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2024年6月3日掲載
毎年、こどもの日(5月5日)には、南極・昭和基地にあるアマチュア無線局(JARL社団局)「8J1RL」が、日本の小・中・高校生ハムと優先的に交信する「こどもの日特別運用」が行われている。今年もこの特別運用に合わせて、子どもたちが8J1RLとの交信にチャレンジするイベントが東京都豊島区にあるJARL本部で開かれた。
2024年5月5日、JARL本部に9名の子供たちが集まった
8J1RLの「こどもの日の特別運用」は、日本国内の小学生、中学生、高校生などがアマチュア無線による南極・昭和基地との交信を通じて、無線通信の素晴らしさを体験してもらうと共に、南極の自然科学に興味を持ってもらうことを主な目的として、国立極地研究所などの協力で、5月5日にほぼ毎年行われている。
これに合わせてJARLでは、東京都豊島区の連盟本部に設置したJARL中央局(JA1RL)の無線設備(参加者の資格に応じた運用ができるよう、10W機、50W機、200W機を準備)を使って、小・中・高校生ハムに8J1RLとの交信にチャレンジしてもらうというイベントを行っている。主に21MHz帯のSSBで行うため、コンディションによってはうまく交信できない年もあり、参加者も主催者も気が抜けないものになっている。
JARL本部が入居するビルの屋上に建つHF~1200MHz帯のアンテナ
今年は、事前公募で選ばれた小学校4年生から高校・高専3年生までの9名(2アマ2名、3アマ4名、4アマ1名、無資格者2名)が、15時30分にJARL本部の会議室に集合。最初に森田JARL会長(JA5SUD)とJA1RL運用委員長である澤田JARL東京都支部長(JG1DKJ)の挨拶、子供たちの自己紹介が行われた。
挨拶をする森田JARL会長(JA5SUD)
続いて第64次南極地域観測隊員として今年2月中旬まで南極で活動を行い、3月21日に帰国した中村映文氏(JH3LSA)が昭和基地での生活を紹介。さらにJA1RL運用委員の新谷一徳氏(7K2GMJ)が、これから行う8J1RLとの交信方法と昭和基地に関する予備知識を子供たちにレクチャーした。
中村映文氏(JH3LSA)が昭和基地での生活を紹介
新谷一徳氏(7K2GMJ)が8J1RLとの交信方法と昭和基地に関する予備知識をレクチャー
17時少し前に、JA1RL運用委員の井岡正樹氏(7N4SJX)が21MHz帯SSB(50W機)で8J1RLに呼び掛けを開始したが、デリンジャー現象の余波で電波状態が悪く、応答が確認できなかった。そこで昨年同様28MHz帯のSSBに移り、再び8J1RLに呼び掛けると、深いフェージングの中から8J1RLの応答が聞こえ、見守っていた子供たちや保護者から歓声が上がった。
8J1RLとの交信に挑戦中。写真中央がJA1RL運用委員の井岡正樹氏(7N4SJX)
そこで、まず3アマ有資格者の4名が50W機で「シグナルリポートと運用者の名前を伝える」という形式で8J1RLとの交信を開始。当初は混信と深いフェージングに悩まされたが、苦心の末に1人目の交信が成立すると、続く2名は比較的スムーズに交信。しかし3アマ最後の1人はコンディションの低下でなかなか成立しなかった。
そこで200W機(IC-7800)に切り替えて井岡氏が8J1RLを呼び直すとクリアな信号で聞こえてきたので、2名の無資格者(体験運用者)と2アマ2名が順番に交信。さらに4アマの1名も体験運用という形式で8J1RLと交信を行った。
200W機(IC-7800)で8J1RLと交信中
さらにコンディションが上昇傾向にあったことから、未交信となっていた3アマの1名が50W機で再チャレンジして交信に成功。続いて10W機に切り替え、4アマの1名(200W機で体験運用として交信済み)も再チャレンジし、ローパワーながらコンディション上昇に助けられて見事に交信が成立した。
全員が28MHz帯で交信を終えたあと、森田JARL会長が8J1RLにお礼のメッセージを伝えて、JARL中央局からのチャレンジは無事に終了した。
子供たち全員が交信を終え、最後に8J1RLに謝辞を伝える森田JARL会長
8J1RLはその後も日本各地がオープンしていたことから、28MHz帯で「こどもの日特別運用」を続け、子供たちがオペレートする全国各地の社団局や、小・中・高校生の個人局などと交信を行った。
今回参加した子どもたちに「交信記念証」を手渡し
最後に澤田JA1RL運用委員長(JG1DKJ)が挨拶
またJARL本部では、今回参加した子どもたちに「交信記念証」と記念品を手渡して交信成功を祝い、この日の全スケジュールが終了、子どもたちは、保護者の方と共に笑顔で交信会場を後にした。
参加者、関係者など全員で記念撮影
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