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Masaco、大人の社会科見学!

第1話 自転車博物館サイクルセンター

今号より、新連載「Masaco、大人の社会科見学!」をスタートします。他の記事とは少し趣向を変えて、アマチュア無線以外の技術に焦点をあて、日本の技術が紹介されている博物館や工場などをJH1CBX Masacoさんが社会科見学に行く、というコーナーです。Masacoさんの日本の”ものづくり”のテクノロジーを肌で感じたい、との思いから、編集部にて新たに企画しました。日々、技術的研究をされているアマチュア無線家の皆様にはきっと楽しんでいただけるはず、と思っています。なお、この記事はFB NEWS Worldwideにも英文で掲載していきます。海外のお友達にもぜひご紹介ください。


改めまして、筆者のエリーです。この企画が通ってから、まずはどこに見学に行こうかな~と考えていると、Masacoさんとの過去の会話を思い出しました。

Masaco: 私、こう見えて自転車好きなの! 小さい頃はよく、父と弟と3人で自転車に乗ってたんだよ~しかも学校へ行く前の早朝から(笑)

エリー: そうだったんですか!? Masacoさんの新たな一面ですね。アスリートを目指されていたんですか?

Masaco: そういうわけではないんだけどね。父の趣味がサイクリングだったの、影響されたって感じ!あの頃は自分でパンク修理もできてたなぁ~! ちゃんとロードバイクを買ってもらってね。本当に楽しかったな~。それで私、「くるくる」っていう曲も書いたの。自転車の車輪がくるくる回る様子を表現していてね…

というわけで、昨年12月某日、Masacoさんと筆者(エリー)は大阪府堺市にある自転車博物館サイクルセンターにお邪魔しました。案内をしてくださったのは、学芸員の長谷部さんです。自転車の知識はもちろん豊富ですし、堺市の歴史についても細部までとっても詳しい方でした。


長谷部さんとMasacoさん。本日は宜しくお願いいたします!

大阪府南部に位置する堺市は、平安・室町の時代から、日本の経済、文化の中心地として繁栄してきた政令指定都市です。世界文化遺産にも登録されている「百舌鳥・古市古墳群」のうちの一つ、仁徳天皇陵古墳のすぐ近くに、自転車博物館サイクルセンターがあります。


自転車博物館サイクルセンターの外観


「オーディナリー」と呼ばれる自転車のモニュメントにまたがるMasacoさん

そんな堺市でなぜ、自転車産業が発達したのでしょうか。そのルーツは古墳時代にまでさかのぼるそうです。4~5世紀中頃、古墳づくりに必要な鋤(すき)や鍬(くわ)を加工する技術が、大陸から堺に伝わりました。古くから、堺市には鉄加工のプロたちがたくさんいた、というわけです。時代は進み、1543年。種子島に鉄砲が伝来すると、日本でも鉄砲の需要は高まります。堺市には高度な鍛鉄技術があったため、戦国時代には鉄砲の大量生産がされました。堺市といえば、プロの料理人から絶大な信頼を得ている「堺打刃物」と呼ばれる刃物も有名です。鉄砲も刃物も、古墳時代からの最高水準の技術が受け継がれてきたのですね~。


堺鉄砲の説明を受けるMasacoさん

話を自転車に戻します。自転車が伝来したのは、江戸時代末期。神戸などの外国人居留地の外国人が、自国から持ち込んだ自転車に乗り始めました。日本人が本格的に自転車を使用し始めたのは、明治の初め頃だそうです。当時、自転車は家1軒に相当するほど高価なものでした。今でいうロールスロイス的な位置づけだとか! 庶民には手が届かなかった自転車を普及させたのが貸自転車業でした。鉄砲や刃物を作っていた鉄加工職人たちは、貸自転車の修理を始め、それがやがて部品・自転車を作るようになり、日本の自転車産業の発展へと繋がりました。古墳時代から培われた鉄加工技術をもって、堺市で製造される自転車と自転車部品は、世界に誇る高品質で高機能なもの、というわけなのです。

さて、この博物館には、年間3万人が訪れるそうです。なんとその内半分は小学生! 堺市の郷土産業を学ぶ授業の一環として、博物館を見学されるそうですよ。またこの博物館では、サイクリング体験も行っており、社会人の方や健康志向の50~60代の方も多く訪れます。自転車博物館サイクルセンターでは、「世界の自転車展示」、「自転車の歴史と堺のあゆみ」、「自転車ライフの提案と自転車のしくみ」の、大きく分けて3つの展示がされています。環境・健康・社会に対して優れた効能を持つ自転車の魅力を様々な角度から存分に体感できる、とのことです。


自転車の歴史について、映像で学ぶMasacoさん。「昔の自転車、前輪がめっちゃ大きい~~! スピ―ドを追求したからなのね!」


世界最古の自転車、ドライジーネ。ペダルがなく、地面で足を蹴って進みます。

時代と共に進化してきた自転車が展示されるコーナーへやってきました。様々な種類の自転車がずらりと並んでいます。昔の自転車は今の自転車とあまりに異なるため、中には「え? これどうやって乗るの?」というものもありますし、自動車の原型となった自転車や、あの歴史的なノルマンディ上陸作戦の時に使われた自転車、150km/hのスピ―ドを記録したスピード世界記録車も展示されていますよ。全てはご紹介できないので、ぜひ、みなさんも実際に訪れて見てみてくださいね。


様々な時代、種類の自転車がずらり。

そんな中Masacoさんが気になったのは、最近大人気のロードバイク。カーボン製のため、重さは7~8キロと超軽量。こんな風に片手で持てちゃいます!

