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第15回 アンテナチューナーとタコ(たこ焼き?)の話(上)

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こんにちは皆さん、新人編集員のアキラです。今日はめずらしく近所のOMトムさんより携帯に電話があり、今から50MHz出れますかーと急ぎのようで、じゃいつもの周波数でとIC-705の電源をオンしました。

トム: Jピ3△◇◎、こちらはJエ3〇☆□、やあアキラくん、たいへんなんよー、ちょっとヘルプしてくれませんかー、どうぞ。

アキラ: Jエ3〇☆□、こちらはJピ3△◇◎、トムさん、こんにちは! どうしましたか? どうぞ。

トム: アキラ君、たいへんなんよー、こまったー、タコがね、タコが要るよーたぶんね、チューが火事でね、におうんですよ、どうぞ。

アキラ: ええー、なんですかーさっぱりわかりませんよ、ちゅうちゅうタコかいな、ですか、どうぞ。


えーというわけで、普段はわかりやすくお話されるトムさんも、本日はあわてておいでのようで、状況をていねいに、かくがくしかじか、奈良の鹿とかですー、とお聞きしました。じつはDXをFT8で追いかけていて、がんばってたらアンテナチューナーより煙が出て、どうもどこかの回路が焼けたみたいで“臭い”もすごいとのことです。

ちょっと話を整理してみましょう。アキラのローカルOM(いつもお世話になっています。)のトムさんは、IC-7851とロングワイヤーアンテナ(釣り竿アンテナ)+アンテナチューナーCG-3000で200W運用されています。どうも本日かな?アンテナチューナーから煙が出た(DX熱ゆえか?)ということで、たぶん修理しないとならないからヘルプしてくださいということと思われます。

ちなみにCG-3000は発売以来もう10年は軽くこえたロングセラーの製品で、1.9MHz~30MHzカバーで200WPEPという定格で、うまく使えば50MHzでも動作するようです。現在は中国で生産されていますが、設計者は違うどこか?の国の方だったように思います。日本には代理店が2社ほどあって、税込み\40kほどで、簡単に入手できて、保証(1年間だったと思います)もあります。ほどよい価格で、耐入力が大きくコントロールケーブル不要で無線機メーカーを問わないというのが大きな特徴と思われます。

多くのアパマン族ハムはこの種類のアンテナチューナーを使って多バンド運用されていますが、100Wであれ、200Wであれ、FT8とかで熱が入ったりすると、アンテナチューナーを焼いたーなんてことが起こることもあります。トムさんはCG-3000を2台所有していて、1台は北東向きに、もう1台は南西向きのベランダに設置されています。本日は南西向けのが煙を出したもようです。

何がタコなのか?ですが、ようは半田吸取器のことです。無線業界では「タコ」とか「電タコ」の愛称で呼ばれているようですね。両面基板の修理/部品取りなどは「電タコ」すなわち電動半田吸取器は基板を痛めないようにする必須ツールですね。のちほど紹介しますが、アキラ所有の「電タコ」で修理ヘルプの依頼があったということです。

そうこうしている間に、トムさんがベランダのアンテナチューナーを外して、我が家に来られました。すでになにか強烈な臭い(コロナ対策マスクありでも)がします。


アキラ君、ごめんなーいきなりで、7MHzやったと思うけど、アフリカだジャングルだってやってたら、いきなりSWRがたってねー たしか昭和30年ころのTVの歌?

この耐え難い臭いは、何か焼いてもうて、リレーかコンデンサかなーと思うんやけれど、せっかくコンディションがええからね、早く修理したいなと思って無理言うたんよ。はいはいー。普段はお世話になりっぱなしですから、こういう時はツルのじゃなくて、アキラの恩返しですよ。でもこの強い臭いは超ゲホゲホ級ですねえ。

そやでー、今はやりの2重マスクにして来て、自転車は息苦しかったけど、それでも臭うからねえ、アフリカのスーダン/STを追いかけてたら、アチチになったんよ!


