新・エレクトロニクス工作室
2025年9月16日掲載
このようなAF用のアンプは、週刊BEACONのNo.76で作ったような実験用の「LM386アンプ」があります。しかし長年使った事もあり、いわゆるガリオームの状態になってしまいました。また、電池に9Vの006Pを使っていたのですが、使い古した単3か単4を使いたかったという私の事情があります。
また、疑似音声発生器からの出力をスピーカより出して、音としてマイクから入力したいという目的もありました。そこで、「疑似音声用アンプ&スピーカ」として写真1のように作ってみました。実際には単なるAFのアンプにスピーカを付けただけです。
写真1 アンプとスピーカを別のケースに入れた「疑似音声用アンプ&スピーカ」
送信機の占有周波数帯幅を測るためには、人の声に近い疑似音声を使います。これは以前週刊BEACONのNo.152で作った事があります。ホワイトノイズに一定のフィルタを通して作るのですが、そのフィルタでは苦労しました。占有周波数帯幅だけではありません。F3E,J3E,A3E,H3Eでスプリアス領域の測定をする時にも、この疑似音声を使います。つまり、音声で変調をかける時には必要となります。これはアマチュア局の基本保証の申請で、JARDにスペアナ画像を提出する場合に使用します。実は最近になって気が付きました。
なお、週刊BEACONのNo.152ではPSoCを使って疑似音声を作りましたが、もうこのICは入手できません。更にパソコンもXPからWin11になりましたので、環境が変わり過ぎてしまいました。ICが有っても作れません。しかし、CQ出版のダウンロードのコーナーに測定用音源がありますので、これを使う事ができます。
疑似音声発生器や測定用の音源があるのは良いとして、簡易的なトランシーバで使いたい時もあります。このようなトランシーバではマイク用コネクタを使わずに、直接コンデンサマイクを付ける場合があります。こうなると疑似音声の入力ができません。しかし、ザックリとした程度を測るのであれば、何か工夫ができないかと考えました。これは第20回と第31回の50MHzのAMトランシーバを作った時からの宿題です。
図1のように設定してパソコンのWSを起動し、ノイズのスペクトラムを確認しました。WSというのは、efu様(https://efu.sub.jp/)の超有名なフリーソフトで、「高速リアルタイムスペクトラムアナライザー」WaveSpectraです。以前は私には理解できない詳しい説明があったのですが、今ではDLするだけになってしまいました。今後も使わせて頂ける事に感謝したいと思います。
図1 疑似音声のスピーカ出力をパソコンのマイクに入力して測定
アンプとスピーカ部分はこの時点では完全なバラック状態です。これで良さそうなスピーカやボックスを選びました。従って同じような工作をしても、f特の再現性は全くありません。同じようにはなりませんので、単なる実験記としてもっと良さそうなスピーカとボックスを選んで下さい。
一番肝心なのは、スピーカ部分になります。いろいろなスピーカを試しましたが、特に小型のものはクセが強すぎです。この中でスピーカと呼んで良いのか解りませんが、ヘッドホンに使われていたものが一番まともな特性でした。そこで写真2のようなスピーカを使用しました。もちろん、それ程の音量も必要ではありません。
写真2 使用したヘッドホン用らしいスピーカ
回路も何もありません。TA7368Pを使った秋月電子のキットをアンプに使い、写真3のようにアンプを作りました。ケースにネジ止めする事をサボるため、基板とVR間を短いメッキ線3本で接続しています。もちろん、配線と兼用です。
写真3 作製したアンプキット
これをタカチ電機工業のSW-65Bに入れる事にし、まず穴あけを写真4のように行いました。これは写真3の位置関係を考えて開けたものです。キットのアンプをこの中に入れて、シャフトで固定します。この内部は写真5のように、基板はVRとの間のワイヤー等によって空中に浮いています。
写真4 タカチ電機工業のSW-65Bに穴あけを実施
写真5 基板を入れた様子
小型スピーカもタカチ電機工業のSW-65Bに入れ、穴あけを写真6のように行いました。どちらも同じケースですが、ちょうどサイズが合ったためです。スピーカはゴム系の接着剤を使い、写真7のように固定しました。
写真6 タカチ電機工業のSW-65Bにスピーカ用の穴あけを実施
写真7 スピーカはゴム系の接着剤で固定
なお、電池は単4×2用のホルダーを写真8のように取り付けています。電池交換のためにケースを開ける必要がありません。単3ではなく単4にしたのは、ケースの幅に合わせたためです。最近では単4を使うリモコン等が増え、使い古しも増えてきました。他で使えなくなった単4の最後の働き場としても良さそうです。
写真8 単4×2のホルダーをケースに固定
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