2016年3月号
連載記事
次に見せていただいたのは、工業クラブで作った電光表示板。市販されているLEDのパネルを組み合わせて作ったもので、スイッチを入れると「歓迎 Masacoさん、月刊FB NEWSの皆さん、ようこそ茨城県立八千代高等学校工業クラブへ」という文字が!!! これはメッチャうれしい!! 感動!!! 作るのは難しかったんでしょう?
電光表示板を準備する、顧問の小平先生
歓迎 Masacoさん」の文字が出てきました。うれしい!!
「いえ、本当は部品を全部買って作ろうとしたのですが、キットの方が安かったので、それをベースに、電池で動作するようにしたり、どこでも持ち運べるようにケースを工夫して作りました」と・・・。いいなあ、これがあれば新幹線の車内みたいに“ニュース速報”が流せそう~!? 「Masacoさん電撃〇〇〇〇」なーんちゃって!
工業クラブで、この一年間の活動として一番印象に残っているのは、10月に行われた「全国総合学科研究発表会」で、日本中から集まった高校の総合学科の先生、600人の前で工業クラブの活動と電波や無線に関する研究発表を行ったことだそうです。
3年次の大島君が中心になって、森さん、倉持君、相原君の4人が、短期間で特殊無線技士や3アマの資格を取得した話や、アンテナの製作や実験を行った成果を発表したそうで、先生方にもとても好評だったとか。でも「大きな国際会議場のステージの上で発表するのは緊張して、ノドがカラカラになりました」って、わかるなぁ。
私も何度も大きなステージで、お客様に歌を届けているけれど、始まる前は緊張しっぱなし。でも終わったあとの拍手をいただく気持ち良さって、たまらないよね~。
ちなみに「Masacoさん、緊張のほぐし方はどうしてます?」って聞かれたんだけど、「そんな時は、“夏は!”・・・“キンチョー”って言うと、ちょっとほぐれるよー!」って言ったら、皆さん「???」で、ジェネレーションギャップでした(笑)
「全国総合学科研究発表会」で茨城県代表として発表したときのスライドから
このほか工業クラブは、ARDFでも活躍しているそうです。2015年は全国高等学校ARDF競技大会に茨城県代表として出場して、学校対抗部門で10位に入賞しました。ARDFは高橋君が説明してくれました。
ARDFに欠かせないアンテナ。ここにもカッティングマシンで作ったネームシールが貼ってあります
「成績は微妙なんだけど、思い切り走って、思い切り汗かいてストレス解消できるのがいいですね」と高橋君。ああ、私も中学から大学まで陸上部だったからわかるなあ~。でも野山を走る競技って大変でしょう?
「もう卒業した先輩ですが、迷子になる“常習犯”がいたんですよ。地図がうまく読めないんだそうです。あと紅葉の季節は、ポイントに立っている赤い旗や黄色い旗が目立たなくて苦労するんですよ」
部員の紅一点、森さんは「時間制限内にゴールしないといけないのが大変なんです。遠くに行きすぎるとゴールできないし、夏場は結構暑いから飲み物を持って行かないとバテるし。アンテナは重いし・・・」そうそう! 前回お邪魔した奈良育英中学校・高等学校でARDFの機材を持たせてもらったけれど、アンテナって意外と重いよね・・・。
小平先生は「私が一番心配なのは、山で遭遇する虫や動物です。クマは逃げてくれるかもしれないけれど、ヘビは逃げないし、去年はイノシシが出たこともありました。夏の全国大会はハチが一番怖いです。ARDFはそういった意味でも自然との闘いですよね」とおっしゃっていました。クマ! ヘビ!! ハチ!!!って、苦手なものばかり~!
ARDF大会や通信競技大会での賞状もクラブのお宝です
それから茨城県高文連で行っている「通信競技大会」にも連続出場して優秀な成績を収めているそうです。通信競技大会って、何!? 皆さんご存知ですか? 「どんな通信をするの?」 と伺ったら「じゃあ、実演しましょう」と、部員の皆さんが用紙を配り始めました。
そして全員が着席して書き取りの準備を。部員の川和君がパソコンのスイッチを入れると「Juliet Kilo Whiskey・・・」と英語が流れ始め・・・。
そう! アマチュア無線でよく使われるフォネティック・コードなんです。それをJulietなら「J」、Kiloなら「K」と、正確に書き取っていくのが競技だそうで、私も挑戦したけれど・・・うーん、100秒で100文字の問題文を読み上げるスピードについて行けない~!! 練習しなくちゃ!!
