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Summits On The Air (SOTA)の楽しみ

その47 IC-705を使ってみて4

JH0CJH・JA1CTV 川内徹

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皆さま、こんにちは。IC-705を使ってみた感想を交えたレビュー4回目になりました。今回もこのIC-705という人気沸騰中のリグについて、いくつか感想も交えながらあまり他の人に語られていないところをひっそりとレビューしてみたいと思います。


前回はQSOの録音機能の楽しみ方について紹介してみました。さて今回ですが、IC-705の受信機能について見てみたいと思います。このリグの最大の特徴の一つであるダイレクトサンプリング方式でのRF回路についてですが、その音質は素晴らしく、マイクに近づきすぎて過変調になったりしない限り、とても音質が良いとの感想をQSO中にもいただいています。またフィルターの切れも鋭く切れ落ちており、フェーズノイズの低さもあり、非常にきれいな音質になっています。このあたりは誰もが高評価している所だと思います。

これだけで十分に満足ではあるのですが、CWを受信する際に少しだけ気になる点があります。それはDSPチップの特性にもよると思うのですが、500Hz帯域でCW信号を聞いたときに、300Hz付近にノイズが出ていることです。これは以前私のブログでも書いたことがあるのですが、下の画面がIC-705で500Hzのフィルター帯域でCW信号を受信した時の音声周波数でのスペクトラムです。


赤いラインはピークホールドで、緑のラインは瞬間での特性が出ていますのでここでは赤いラインを見ていただくのが良いかと思います。CWの信号は600Hzにピークがある信号です。600HzのCW信号の下300~400Hz近辺に結構高いレベルのノイズが見えます。これは「コー」という特徴的な音でCW信号とは周波数が違うのでCW信号は完全に聞き取れるのですが、ちょっとこのノイズが気になります。この時のフィルターは500Hz帯域で何もシフトはしていません。


ここで、このツイン・パスバンドチューナーを使って下側を150Hz削ってみます。


すると格段に聴きやすくなります。この時の音声周波数でのスペクトラムを下に示します。


先ほどの300~400Hzのノイズが全く無くなっています。このツイン・パスバンドチューナーによる鋭い切れが素晴らしいことが判ると思います。このあたりがダイレクトサンプリングのDSP機の素晴らしさですね。

私はIC-7610も保有しているので試しに同じ実験をやってみました。下が500Hz帯域のフィルターでCW信号を聞いてみた場合の音声帯域スペクトラムです。


先ほどの信号受信時とリグやマイクの位置が少し違っていたり、周りの雑音の影響があり、多少形は違うのですがIC-705にあった300~400HzのノイズはIC-7610では全くありません。IC-705とIC-7610では用途も価格も違いますので差があって当然とは思いますが、IC-705でCWに出る場合、500Hzの帯域だと結構耳障りなノイズが有りますが、下側の帯域を150Hz削るだけでとても聴きやすくなりますので是非試してみてください。

今回はIC-705のCW受信時の500Hz帯域フィルター使用時の工夫を紹介してみました。この素晴らしいIC-705を最高の設定、最高のコンディションで使ってあげたいものですね。

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