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新・エレクトロニクス工作室

第44回 クリスタルフィルタチェッカ その1

JE1UCI 冨川寿夫

2025年12月15日掲載

製作

電力的には最大でも0dBm程度ですので、小型のコアで充分です。しかし、構造的にはロータリースイッチの裏側に置くため、大きい方が作りやすくなります。そこでFT-114 #43を用い、写真2のようにスズメッキ線でコイルを12回巻きました。これならどこでもハンダ付けができます。


写真2 FT-114 #43に12回巻いたスズメッキ線

ロータリースイッチは写真3のように、まずスズメッキ線をハンダ付けしておきます。そして写真4のように、FT-114 #43の各巻き数にハンダ付けしました。ただ、ロータリースイッチの接点は均等ではありません。多少の調整、と言うより誤魔化しが必要です。


写真3 ロータリースイッチにはスズメッキ線をハンダ付けしておく


写真4 位置を調整しながらFT-114 #43にハンダ付け

ロータリースイッチを固定するため生基板を写真5のように加工し、スペアナ用のBNCコネクタとフィルタ用のSMAコネクタをハンダ付けしました。写真では解りませんが、裏側だけハンダすると強度がとれません。多少表側にもスペースをとってハンダしています。実は組み立ててから位置的に問題がある事に気が付き、SMAコネクタはもう一個追加しました。そのためタップの取り出しが3か所になりました。最初は2ヶ所で充分と思っていました。


写真5 ロータリースイッチを固定するため生基板を加工(左右で異なる)

入出力間はアースを分離するために、写真6のように木台を使っています。高周波なので、何でもアルミ等の金属を使って工作するというのでは無く、入出力間のアースは意図的に分離をしています。効果は少ないとは思いますが、この方が良いと思います。


写真6 木台にネジ止めする

なお写真6には表3が貼ってあります。これはフルバージョンの表2から、実際に使ったタップ位置だけを取り出したものです。測定に使う時にはこの方が使いやすくなります。値が一桁になると小数点以下が気になります。表3には小数点一桁まで入れていますが、写真6は前のバージョンで入っていません。まあ、あまり細かい数値には意味が無いとは思います。


表3 実際に設定したタップの表

クリスタルフィルタへの接続部分も大切です。もちろん、いい加減では入出力間で結合してしまい、測定結果に影響します。写真7写真8のようにSMAコネクタを使っています。とは言え、SMAコネクタへの配線はもっと短くするべきです。作ってみないと解らない立体的な部分で、かなり曖昧で理想とは思えません。このようなSMAコネクタではなく、同じSMAでも正方形の方が多少作りやすかったと思います。


写真7 右側のフェライトコア


写真8 左側のフェライトコア

写真9写真10がロータリースイッチの表示です。これはWordで作ったものですが、このように写真10は逆回りになっています。一応対称になるように作っていますが、曖昧な部分もあります。


写真9 右側のロータリースイッチ(右回りでUP)


写真10 左側のロータリースイッチ(左回りでUP)

接続用のケーブルですが、この部分のインピーダンスは50Ωから離れるのが一般的です。従って、長さはインピーダンス測定の誤差に繋がります。測定した結果が真の値と乖離しないように、なるべく短い配線にします。ロータリースイッチの配線も同じです。もちろん限度がありますし、使いやすさもあります。接続方法としては、クリスタルフィルタに仮ハンダするように写真11のようなケーブルを作りました。この他に、簡単に測るためのクリップのバージョンも写真12のように作りました。もう少し短くできるのですが、ハンダ部分のやり直しを繰り返すと短くなります。あまり先の事を考えても仕方ないのですが・・・


写真11 SMAのケーブルでハンダ付けしてフィルタに接続


写真12 少々手抜きですがクリップで接続

今回は、このようなクリスタルフィルタの測定用冶具を紹介しました。次回は、この冶具を使った測定結果について紹介します。

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