さっそくドライバーでネジをはずして内部を見るとー、うー焦げてますねえ!この臭いは毒ガス級なので手早く見ましょう。あーリレーが1個もしくは2個と、基板もたぶん焼損かなあ、またSWR検出回路の抵抗も焦げてますね。熱いアフリカでしたねえ。はははーそうね。半田ごてをONして配線を外し、タッピングネジを取って基板のみにしました。あちゃー基板も一部炭化するほどですねー、これが強烈な臭いの主因のようですね。煙のすすが上方向にこびりついていますよ。ああーあちゃ2ですねえケースの裏側の樹脂が熱で盛り上がってますよー。まず上下ケースはベランダに出して、ちょっとでも臭いのもとを少なくしましょう


トムさん、無線機本体は、ファイナルとかは大丈夫やったんですか? それがねIC-7851はまったく元気で問題なしですよ。200Wの高周波半田ごてでアンテナチューナーは見ての通りやけれどね。あーそれはよかったですね、でもアンテナチューナーは入院レベルですね。この煙の具合より肺炎いやいや“灰煙”の診断状況ですね。じゃあ修理ステップ1で、まずはアルコール消毒して故障個所を細かくみましょう。


さて、普段はおもにカメラのメインテナンスに使っています無水エタノールを用いて、すすやよごれを取り除きましょう。ごし、ごし、ごし、げほっ。だいぶティッシュペーパーも使いましたけれど、基板もケースもずいぶんきれいになって、臭いも幾分ましになりましたね。しかし、この基板の炭化ぐあいは厳しいですねえ。そうやねアキラ君、正直な話ですが確かねえ「K7」という部品番号のリレー、そう基板に対して斜め方向に装着してあるヤツは以前にも一回焼いたことがあってね、自分で交換したんやけれど小さい穴があいてね、焦げたからやけどエポキシ樹脂で固めた部分が今回大きく焼けてるみたいですね。

うー了解! じゃ修理ステップ2で「電タコ」で壊れた部品取りをしましょう。


アキラが所有しています「電タコ」は白光社の“FR301-81”という品番のもので、ネット通販で買いました。価格は約¥20kで使用頻度を考えるとうーんと思いましたが、手動式タコでのかずかずの苦戦を振り返ればこれはアリと決断しましたが、結果は”良し“でした。ピストル型で使いやすいし、買ってから気がついたのですがコテ先の温度調整機能が付いていて、1-350℃/2-400℃/3-450℃/4-500℃の4段階設定ができます。また吸い取った半田くずの取り除き/清掃も簡単にできる構造になっています。もっと早くに買っていれば今まで両面基板の修理でオシャカにしてしまったスルーホールのパターンもきれいに素早く修理出来ていたでしょう! 自作好きの読者の方にもおすすめの1台です。プリント基板の修理/部品外しで片面基板の場合は“編銅線”に半田を吸わせるという方法がありますが、両面基板ではちょっと難しくなります。そこで手動式の半田吸取器が安価で便利です。使い方は下の写真の通りですが、これは太陽電機産業(株)/goot社のNI-24という品番のものですが、いにしえに買ったもので既に廃番のようですね。


情報ですが、なんとダイソーで“はんだ用吸取りポンプ”という品名で、¥210で出ているようです。使い勝手はわかりませんが、やるやんダイソーって感じです。

半田吸取器について熱くたくさん語りましたが、まあ王道は電動式なのですね。ズズズーっていう音と共に目視によるチェックでCG-3000の5点のパーツ、リレー2個と電源IC/7805と抵抗2本を取り外しました。CG-3000は両面基板なので「電タコ」を使えばパターンを傷めずにあっという間に作業完了です。


アンテナチューナーから出ている強烈な臭いからもっと焼損規模は大きいのではと思っていましたが、臭い/すすはリレーと焦げた裏蓋ケースからで、抵抗2本は今回と直接の関係かどうかは不明で、7805は念のための交換という判断で取りました。


取り急ぎは安全を含め5点の部品を外しましたが、プリント基板のリレーを外した部分は炭化しているので、この部分をどうするか?修理できるかなというのが今回の最も難しい部分ですね。それから制御回路/検出回路が高周波的ダメージを被っていないかも少し気になりますね。

