PHONEで楽しむQRP通信
2023年10月16日掲載
8月も終盤カウントダウンの日曜日の8/27、東京湾唯一の自然島「猿島」【JCC#1102神奈川県横須賀市】に行ってみました。 猿島へは京浜急行電鉄の横須賀中央駅から徒歩15分ほどの三笠公園に隣接した三笠桟橋から船に乗り10分ほどで到着します。おりしも桟橋の海面にはクラゲが浮遊する季節となっていました。
猿島へ上陸するのはおよそ5年ぶりです。最初に訪れたのが10年ほど前の1エリアQRP特別記念局の移動運用でした。 猿島は、東京湾唯一の自然島かつ無人島で現在は整備され、日中は猿島公園として公開されています。以前訪れたときは、プレハブ小屋の乗船券(チケット)売場でしたが、現在は隣接建物の1階に移動しており、チケットは乗船券と猿島公園入園券がセットになったものが販売されていました。 昔からドラマ等のロケ地としても使用されており、筆者の世代では仮面ライダーのゲルショッカーの秘密基地であったことは有名な話です。
今回はこの秘密基地のあった展望広場で移動運用を行いました。かつては島内各所に展望広場が点在していましたが、現在は立ち入り禁止となった場所が増えているようでした。
今回は、久しぶりの来島につき現地調査を兼ねていましたので、お手軽運用の形をとり、IC-705・5WとRH770による144MHz帯、430MHz帯の運用としました。QSOでは横須賀市内や近隣地区の方とつながりましたが、猿島への来島の経験がない方が多かったようで、まるで東京の原宿に近隣住民は行かないあるあるのように感じました。
横須賀中央駅
三笠公園
チケット
島への渡し船
猿島全景
島の桟橋
整備された散策路
かつての秘密基地
展望広場からの眺望
運用設備
運用結果は以下の通りでした。QSOしていただいた方ありがとうございました。
猿島移動はここまで。
アマチュア無線QRP号
ヘッドマーク
(1) 企画
コロナ禍も5類に移行し、ハムフェアも無事終了したことで皆さんがアイボールQSOの機会を継続して望んでいるのではと思い込み、9月はQRP(小電力)通信とQRPな小さい電車「都電荒川線」を掛けあわせ、QRPerを対象に都電荒川線を貸し切って、QRP懇親会の開催並びに車内での都電モービル運用を試みました。都電を貸し切るのは2014年6月(QRPデーをテーマ)以来、2度目になります。
(2) 都電の貸切
世間では宇都宮LRTの開業があり、にわかに路面電車が注目されています。都電荒川線(東京さくらトラム)は東京都内(早稲田~三ノ輪橋12.2㎞)を走行する路面電車です。この都電荒川線では路線バス同様にリーズナブルな価格で電車を貸切ることができます。使用する車両も選択が可能で、今回もヘッドマークが掲出できる車両を選択しました。ヘッドマークはA3タテの用紙で自作しラミネートフィルムで加工しました。
ヘッドマークデザインはQRP対応機製造のメーカー2社の了承を得て作成しました。
地元の方は駅に貸切電車の広告が掲出されているのでご存知の方は多いと思われますが全国的には目的・興味をもって検索しない限り、都電貸切の情報は目にすることがありませんので、鉄ちゃんの間でもあまり知られていないようです。
駅の貸切電車広告
貸切電車の受付は2ヶ月前の月初め1日の午前10時から行っています。都電の貸切電車に興味のある方は東京都交通局のホームページをご覧ください。 今回、貸切申込の際、車内でのアマチュア無線運用の許可を受けることで430MHz帯FM出力5W以下のQRVが可能となりました。(アンテナの車外取付は不可)
今回の行路(行程)は以下の通りでした。
(3) それでは乗車
参加者は筆者を含め10名で、9名の参加申し込みがありました。座席数24に対して密にならない、余裕のある人数になりました。残念ながら、月刊FBニュースを介しての参加申し込みはありませんでした。
参加者は以下の通りです。(事前にコールサインと写真掲載可を確認済)
JK1LSE局、JA1APA局、JE1NGI局、JG6DFK/1局、JO1FRI局、JR1QJO局、JI1DRW局、JH1ARY局、JA6IRK/1局、そして筆者JE1ECFです。
参加者集合写真
乗車中は各々が都電モービル運用、アマチュア無線談議に花を咲かせました。430MHz帯FMでのQRVや自作やQRVの工夫について談議しました。また、鉄分の多い方もおられ、終始、前面展望かぶりつきと、夫々楽しまれたようです。また、参加者が提供していただいたマルチメーター争奪じゃんけん大会も行われました。
参加者からは「昔はビール列車等もあり、車内での飲食が可能であった」、「HF帯からアンテナを用意して、車内外にアンテナを設置して車と並走して車によるモービルと都電モービルとでQSOを楽しんだ」とか古き良き時代の昔話が飛び出しました。
