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新・エレクトロニクス工作室

第22回 SG用AMアダプタ

JE1UCI 冨川寿夫

2024年2月15日掲載

第14回第15回ではAD9959を使ったSGを紹介しました。第19回では、そのSGで使う20dBの外付けアンプでした。これとは別に作りたかったのが、AM用のアダプタです。SSBの受信機であれば問題は無いのですが、AMとなると無変調では少々不都合があります。そこで写真1のような、AM変調を行うアダプタを作製しました。これを使って第20回の50MHz AMトランシーバの調整を行いました。


写真1 SG用のAMアダプタを作製した

実験

変調にはDBMを使う事としました。私がDBMでAM変調がかけられるのを知ったのはR&Kのカタログで、次にトロイダル・コア活用百科の本でした。他にAM変調の方法はありますが、SGの出力に使うとなると広範囲の周波数とレベルに対応できる必要があります。もちろん限度はありますが、これらをクリアするのはDBM以外には無いと思います。

最初に基本的な実験を行いました。発振器部分は写真2のようにブレッドボード上で組んでみました。DBMは第7回のDBMチェッカで作った試験用の基板に、ICソケットにマウントしたDBMを使いました。3dBのアッテネータもBNCコネクタにマウントしたものを使ってトータルの試験をしてみました。この実験でうまく動いたので、まとめる事にしました。


写真2 最初にバラックを組んで実験を実施

SGが150MHzまでですので、当然その周波数まで使いたくなります。しかし無理をしても仕方がありませんし、用途もありません。そこで50MHzまで使えれば充分と考えました。極端に考えれば50MHzだけでも良さそうですが、結果的には150MHzまで問題なく使えそうです。

回路

実験した結果、回路は図1のようになりました。キャリアレベル調整用のVRと1kHzレベル調整のVRは、完全に独立させるのが良いと思います。もちろん、各々の電源としてのインピーダンスがありますので、影響しないという事ではありません。これは実験した結果です。


図1 回路図

このようなDBMのIFポートから1kHzを入力するような場合、3dBのアッテネータは不要のような気がするのですが、普段の流れで入れています。カタログにもアッテネータは入れるように書いてありますが、無い方がずっと楽に調整ができました。結局アッテネータは入れる事にしました。

発振器はPSoCを使って1kHzを出力しました。これは週刊BEACONのNo.152で使ったものです。もちろんPSoCである必要は何もありません。ソフトの書き込み済みPSoCが残してありましたので、安易に手元にあった1kHzを使ったにすぎません。出力インピーダンスとレベルもありますが、1kHzを発振できるものであれば試してみるのも良いかと思います。最近は1kHzのような正弦波の発振器キットが少ないようです。手軽に使えるようなものがあると良いのですが・・・。若干の手持ちがありますので、メールを頂ければ実費と送料で書き込み済のPSoCをお送りします。

DBMはワトキンス・ジョンソン社のWJ-M6Vを使いました。相当前に秋月電子で入手したものですが、一度何かに使った後の再利用になります。実験に使ったのもこのDBMです。このような中古で、写真3のような小型のDBMです。購入時には写真4のようなデータシートが付いていました。当時はネットなどない時代でしたので、容易にデータを調べる事は不可能でした。このようなデータシートは大変重要だったのです。定かな記憶ではありませんが、相当数が家にありましたので1個500円以下だったと思います。今このDBMをネットで調べても該当のものはヒットしません。この頃の秋月電子はコピーではなくリソグラフを使っていると聞いた事があります。あのカラフルな印刷はリソグラフが適したのでしょう。写真4は白黒ですけど・・・。


写真3 使用したワトキンス・ジョンソン社のDBM WJ-M6V


写真4 購入時に付属していたデータシート

もちろん、DBMはWJ-M6Vである必要は全くありません。入手が容易なもので十分です。但し1kHzを入力しますので、IFポートだけはDCから使える必要があります。最近、このようなDBMも入手がし難くなったようですが、CQ誌の広告にある斉藤電気商会でR&K社の8ピンを入手する事ができます。このM-8あたりで良いと思います。ミニサーキットヨコハマで探してみると、沢山の8ピンが見つかります。ただ、価格が見られないのは面倒で、見積もりを請求しないと解りません。このような用途であれば、500MHz程度のオーソドックスな製品が一番使いやすいと思います。一般的な自作DBMでも充分です。

SGからの入力はRFポートでもLOポートでも大差はないようです。一応図1では入力側がLOポートで、出力側をRFポートと分けています。一応この方向が推奨されているようですが、逆にしても変化は全くありませんでした。但し前述のとおり、1kHzを扱うIFポートだけは変える事はできません。

作製

図2のような実装図を作製して、ハンダ付けを始めました。図3がハンダ面になります。使用した基板は秋月電子のDサイズのユニバーサル基板ですが、部品面にシールドの付いているものを使用しました。一応高周波を扱いますので、シールド付きが適しています。もちろん1kHzの発振器やDBMによって変更になると思います。なおアースへの配線は、図2の緑点の位置で部品面のシールドにハンダ付けします。図では自動的に穴の位置になっていますが、実際には少しずらす必要があります。


図2 実装図


図3 実装図のハンダ面(上からの透視図)

