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日本全国・移動運用記

第17回 沖縄本島移動 その1

JO2ASQ 清水祐樹

沖縄本島は市町村の数が多く、国内の各種アワードを追いかけている方にとっては、沖縄本島での移動運用は多くの需要が見込まれます。沖縄本島のできるだけ多くの市町村で運用するために、まとまった休みが確保できる年末に移動運用を計画しました。今回はその1と題して、計画・準備から1日目の運用時の苦労に至るまでを紹介します。

沖縄本島での移動運用の特徴・注意点など

沖縄本島で国内向けの移動運用を行う場合、いわゆる本州での運用とは異なる点がいくつかあります。これまでの経験から、沖縄で移動運用する場合の特徴や注意点などをまとめました。

1. 使用できる機材に制約がある
本州在住の者にとって、移動運用のために沖縄に自家用車を持ち込むことは時間的・経済的負担が大きすぎるため、レンタカーの使用を考えました。

筆者の場合、HFの全バンドと衛星通信の運用を行い、さらにHFは常時50W出力を想定しているため、使用する機材が非常に多くなり、あらかじめ宅配便で発送しています(参考:2014年7月号2015年5月号)。宅配便は航空輸送を行う関係で、バッテリーなど輸送できない荷物があります。最近は発送時の開披検査や、危険物が含まれないことへの署名を行うことが多くなりました。また、故障・紛失時の対応も考える必要があるため、使用する機材の選定には非常に気を使います。

2. 本州向けの電波伝搬が限られる
本州では、国内向け移動運用における昼間のメインバンドは7MHz、という印象があります。ところが、沖縄と本州の間では、昼間は7MHzの伝搬があまり良くありません。7MHzが開けるのは、朝方か夕方の限られた時間となります。沖縄は日の出、日の入りの時刻が本州より遅いことにも考慮が必要です。

電波伝搬のコンディションが良い時期であれば、昼間に沖縄上空のF層の臨界周波数が10MHz以上に伸びることが多く(参考 2014年4月号)、10~18MHzあたりで国内と良好な伝搬が期待できます。

しかし、2016年12月現在、太陽黒点の数が非常に少ない状態にあり、F層の臨界周波数も7MHz前後になることが多いようです。この場合、昼間にF層の臨界周波数が低くなると、7MHzでは近距離がスキップして国内遠距離しか聞こえない、3.5MHzでは沖縄から本州まで飛ばない、といった事態が発生します。CWならば弱い信号で何とか交信できる場合があっても、SSBではこのようなコンディションでは交信が難しくなります。春~夏期であれば、昼間にE層が出現するため、コンディションが悪くてもE層の特性で7MHzだけは何とか聞こえる可能性が高いです。すなわち、電波伝搬の特徴を考えた場合、太陽黒点の数が少ない状況下の冬期は、沖縄での移動運用には適さないと言えます。

3. 危険な生物がいる
沖縄では「ハブに注意」の看板をよく見かけます。夜間の運用でアンテナを設置する場合、草むらの中などに入らないよう注意が必要です。また、アフリカマイマイという巨大なカタツムリがいます。危険な寄生虫がいるため触ってはいけません。

4. 移動運用の場所を確保しにくい市町村がある
沖縄では地形的な関係、人口密度が高い、基地が存在するなどの要因で、移動運用の場所を確保しにくい市町村がいくつかあります。そのような場所で、アンテナを工夫して運用にチャレンジするのも一つの楽しみ方かもしれません。

移動1日目は、台風並みの猛烈な風

12月27日の午前中に那覇空港に到着し、午後から那覇市内の公園で運用を開始しました。那覇市内は曇時々晴の天気で、強風が少し気になるかな、といった天気です。1日目は那覇市に近い宜野湾市、浦添市での運用を計画しました。いずれも海に面しており、海岸であれば運用場所の確保は難しくありません。ただし、地形的に本州方向にはあまり開けていないことと、都市部のためノイズの発生が気掛かりでした。那覇市での運用は7MHz、10MHzがそこそこ聞こえており、14MHz以上は全くといってよいほど聞こえませんでした。3.5MHzにもチャレンジしたものの、信号は浮きませんでした。

宜野湾市の海岸の公園に15時過ぎに着いた頃から風が強くなり、車のドアを開けるにも苦労するほどの猛烈な風が吹くようになりました。伸縮ポールを伸ばしてワイヤーアンテナを展開すると、伸縮ポールが風でクネクネと曲がっていました。アンテナの部品が落下するなどしてレンタカーに傷を付けないよう、固定方法を工夫して何とか持ちこたえました(図1)。

宜野湾市は固定局、移動局とも比較的アクティビティが高いように見受けられます。しかし、1.9MHz WACA(全市交信)を達成されたある方から1.9MHzの運用がほとんど無いとの情報を得ていました。そこで、海岸に置かれている船の支持台などを利用してローバンド用のアンテナを設置しました。HFのコンディションは少し良くなって、14MHzで国内の広い範囲が入感しました。

18時台からは1.9/3.5MHzの運用を開始。カレンダー上では平日とあって呼ばれる局数は少な目でした。1.9MHzは1エリアが限界のようで、7・8エリアとは残念ながら交信できませんでした。この時点で相変わらず猛烈な風。気象情報のウェブサイトを見ると風速が11m/sを超えていました。電線が鳴る、取り付けの不完全な看板などが飛び始めるといったレベルです。

浦添市の海岸の工事現場脇に移動し、再びローバンド用のアンテナを設置しました。強風は相変わらずで、アンテナが大きく風に揺られ、伸縮ポールがもの凄い勢いで曲がっていました。電波伝搬はさらに悪化し、1.9MHzは九州までしか飛ばなくなり、3.5MHzもリグやアンテナが故障したのかと思うような弱さでした。念のため出力を測ると50W出ていました。悪天候とコンディション悪化のダブルパンチ、これが冬の沖縄の移動運用の怖さです。


図1: 宜野湾市での運用の様子

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