通信競技大会で行う欧文受信の練習風景。みんな真剣に聞き取っています
聞き取った100文字のフォネティック・コードはこうやって書き取ります。インターネットに練習用の音源があるので、読者の皆さんも挑戦してみてください
「実は本番の競技はもっとスピードが速いんです。80秒で100文字というのもあって、それで95点以上取ると入賞の可能性が出てきます」ということでした。問題例の音声ファイルはここにありますから、読者の皆さんも挑戦してみてくださいね。
http://www.jl1zdn.koubun.ibk.ed.jp/oubun/oubun_menu01.html
ARDFや通信競技に強いということは、皆さんアマチュア無線の免許を取っているのか、小平先生に伺ったところ、9名全員がハムの資格を持っていて、そのうち6名が第3級アマチュア無線技士だそうです。でも残念ながら個人局を開局している部員はいないそうです。
「実はアマチュア無線だけじゃなくて、部員たちはいろいろな資格取得に熱心なんですよ」ということで、部員の皆さんが用意してきた免許証を見せていただきました。陸上特殊無線技士、電気工事士、危険物取扱者、ガス溶接、アーク溶接、クレーンや玉掛け、フォークリフト、高所作業・・・とにかくみんなの持っている資格がすごくて、とてもたくましく見えました♪
それぞれが取得した資格や免許を見せてくれました。皆さん頑張っています!
一番ビックリしたのは3年次の須藤君。ガソリンなどの危険物や可燃物の取り扱いに必要な「危険物取扱者」の資格は乙種1類から6類まで全部取得して、茨城県で表彰されたそうです。それに第二級陸上特殊無線技士、電気工事士、フォークリフト、アーク溶接、高所作業車、玉掛け作業などの資格も取ったんですって。履歴書に書ききれないくらいたくさん!! そして、なんだかもう、社長さんのような貫禄もみえますね・・・!
小平先生は「本校でも工業クラブでも、資格取得を推奨しています。進学や就職の面接のときに“君はこの資格を持っているんだね”と印象づけたり、“この資格はどうして取ったの?”と質問されるきっかけにもなりますし、将来転職時などにも役立ちます」と説明してくださいました。
実際、須藤君も「志望の電気エネルギー制御科の試験の時、先生に“キミはどんな資格を持ってるの?”と質問されたので“電気工事士です”と答えたら、“じゃあ大丈夫だ。この学校の授業について行けるよ”と太鼓判を押してもらえました。資格を取っていてよかったと思いました」と語っていました。
工業クラブは、現在アマチュア無線社団局の開設(以前あった局の再開)を準備中。無線機も少しずつ買い揃えています
最後に一人ずつに「将来の夢」を語ってもらいました。これがメッチャ素敵なんだ!!
相原君「専門学校の生産技術科に行くので、CADを習って、ネジとか細かい部品の設計をしてみたいです」
須藤君「電気エネルギー制御科に行くので、ハイブリッド技術や制御技術にかかわる技術者になりたいです」
高橋君「父と同じ会社に就職します。父のように頼られる人間になりたい。そして楽しい家庭が作りたいな」
倉持君「とにかく頑張ることです」
大島君「頑張って働いて、家を建てたいです」
森さん「私は自動車整備士になることです。GT-Rに乗りたい!!」
川和君「3年の先輩たちのように優秀な人になって、後輩たちにも認められたいです」
Masaco「当時は幼稚園の先生になりたかったなぁ」(笑)
屋上にあるダイポールアンテナの前で。皆さんありがとう~!
素直でまっすぐな瞳の生徒さんに会うと、原点に・・・って心がひきしまりますね~。ちょうど今レコーディング中なんだけど、たくさんのエネルギーをいただいたので、この勢いで突っ走らなきゃ!!!
若いってすばらしい♪(笑)出会えた皆さん♪ありがとう!これからも頑張ってくださいね。
(JH1CBX Masaco)
協力:全国高等学校文化連盟アマチュア無線専門部設立準備会
Masacoの「むせんのせかい」~アイボールの旅~ バックナンバー
- 第11回 徳山工業高等専門学校 アマチュア無線同好会の皆さん
- 第10回 国立極地研究所と第58次日本南極地域観測隊の皆さん
- 第9回 名古屋工業高等学校 アマチュア無線同好会の皆さん
- 第8回 中部大学 無線部の皆さん
- 第7回 秋田県立能代高等学校 無線部の皆さん
- 第6回 「UECコミュニケーションミュージアム」を訪問!!
- 第5回 神奈川県立横須賀工業高等学校 電子研究部の皆さん
- 第4回 静岡県立掛川工業高等学校 電気・アマチュア無線部の皆さん
- 第3回 茗溪学園中学校高等学校 科学部無線工学班の皆さん
- 第2回 茨城県立八千代高等学校 工業クラブの皆さん
- 第1回 奈良育英中学校・高等学校 情報技術部(JA3YTF)の皆さん