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特集

IC-7610に見る、3つの驚くべき性能 ~OVF(オーバーフロー)を徹底検証~

月刊FBニュース編集部

革新的とも言うべきIC-7610の送受信音のクオリティ、RMDR、さらにはOVFについても検証し、IC-7610の真の魅力と実力に迫るシリーズ。今回はOVF(オーバーフロー)にスポットを当てた。

第1回 送信波:世界の空が変わる。
第2回 受信音:アマチュア無線家たちが、音を語りはじめた。
第3回 RMDR:チャンスはRMDRに比例する。
特別編 IC-7610のスペクトラムスコープは最強か。
第4回 OVF(オーバーフロー)を徹底検証

第4回 OVF(オーバーフロー)を徹底検証

IC-7610は受信性能、スペクトラムスコープ、送信波、フェーズノイズ特性において、同クラス機を寄せ付けない性能と評価されている。そのIC-7610とIC-7300だが、新たに「OVF」の表示が装備され、気になっている人も多いのではないだろうか。そこで、月刊FB NEWSでは、IC-7610のOVFを検証してみることにした。

OVFの検証

今回は主に以下の2点について検証していく。
・IC-7300やIC-7610の「OVF」表示が点灯すると、どのような挙動になるのか?
・他のSDR機と比較して、IC-7610の強入力信号への耐性はどうなのか?

測定機器の構成は下図の通り。比較対象は海外製のSDR機(日本での販売価格はおよそ60万円)。

■測定機器構成図

・妨害波発生用にSSG(Standard Signal Generator)を1台、目的信号は、無線機からCWを送信してコンバイナで合成。その信号を無線機に入力。
・目的信号の送信出力はSメーターが振れない弱い(スコープで信号の存在が辛うじて確認できる)レベルに設定し、モールス符号で連続キーイング。

●検証1 IC-7610のPRE/offの受信感度-133dBmに合わせて測定
まずは、IC-7610のプリアンプの設定をoff、海外製SDR機のプリアンプの設定を+20dBにし、受信感度を約-133dBmで統一。妨害波の信号強度を-20dBmから1dBステップで0dBmまで上げていき、どこまでオーバーフローすることなく受信できるかを検証してみた。

なお両機の受信感度※(プリアンプ:off、BW:500Hz)は以下の通り。
・IC-7610/-133dBm
・海外製SDR機/-119dBm
※MDS(Minimum Detectable Signal )

<条件>
・受信感度:約 -133dBm<IC-7610: PRE/OFF、海外製SDR機: PRE/+20dB>
・モード: CW  ・BW: 500Hz  ・妨害波との離調周波数: +10kHz

→音声はステレオで録音されています。ステレオスピーカーまたはステレオヘッドホンでお聞きください。(左: IC-7610、右: 海外製SDR機) ※再生の際は音量には十分ご注意ください。

<結果>
-20dBmでは両機とも差はなく、受信することができた。しかし、海外製SDR機は-19dBmですでにオーバーフローの状態となり受信不能となった。一方のIC-7610は-10dBmでOVF表示が点灯したものの問題なく安定して受信できた。その後、0dBmにまで強度を上げてもはっきりと信号を聞き取ることができた。驚くことに、さらに+5dBm程度まで入力しても受信音が破綻するようなことはなく、十分了解できた。

・信号強度と受信状態一覧


受信音を聞き取れる 「OVF」表示は点灯するが受信音を聞き取れる
×オーバーフローして信号を確認できない

●検証2 海外製SDR機のPRE/offの受信感度-119dBmに合わせて測定
次に海外製SDR機のプリアンプの設定をoff、IC-7610のアッテネータを+12dBに設定し、受信感度を約-119dBmで統一。妨害波の信号強度を0dBmから1dBステップで+10dBmまで上げていき、どこまでオーバーフローすることなく受信できるかを検証してみた。

<条件>
・受信感度: 約-119dBm<IC-7610: ATT/+12dB、海外製SDR機: PRE/off>
・モード: CW  ・BW: 500Hz  ・妨害波との離調周波数: +10kHz

→音声はステレオで録音されています。ステレオスピーカーまたはステレオヘッドホンでお聞きください。(左: IC-7610、右: 海外製SDR機) ※再生の際は音量には十分ご注意ください。

・信号強度と受信状態一覧


受信音を聞き取れる 「OVF」表示は点灯するが受信音を聞き取れる
×オーバーフローして信号を確認できない

<結果>
0~1dBmでは、+1dBmでIC-7610のOVF表示が点灯したが、海外製SDR機と同様に受信できた。しかし、+2dBmで、海外製SDR機は受信不能に陥った。一方のIC-7610は+10dBmまで強度を上げても問題なく受信できた。

●検証3
<条件>
・モード: CW  ・BW: 50Hz  ・妨害波との離調周波数: +200Hz
・妨害波の信号レベル: -10dBm  ・ATT: off  ・AGC: off

さらに、フィルターを最小の50Hzに設定し、妨害波の離調周波数を200Hzまで接近させ、さらに過酷な条件にし、IC-7610にオーバーフローが起こるか検証してみた。

<結果>
妨害波が入ると、IC-7610のOVF表示は点灯するものの、受信信号は破綻することなく問題なく受信することができた。また、妨害波によるブロッキングの影響もほとんどなかった。

<結論>
今回の実験を通して、IC-7610のOVF表示点灯=オーバーフロー(受信不能)というわけではないことがわかった。それどころか、OVF表示点灯後も、信号強度を相当上げてもオーバーフローすることなく、安定して信号を聞き取ることができた。また、価格的には上の海外製SDR機と比較しても、圧倒的にオーバーフローしないことが実証された。

IC-7610やIC-7300のOVF表示については、受信しているバンド内に強力な信号が存在していることを知らせるインジケーター程度に考えておいて問題なさそうだ。OVF表示が点灯し、さらに受信音に異状を感じたら、プリアンプを切る、RFゲインを絞る、ATTを入れるといった対応をする、という使い方がベストだ。

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次号「月刊FBニュース2018年5月号」は 5月1日(火)と15日(火)に公開予定

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