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Japan Castles On The Air (JACOTA)

Castle 6 出石城(兵庫県豊岡市)

JO3SLK Greg Cook (翻訳 JP3DOI 正木潤一)

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8月の第2週に出石(いずし)城へ無線運用に行く予定でしたが、関西地方に台風9号が直撃したため延期としました。それから3週間は大雨や風、それに伴う土砂災害警報等により、出石城に行くことが出来なくなりました。私の家から出石城へは高速道路と山路を使いますが、雨が止んだ後でも土砂崩れの危険性がある以上、出かけることが出来ませんでした。しかしながら、過去のJACOTA記事でも何度か触れていますが、私は昨年出石城を訪れており、そのときに写真も撮っていましたので、今回は出石城の紹介だけでもさせていただきたいと思います。

このお城は私のお気に入りの一つで、コロナ禍が終息し、天気にも恵まれたらすぐにでも行くつもりですが、今後のスケジュールについては記事の最後で触れます。というわけで、今回は無線のQRVはありませんが出石城に関するお話をお楽しみください。

私が出石城を訪れたのは昨年末で、その地域が大雪に見舞われて1週ほど経った時でした。出石に向かう道の路肩には雪が積もり、出石城の敷地内の雪もほとんど融けてはいましたがまだあちこちに雪が残っていました。たいへん寒く、私以外に訪れている人はほとんどいませんでした。出石は古い城下町で、名物の皿蕎麦『出石蕎麦』が有名です。町の中には他にもいろんな歴史的名所がありますが、私のお目当てはお城です。

出石城の沿革

関ヶ原の戦い(1600年)ののち、日本の統治情勢は安定に向かい、地方での小さな争いはなくなりました。これを受けて、小出吉英(よしひで)は山頂に位置する有子山(ありこやま)城の麓一帯を要塞化することを決め、1605年に出石城を築城しました。有子山城は遺棄され、出石城が『一国一城令』下における但馬の国の城となりました。出石城に天守閣は作られず、幾重にも張り巡らされた城壁と堀、櫓によって強固に要塞化されました。山裾から山上へと延びる城壁は4重に造られ、段状になっています。最も高い場所に位置する城壁『稲荷廓』は、有子山城の城主の居場所だったと考えられています。

城下町もまた、城を守る構造になっています。侍の住む区画が城の外周を囲み、広い道や入口の傍にある寺は戦略的に考えられて配置されていて、有事の際に城を守るのに使われました。小出氏は1697年までこの地を治め、次に松平氏が出石の地を1706年まで治めました。1706年に松平忠則は上田城に移り、上田城の城主・仙石政明(まさあきら)が出石城へと移りました。そして、仙石氏による統治は明治時代まで続きました。(『Jcastle』より引用)

出石城の構造

城内の敷地へと続く橋です。このお城には管理事務所や情報センターなどはありませんが、駐車場の事務所でパンフレットが手に入ります。どうやらここは基本的にいつも開放されているようです。


門(登城門)をくぐるとすぐに見える最初の城壁。奥に櫓が見えます。城壁の左手には墓石が並んでいます。第2、第3の大きな城壁が印象的です。


ここに葬られているのは誰だか分かりませんが、その大きさからおそらく権力の持っていた者で、この城に縁のある人物でしょう。


駐車場に背を向けるかたちで鎮座する大きな墓石。(橋を越えたところ)

第3の城壁の上に鎮座する最も大きな櫓はとても印象的です。櫓の後ろには小さな神社(本殿)があります。上層の城壁へと通じる小道があり、こういった神社や城壁の中、櫓などに行くことができます。石垣に生した苔がとても色鮮やかで印象的です。


登城門と、城を囲む第3の城壁を近くから見たところ。(下層の城壁から撮影)

櫓の中は一般公開されていないようです。少なくとも私が訪れたときには開いていませんでした。


最も大きな櫓の後ろに小さな神社(本殿)があります。この上の層の城壁にはもっと大きな本殿があり、この辺りで一番目立っているのですが、この小さな神社と何か関係があるのかどうかは分かりません。映っていませんが、写真の右には大きな櫓があります。


この櫓の写真がベストショットだと思います。これまでに撮った写真の中でも気に入っており、手前味噌ですが出石城で撮った写真の中で一番だと思っています。


今後のJACOTA記事について

記事の冒頭で述べましたように、天気とコロナ禍の要因で8月中に出石城には行けませんでした。世の中の様子を見るとこの先しばらくは他のお城へも行くこともできないと思っています。6月から10月にかけての日本の台風シーズンは、8月と9月がピークです。また、私が住む関西地域を含み、全国的に緊急事態宣言が9月半ばから地域によっては9月末まで延長されましたが、場合によっては今年の後半までさらに延長されることになるのではと心配しています。これら2つの状況により、お城を訪れ、無線をしたり写真を撮影したりしてJACOTA記事を書くことは、これらのことが収まるまで少し無理なような気がしています。残念ですがこの記事を最後に数カ月の間お休みとさせていただきます。この状況が少しでも良くなり、また皆さんを歴史あるお城へご案内することを心から楽しみにしています。

それまで、お元気で。

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