アキラ: トムさん、部品の手配が要りますね。このプリント基板の炭化した部分が最大ダメージで、修理の難しいところですね。でもね今回は鶴作戦(鶴の恩返し作戦)で最大全速でやりますので修理の協力をさせてください。日頃にお世話になっていることを少しでもお返ししたいですから、

トム: アキラ君、おーありがとー!でも日頃って大したことしてないしねえ(いえいえ、いやいやと互いの謙遜がしばし続く、美しいー)。本日できるところはここまでかなあ、部品とか段取りしますね。最低限で要る部品は、リレー2個、抵抗2本、電源IC/7805と、ガラス基板/エポキシ接着剤/銅テープ、その他やねえ。

アキラ: ええー、今日できる作業はここまでですかね、次回に向けての準備を整えることが大事ですね。今回プリント基板が焼けている部分でパターンも途切れていて再生する必要がありますねえ、一番難しいポイントの1つですけど。確かトムさんの新しい方のアンテナチューナーは、信頼性向上/耐圧アップでリレーを交換したことがありましたねえ。その時に基板の写真を撮っていませんでしたかー。半年か、もうちょっと前になりますかね。

トム: あーそうそう写真撮ったね、PCにあると思うよ。初号機は何回か壊して修理してるから、それと弐号機はアキラ君の「電タコ」でリレー交換/耐圧アップさせているからねえ。修理2回目までに写真や部品を集めとくからね。

というわけで、本日の初診でだいたいの状況はわかりましたが、やはり重症修理となりました。初号機なら碇シンジ君ですね、弐号機はアスカがパイロットやでーなんて思いながら、トムさんは釣り竿アンテナ+アンテナチューナーCG-3000の2組で、DXCCのMixedを250とChallenge1000をゲットされているから、アパマン族ハムにとってアンテナチューナーは3種の神器の1つといってもいいでしょうね。トムさんは200W免許局ですから、RTTYやらFT8/4ではフルパワー時に最大負荷が掛かって、チューナーを壊したりすることもあるようですが、そのたびにめげずに修理対応されてきました。200Wで安心できるリーゾナブルなものは、なかなか無い中でネットの記事を参考にして耐圧を上げるリレー交換(既知の方法の1つと思いますが、次号でそのリレーのこともトムさんの資料より少し紹介できると思います)をしたり、アマチュア精神いっぱいで心強いローカルOMの方で、ありがたいですね。

さて、次回予告というか次回までのやるべきことですが、実践記事が心情の私アキラですが、今回の修理は超リアルに飛び込んできましたので、本当に次回号までに修理ができて記事にまとめられるか、自信があるかと問われますと頑張りますとしか言えないです。CG-3000はポピュラーなアンテナチューナーの1つでネット上に修理記事がでていたり、サービスマニュアル(PDF)もありますが、、CG-3000はいくつかの流れ/バージョンがあるようで、まずパターン図面がトムさんのプリント基板とまったく違います。またPDFでできた資料の回路図は拡大すれば見えにくくなって部品番号や詳細は読み取れません。部品表が付いていますが、やはりトムさんのCG-3000の基板にある番号/品番とは一致しません、、すなわち厳しい環境です。それでも波動エンジンより、波動砲にエネルギー充填120%にして、炭化したプリント基板に穴をあけて修理します(うーん自分でも意味不明)。

●あとがき
今回のトムさんのアンテナチューナーの修理は突発的に発生しました。普段から実践的に記事を作成していますが、今回うまく修理が完了するか?少し気がかりです。お世話になっているトムさんのアンテナチューナーですし、コンディションもよくなってきている状況ですから何とか修理ができて南西向けでしたかなあ、トムさん家のベランダに戻したいですね。いろいろな意味で早く修理して、私も次号のあとがきで皆さーん、うまく修理できましたよーっていいたいです。

我が家の狭い無線室に、マスクの大人(コロナ対策中のマスクマン)が二人でなにやらごそごそ、アンテナチューナーを解剖中。でも決して怪しくはありませんよ、休日の昼過ぎですからね。トムさんはこのアンテナチューナーをよく使いこなして動作も理解されているみたいですから、私がお手伝いして2人力で修理アタックします。ちょっとドキドキするけれど楽しんで作業していきます。さーて、どうなりますかねえ? ではまた次回に。

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