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ISSの「きぼう」日本実験棟から超小型衛星5基などの放出に成功

地球上空を周回している国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟から、12月19日と1月16日の2回に分けて、日本の大学などが製作した超小型衛星(CubeSat)7基が放出された。このうち5基は430MHz帯のアマチュアバンドでビーコンなどを発射する機能が搭載され、順調に地球を周回している。


九州工業大学の「AOBA-VeloxIII」放出の瞬間(写真©JAXA/NASA)

JAXAによると、CubeSatは縦10cm×横10cm×高さ10cmの立方体を「1U」とした衛星で、1U以外に高さのサイズによって「2U(縦10cm×横10cm×高さ20cm)」「3U(縦10cm×横10cm×高さ30cm)」がある。「きぼう」日本実験棟に設置されたCubeSatサイズの小型衛星放出機構(J-SSOD)は、1回の放出機会にCubeSatを最大12基(12U)放出できる能力がある。この機構を使って今回放出された超小型衛星が下記の7基だ。


「きぼう」日本実験棟から放出された7基の衛星。このうち東京大学の「EGG」と中島田鉄工所/東北大学の「FREEDOM」以外は430MHz帯アマチュアバンドでビーコンなどを発射する機能を搭載(JAXAの資料より)

このうち静岡大学の「STARS-C(はごろも)」は、親機と子機がテザーというワイヤーで結ばれた形状の衛星で、7基の先陣を切って2016年12月19日に放出された。同衛星が発射するビーコン(CWモード:親機437.245MHz、子機:437.255MHz)は、すでに世界各地で受信されている。同大学は受信報告に対して特製のQSLカードを発行する予定だ。周波数と最新情報がわかるインターネットのURLアドレス、Twitterアカウントなどは次の通り。

★静岡大学「STARS-C(はごろも)」(2U-CubeSat)


静岡大学の「STARS-C(はごろも)」。縦10cm×横10cm×高さ20cmの「2U-CubeSat」で、1Uサイズの親機と子機に分離しテザーで結ばれる(写真©JAXA)


「STARS-C(はごろも)」の受信報告に対し発行されるQSLカードの制作見本。細部が異なる場合がある(提供:静岡大学、©静岡大学/Dino Sato/NASA)

「STARS-C(はごろも)」以外の超小型衛星6基は、年が改まった2017年1月16日に放出された。その中で430MHz帯アマチュアバンドのビーコンなどを搭載しているのは下記の4基。なおイタリアの小型衛星開発会社が製作した「TuPOD」は、放出後に2つの衛星(「Tancred-1」と「OSNSAT」)に分離した。

★九州工業大学/南洋理工大学(シンガポール)「AOBA-Velox III」(3U-CubeSat)

★筑波大学「ITF-2」(1U-CubeSat)

★早稲田大学「WASEDA-SAT3」(1U-CubeSat)

★「TuPOD」(3U-CubeSat)
イタリアの小型衛星開発会社が製作。3Dプリンタで作られた3Uサイズの構体に1.5UサイズのTubeSat2機を搭載。ISSから放出後に下記の(1)(2)に分離した。

(1)ブラジルの小学校の生徒が組み立てた「Tancred-1」(1.5Uの円筒形)
・437.200MHz AX.25
(2)Open Space Network社(米国)「OSNSAT」(1.5Uの円筒形)
・437.435MHz GMSK

この中で「衛星を介したアマチュア無線通信による地上ネットワークの構築」をミッションとしている筑波大学の「ITF-2」について、同大学の「結」プロジェクトの担当者からFB NEWS編集部にコメントが届いたので紹介しよう。

『私たちは衛星電波の受信をきっかけとしてできる、世界規模の人的ネットワークを“結ネットワーク”と呼んでおります。ITF-2の電波を受信していただいた方には、アワードの発行や景品の贈呈を予定しており、世界中のアマチュア無線家に是非とも受信に挑んでいただきたいと考えています。

ITF-2からダウンリンクする電波の内容には、衛星バス部の情報やミッションデータなど、さまざまなものがあります。その中でも、今回宇宙実証を試みている超小型アンテナからの電波は、地上との通信が可能なぎりぎりの利得で設計されているため、電波強度が弱く受信が容易ではありません。しかし、すでに超小型アンテナからの電波をキャッチしたという報告をいただいており、宇宙空間では正常に動作していると考えられます。

この難しさゆえに、超小型アンテナからの電波受信に対しては、アワードや景品を用意した特別な受信イベントを開き、アマチュア無線家の方々に積極的に挑戦していただこうと考えております。当プロジェクトにおいても何としても電波をキャッチしようと、地上局設備の改良や無線技術の向上に励んでおります。

また、結ネットワークにより多くの方が参加してもらえるように、安価な機器(USBドングルやWebSDRを利用予定)による受信方法などを公開する予定でおり、アマチュア無線の知識がない一般の方でも楽しんでもらえるよう準備しております。このように、衛星の電波受信を通して一般の方にも無線に関わるきっかけを提供し、アマチュア無線界の裾野を広げることにも貢献できればと思っております。

結ネットワークの構築には、多くの方々が参加していただくことが重要ですので、アマチュア無線家だけでなく一般の方々も含めて積極的に参加をしていただけるように、今後も楽しいイベントを考え、ホームページなどでお知らせする予定です。なお、ITF-2の運用に関する最新情報は、運用専用ページ(https://operationitf-2.blogspot.jp/)に掲載し、ITF-2のパス情報、受信報告一覧などが閲覧できます。今後も筑波大学「結」プロジェクトをよろしくお願い申し上げます』


筑波大学の1U-Cubesat「ITF-2」(写真©JAXA)

衛星を開発した各大学は、430MHz帯で発射されるビーコンやデータ信号の受信方法と、日本上空の通過時刻や方位角、仰角などを知る場合に必要な軌道要素の情報をWebサイトで公開し、広くアマチュア無線家からの受信報告を求めている。

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