参加者が持参した自作の430MHz帯FM機の周りでは自作談議が行われました。40kHzステップVFOの回路構成の発想には皆が関心を持ちました。 参加局の一人は430MHz帯FT8を受信したが残念ながら信号は見えなかったとのことです。 筆者はIC-705・5WとRH-770の組み合わせで都電モービルにトライしました。
交信相手は沿線アマチュア局がほとんどでした。そんななか、飛鳥山から王子駅前を走行中に群馬県草津を移動する局のCQがRS58で入感したのでコールしましたが、前橋の局とのパイルアップ? に負けてしまいました。その後電車は王子駅前を通過して新幹線の高架下を走行、そのころには草津の移動する局は聞こえなくなりました。筆者は車内で数局とQSOをしておりましたが、車内でその他のハンディ―機でワッチしている参加者は相手局がわからなかったことを告げられ、エアーQSO? 一人QSO? とか言われましたが、筆者のIC-705ではSメーターもしっかり振れ受信できており、筆者の傍でそれをみていた参加者に対して、ちゃんとQSOしていることが証明されました。実際、運用を行っている筆者も車内(金属筐体に囲まれた状態)で複数の局とQSOできるとは思っておりませんでした。IC-705・5WとRH-770の組み合わせ、恐るべしです。
QSOしていただいた方の中には月刊FB ニュースを見て交信を楽しみにしていたという方がいました。また、沿線にお住まいでQSOしていただいた方がQSO後に路線の最寄りまで出向いていただき、電車に向けて手を振ってのお見送りという、うれしいサプライズもありました。
マルチメーター
自作機を囲んで
FT8受信中
QSO中の筆者
(4) 今回の盲点・トイレ問題
これまで会議スペース等の施設を利用しての懇親会を開催したことがありますが開催時間は概ね2時間(トイレ退室可)です。今回の貸切は、電車にヘッドマークを取り付けての運行も目的の1つでした(筆者の鉄分が出てしまいました)。
ヘッドマークを掲出する場合、荒川車庫にてヘッドマークの取付と取り外しを行うため、荒川車庫から発着することとなり行程は2時間となりました。
この貸切電車は一般ダイヤにて運行、乗客の輸送を目的とした貸切であり、途中の乗降はできません。ということは「トイレ休憩なし」ということになります。若い方には何でもないことなのでしょうが、我々アマチュア無線家はお年を召された方が多い世界です。そう、このことは重要な問題になるのです。故に、「2時間トイレ休憩なし」の条件に参加を断念された方もいました。 以前、利用した際はヘッドマークの掲出可で荒川車庫~早稲田~三ノ輪橋の2区間1.5時間で開催したのでトイレ休憩は考えませんでした。
もしかして、荒川車庫~早稲田~荒川車庫~三ノ輪橋~荒川車庫4区間とすればトイレ休憩ができたのかもしれません。ただ、さすがに4区間を個人負担するのはリーズナブル感が欠如してしまいます。長時間の貸切の場合、運行する団体側から機転を利かせた途中でのトイレ休憩案が提示されれば、利用者としてはうれしく感じられたでしょう。
(5) 今後の教訓
今後、都電貸切電車を利用するときはヘッドマーク掲出を断念し、アクセスを優先し、降車後に飲みの席に移行しやすいように日本アマチュア無線連盟(JARL)本部のある大塚駅前~三ノ輪橋~大塚駅前の2区間にしたいと考えます。
(6) 今後の企画
次回、QRPな車両を利用するQRP懇親会第2弾は来春に関西地区の阪堺電車で開催したいと考えます。こちらの貸切電車はビール・宴会電車を想定しており、飲食の持ち込み、トイレ休憩が設定されているようです。併せて、準備等お手伝いを頂ける方を募る予定です。
★★★ウラ話★★★
1. 開催時期
当初、この貸切電車は8月中の土曜日に予定していました。貸切可能日がハムフェアと重なったことで9月の開催としました。
2. 都電モービル運用
運用周波数は433.92MHzとしました。これは参加者自作の無線機がこの周波数1波に対応していることを考慮したためです。
懇親会に自作無線機を持ち込むと、よく無線機同士の鳴き合わせを行います。これも参加者の楽しみの1つになります。今回は433.92MHzでQRV後、モービル局とのカブリが出てきたのでバンド内をQSYしました。
3. 貸切電車の運賃
東京都交通局のホームページには貸切電車の運賃が掲載されています。今回は3区間を貸切にしました。貸切費用は筆者が負担。参加費は通常料金3区間分(端数切り捨て)のワンコインとしました。
この貸切の運賃は東京竹芝~小笠原父島を結ぶ定期船おがさわら丸の2等和室での往復運賃より安く、小笠原にて父島から南島(無人島)への渡航チャーター(ガイド付き)料金より高めでした。
以上で都電貸切電車アマチュア無線QRP号はおわり
次号をお楽しみに
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