図3は上から透視して見た図になります。私は主に図2を見ながらハンダ付けを行っています。そしてハンダ付けを行いながら、随時不都合な点やミスなどを修正しています。しかしハンダ付けをしていると、時々裏側から見ているのを忘れて間違える事があります。そのような間違いの防止のためですが、試しに図3を反転した図4を作ってみました。手間をかければ文字が反転しないようにも作れるのですが、それでは別々の図面で作る事となってしまいます。図面管理に支障があるので止めました。文字も反転していますので、反転している事が明白に解ります。試作ですので・・・。


図4 実装図のハンダ面(実際にハンダ面から見た図)

ハンダ付けが終わった様子が写真5になります。メッキ線が付いていますが、この後のテストのためで、BNCコネクタを付ける準備です。ハンダ側が写真6になります。これが図4と一致する事になりますので、チェックが容易になります。


写真5 ハンダ付けの終わった様子


写真6 そのハンダ面

このような基板が完成した時には、まずは最初に動作試験を行います。写真7のようにバラックで接続して確認を行いました。もちろん、この時点である程度の調整は行っています。


写真7 基板の動作確認を実施

ケースはタカチ電機工業のYM-80を使用しました。写真8のように穴あけを行いました。もっと小型に作る事も可能ですが、この程度がちょうど良いサイズなのでしょう。


写真8 ケースに穴あけを実施

このケースに入れるように基板を作っていますので、写真9のように入出力のBNCコネクタとピッタリ合います。BNCコネクタにラグ端子を固定し、基板のアース側を直接ハンダ付けしています。写真9では入力側しか解りませんが、写真手前の出力側も同じようにハンダ付けしています。基板は貼り付けボスを使って固定しましたが、無くても特に支障はありません。但し、コネクタの脱着には注意が必要になります。


写真9 ケースに基板を入れた様子

裏面からの様子が写真10になります。一応、手前側が入力となります。テプラの白文字黒テープを使って表示をしました。


写真10 ケースの裏面

調整

実際に調整してみると結構難儀しました。簡単にきれいに変調がかかりそうなイメージがありましたが、思ったよりも大変でした。最初はSG出力の-3dBで出力しようとしましたが、すぐに無理と気が付きました。変調のピークでSGの出力以上が出せるはずがありません。その上DBMでのロスもあります。更に、最初は受信しながら調整しようとしたのですが、どこがベストのポジションなのかサッパリ解りませんでした。そこで変調信号をオシロで見ながら調整したところ、キャリアの強弱と変調の深さの関係が見えて来ました。オシロが一番良さそう・・・ なのですが、私のオシロはアナログの40MHzです。これはこれで限界がありました。50MHz程度であれば変調波形を見る事ができます。しかし、100MHz以上は何も見えなくなりました。問題は周波数だけではありません。一般的なサイン波であれば全く問題はありませんが、変調波の場合はリニアに伸びない感じとなり、歪んで見えるのです。40年以上前のアナログオシロでは限界がありますし、私のデジタルオシロではAMの変調波形は無理です。

別の方法としてスペアナも使ってみました。これは後で気が付いて試したのですが、同じようにキャリアのレベルと側波帯のレベルを各々調整するだけです。100%変調すると側波帯のレベルは-6dBとなります。60%で-10.5dB、50%で-12.1dBですので、案外簡単です。また、オシロでは歪んでいるように見えた変調波形も、案外と大丈夫事でした。もちろんスペアナで見て全く歪がないわけではありません。10%程度の歪がありますので受信機の調整では大丈夫ですが、アンプの実験には適しません。PSoCの出力としては1%程度でしたので、どこかで歪みを作っているのでしょう。PSoCの出力インピーダンスの問題もありそうです。

いずれの方法でも、最初にキャリアのレベルを直流電源の半固定VRで調整し-10dBになるようにします。これはスペアナかレベル計を使うのが良いと思います。次に変調度を発振器出力の半固定VRで60%に調整します。もう少し上げられると思いますが、レベル的にも解りやすく使いやすいと思います。

使用感

写真11のようにSGに直結して使用しています。普段は面倒なので、このようにBNC P-Pの変換コネクタを使って空中に浮かせています。ケーブルを使うよりも簡単で使いやすいのです。パネル面のレイアウト時にも考えていた使い方です。1kHzの変調は上手くかかります。DBMは高レベル用ではありませんので、あまり高いレベルには対応できません。SGの出力レベルは-12dBm程度のですので、問題はありません。もちろんレベルを下げても問題はありません。本機を使ってAM受信機の調整を行ったところ、大変うまく行う事ができました。但し、アンプを入れて入力レベルを上げたところ、0dBm程度になると変調が浅くなりました。それ以上では使えないという事になります。レベルの限界なのでしょう。DBMを高レベル用にすれば、多少は改善されると思います。


写真11 このようにしてSGに直結して使用

一応50MHzまでと考えていましたが、試しに周波数を上げたところ一応変調はかかっているようです。受信機でモニターすると、150MHzでも1kHzの音は同じように聞こえました。詳細は見えませんが、一応は動作しています。スペアナで見ると、150MHzまで歪の変化なく使えるようです。但し、変調度は10MHzで59.7%だったのですが、50MHzで57.5%、100MHzで53.5%、150MHzで53.0%と、どうしてなのか下がって行きます。この原因が解りません。このような解らない事が増えるのは、考える楽しみが増えたと都合良く考える事にしています。

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