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アマチュア無線の縁で、和歌山市に飲料水が提供される

全国ニュースでも報道されている10月3日に発生した和歌山市の六十谷(むそた)水管橋崩落による断水に対し、アイコム株式会社が飲料水を提供した。月刊FB NEWSでは、これに同行し現地取材を行った。

経緯は、昨年(2020年)7月に開設した和歌山七番丁430 D-STARレピータ(JP3YJD)管理団体のメンバー達との会話を通じて、生活用水はあるが飲料用の水が足りないと聞いたアイコム社員が、アマチュア無線の友人達はもちろん、和歌山市内から通勤している仕事仲間達も困っているだろうと、会社に対して備蓄用飲料水の提供をしてはどうかと提案し、これが実現した。

当日は、備蓄用飲料水のほか、本社(大阪市)近隣より調達した飲料水2400L(2Lペットボトル6本入り200箱)を車両3台に積み込み、和歌山市内の浄水場の一つである真砂(まさご)浄水場へ搬入した。搬送中に休憩のため立ち寄った、阪和道 紀ノ川サービスエリアも断水の影響を受け、蛇口から水が出ないという状況だった。


アイコム本社にて、飲料水の積み込み作業

現地の真砂浄水場で、受け入れ準備ができるまでの間、アイコムは地元のコミュニティFM放送局である「エフエム和歌山(愛称バナナエフエム)」の取材を受け、今回の活動経緯や災害時のアマチュア無線の対応などのインタビューに答えていた。この後、手作業により搬入作業が行われた。


エフエム和歌山によるFacebookでの紹介



上: 受け入れ倉庫への搬入作業、下: 搬入を完了したアイコムスタッフ

この、真砂浄水場では、近隣各府県や、遠くは高知県や静岡県、また自衛隊による災害派遣により給水車などが集まり、緊急用給水車給水口から車載タンクに貯め、断水している地域へ配水を行っていた。1日に何度も往復して配水を行っているとのことだった。また断水地域に配られる飲料用のペットボトルも写真のように準備されているが、数度の配送によりすぐに無くなってしまうとのことで、今回提供した飲料水も翌日には断水地域へ配送されることであろう。


各所からの応援の給水車


給水車へ給水中の様子

搬入を終えた後、アイコムは和歌山市役所に富松副市長を訪ね状況報告を行った。副市長からは、飲料用ペットボトルと言う事で非常に感謝され、有効に使わせていただきますとのお礼があり、また、数日後までには、仮復旧工事を完了させ送水したいと話されていた。(10/7取材当時)

その後、10月9日の6時に送水が開始されたが、当初は「濁りがあるので飲料には使わないように」との指示が出た後、10月10日の17時に「飲んでも問題ない」と周知され、約6万戸約13万人に影響を与えた約1週間にわたる大規模断水は解消した。


和歌山市役所にて富松副市長(左より2番目)に報告

なお、紀の川市にあるリペアセンターを含む和歌山アイコムの2工場については、断水の影響を受けていないとアイコムからは事前説明があった。

レピータを介したアマチュア無線仲間の情報網が、このようなボランティア活動に結びついた一例として、今回は紹介させていただきました。

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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