Masaco: これこれ! 父と弟と乗ってたやつだ!


余裕の表情を見せるMasacoさん! とっても軽いんです。

長谷部さん(以下、敬称略): 今日はMasacoさんにお見せしたいとっておきの自転車があるんです。

そう言われて特別展示コーナーへも案内していただきました。まだ準備中とのことでしたが、一足先に…オリンピックで実際に選手が使用する予定の自転車を発見! Masacoさんのテンションは最高潮です!


選手が実際にオリンピックで使う予定の自転車なのね! 触っておこ~っと(笑)

「自転車の機能体感」コーナーでは、変速機・ブレーキ・発電機の役目と機能を体感して学ぶことができます。Masacoさんは“ディスクブレーキ”の体感をしましたよ。“ディスクブレーキ”とは、マウンテンバイクなどによく使用されていて、キュ! っと強いブレーキがかかる仕組みです。ハブにつけられたディスクを、油圧の仕組みを利用して挟み込むことでブレーキを作動させ、急激な下り坂の場面、雨で泥だらけの道でも安定して効くそうです。


ディスクブレーキっていう名前だったのね~!

長谷部: さて、そろそろクラシック自転車の試乗にチャレンジしてみませんか?

Masaco: はい! 今日はこれを一番楽しみにしてきました(笑)

自転車博物館サイクルセンターでは、「自転車ひろば」にて、クラシック自転車(レプリカ)の体験試乗も行っています。昔の自転車に実際に乗ることで、その仕組みを理解しよう! というコーナーです。基本的には第2・4日曜日、祝日の午前10:00~午後3:30に利用できるそうですが、開催日が変更になる場合があるそうなので、ホームページをご参照ください。

長谷部: じゃあまず、Masacoさん。さっき見たドライジーネ(1818年)に乗ってみましょう! 足で地面を蹴って進んでくださいね。

Masaco: きゃー! 超楽しい! 片足ずつ蹴るとうまく進むね!!


ドライジーネと笑顔全開のMasacoさん♪

長谷部: 次はボーンシェーカー(1861年)です。当時、乗り心地が悪く、背骨に響くのでボーンシェーカー(背骨ゆすり)と言われていました。

Masaco: 確かに! めっちゃ細かく漕がなあかんし、乗りにくい。背骨がゆすられる~!


慣れてきたかも♪ボーンシェーカーとMasacoさん♪

長谷部: スタッフのエリーさんもどうです? これはスターレーソーシャブル(1878年)といって、デファレンシャルギアや、ラック&ピニオンで前輪を操作する仕組みが、自動車の構造の基となったモデルです。2人で乗れるようになっています。

エリー: あ、はい。しかし私は今日仕事で来ておりまして…

Masaco: せっかくだし一緒に乗ろうよ!

エリー: ま、Masacoさんが言うなら仕方ないよね! 編集長にバレたら怒られるかもしれないけど、Masacoさんが言うんだもん。ちょっとだけならいいよね…。


イェーイ!!! 2人で漕ぐとさらに楽しいね!!!

長谷部: こちらでは、自転車に乗れない人のために無料でサポートもしています。参加者は主に小さなお子様ですね。親御さんだとどうしても「どうして乗れないの!」と怒ってしまいがちですが、優しいスタッフが安全に、無料で、1日で乗れるようにお手伝いしているんです。参加者の半数以上が1日で乗れるようになりますよ。

Masaco: へぇ~! しかも参加費はかからないんですね!

長谷部: その他、初心者向けの「自転車散歩」や約30kmを走る「健康サイクリング」、また最近人気が高まっている「ロードバイクセミナー」等も無料で開催しています。自転車サイクルセンターは、みなさまに「自転車が健康や環境保全に役立つ素晴らしいものであること」を啓蒙し、日本の自転車産業の発展と、国民生活の向上を目的としています。自転車に興味のある方も、まだよく分からないという方も、どなたでも歓迎いたします。

Masaco: なるほど、素晴らしい取り組みですね。本日はありがとうございました。

Masacoさんは、大好きな自転車の歴史について学び、クラシック自転車の体験試乗ができて終始とても嬉しそうなご様子でした。改めて、自転車博物館サイクルセンターに来てよかった! 最後になりましたが、取材中とても親切に、わかりやすく、詳しく説明していただいた長谷部さん、快くご協力いただきましたスタッフの皆様、本当にありがとうございました。


みなさん、自転車博物館サイクルセンターへ遊びにいってみてくださいね!

■自転車博物館サイクルセンター
〒590-0801大阪府堺市堺区大仙中町18番2号
TEL.072-243-3196 FAX.072-244-4119
http://www.bikemuse.jp/access/
※12台分の無料駐車場あり

(第1話 おわり)

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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