解明されていなかった時代に水銀ガスを封入した「リーベン(Lieben)管」という真空管。1910年代に製造され、今では世界に数本しか現存しないという貴重なものだそうです。


ガラス工芸品のような造形の美しさがある「リーベン管」。今から約100年前にドイツで作られたそうです

このミュージアムでは、スウェーデン科学技術博物館から1本を借り受け、2011年から展示しているそうです。「借用にあたっては定期的に契約を更新しながら展示を続けています」というご苦労もあるそうです。

そして、東京大学が岐阜県神岡鉱山跡に作った施設「カミオカンデ」で使われていた光電子増倍管と同等のものを展示しています。この施設で超新星爆発に伴うニュートリノの観測に成功し、東京大学の小柴教授は2002年にノーベル物理学賞を受賞しました。よく見ると「素粒子」「小柴昌俊」と赤いペンで書かれている小柴教授のサインがわかりました。


「カミオカンデ」で使われているのと同等の光電子増倍管(展示用)。ノーベル物理学賞を受賞した、東京大学の小柴昌俊教授のサインが入っています(写真右上に拡大)

★第7展示室

そして最後は第7展示室。「日本最初の核磁気共鳴装置(NMR)を展示しています。第2次世界大戦後日本では電気通信大学で初めてNMRの開発が行われました。その後この技術の応用として現在の先端医療に欠くことのできないMRIの技術に繋がっています。また本学で発明された技術により開発された日本初の電波時計も展示しています」というコーナーで、電気通信大学が行ってきたさまざまな研究を知ることができます。

日本で初めて実用化された電波時計は、今のように長波の時刻信号を受けるのではなく、内部に中波のラジオが入っていて、ラジオの時報「ピッ、ピッ、ピッ、ポーン」という時報音で針を合わせるというものだそうで、電気通信大学のすぐ近くを走る京王線の駅構内でも使われたそうです。


ラジオで流れる時報を利用した元祖・電波時計。東京の有名デパートでも発売され人気を呼んだそうです

無線通信の歴史や技術の進歩がわかる展示の数々を見せていただき、私もとても勉強になりました。アマチュア無線家の皆さん、ここはMasacoイチオシの施設です。たっぷりの時間を作って見に来ることをおすすめします♪

ミュージアムの開館は祝日などを除く毎週水・木・金曜日の午後0時30分から16時まで。年末年始や入試など学事予定で臨時休館することがあります。また土日でも特別開館することがあり、今月の7月17日(日)はオープンキャンパスのために開館するそうですよ!! また11月の大学祭(調布祭)の期間も開館するそうです。臨時休館や特別開館の日程は「UECコミュニケーションミュージアム」のWebサイトで告知されます。


最後に有澤さんと記念写真♪ どうもありがとうございました!!

有澤さんはお会いした瞬間から、七福神様のようで朗らかなお人柄が伝わってくるんです。専門知識がまだまだ勉強中の私は頭がパンパンで、ちょっと固まりかけてたのですが(笑)、わかりやすいよう、かみ砕いてユーモアを交えて説明してくださる優しさにも感動しました。

有澤さん、UECコミュニケーションミュージアムの皆さん、どうもありがとうございました。私もまた、たっぷりの時間を作ってお邪魔しますね~!! その時は「南極観測隊」秘話もお聞きしたいなぁ!

(JH1CBX Masaco)

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