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アイコムフェアinならやま研究所、400名を超える来場者で賑わう

2023年12月1日掲載

アイコム株式会社は11月23日(木・祝)に、奈良県奈良市のアイコムならやま研究所で「アイコムフェアinならやま研究所」を開催、新製品などの展示や講演、技術発表、体験運用などを行い、400名を超える来場者で賑わった。


会場となったアイコムならやま研究所(2号館)には、早朝から大勢のアマチュア無線家が訪れた


講演を聴講する人たちでセミナールームは満員に

奈良県奈良市にある「アイコムならやま研究所」は、アイコムが1994(平成6)年に開設した同社の研究拠点だ。アマチュア無線のデジタル通信「D-STAR」の研究開発もここで行われたことから“D-STARのふるさと”という愛称も付けられている。

広大な敷地には、最大51m高の巨大クランクアップタワーを始め、多数のアンテナタワーや月面反射通信用のパラボラアンテナが設置されている。建物は3階建ての「1号館」と、2階建ての「2号館」があり、今回のイベントは2号館を中心に行われた。


イベントの全体マップ。メイン会場として2号館が使われた

当日は好天に恵まれ、午前9時半頃には開場を待つ人たちが2号館の前に多数集まった。今回は最寄り駅のJR平城山駅からジャンボタクシーによる無料送迎が行われたほか、前回のイベント(2022年12月18日開催)で好評だった軽食販売のキッチンカーが2台に増やされるなど、来場者の利便性がより高まっていた。


最寄りの平城山駅(JR奈良線)から会場までジャンボタクシーによる無料送迎が行われた


午前10時の開場を待つ人たちが2号館前に集まっていた

では、コーナー別におもな展示内容やイベントを紹介していこう。

2号館 1階の展示と物販

★無線機/アンテナ展示コーナー
アイコムのアマチュア無線機、ライセンスフリー無線機、業務用無線機の展示と、共催メーカーであるアンテナテクノロジー株式会社、第一電波工業株式会社によるアンテナの展示が行われコーナーは常に混雑していた。


混雑する無線機・アンテナ展示コーナー

アイコムのコーナーでは現行機種のラインアップのほか、HF/50MHz帯オールバンド1kWリニアアンプ「IC-PW2」と、V/UHF帯で2波同時受信ができるハンディタイプの広帯域受信機「IC-R15」という2つの新製品を実動展示。発売開始が近いとあって、スタッフに熱心な質問をする来場者の姿が目立った。


新製品のHF/50MHz帯オールバンド1kWリニアアンプ「IC-PW2」(左)は、IC-7851(右)と接続してデモ展示


2波同時受信が可能な新製品の広帯域受信機「IC-R15」も初めて実動展示が行われた


144~5600MHz/10GHzをカバーする「IC-905」もアンテナ類と合わせて実動展示


人気のデスクトップ機、左から「IC-9700」、「IC-7300」、「IC-7610」も実動展示

アンテナテクノロジーは、IC-905でも使用できる2.4GHz帯や5.6GHz帯の各種アンテナや、IC-905のRFユニットとアンテナの接続に便利な低損失ケーブル類などを展示。第一電波工業はHFからV/UHF帯の無指向性アンテナを中心に展示したほか、HF~430MHz帯のポータブルスクリュードライバ型アンテナ(RHM12)とIC-705を使った、FT8運用のデモンストレーションを行っていた。


アンテナテクノロジーの展示


第一電波工業の展示

★物販コーナー
別室に設けられた物販コーナーには今回のイベントを共催する、雑誌「HAMworld」の電波社、月刊誌「CQ ham radio」のCQ出版社、全国の無線ショップの商品などを扱うモール「MUSENモール」の3社がブースを出展。雑誌バックナンバーや書籍、無線グッズ、小型PCや沖縄グルメセットなど多彩な商品を販売していた。


電波社(HAMworld)の物販ブース


CQ出版社(CQ ham radio)の物販ブース


MUSENモールの物販ブース

2号館 中2階の展示

★交流ゾーン
2号館の階段を上がったところにある中2階では、今回のイベントを共催するFMぱるるん、月刊FB NEWS、歌手のMasacoさん(JH1CBX)、hamlife.jpの4つがブースを出展した。FMぱるるんはアマチュア無線のラジオ番組「ビームアンテナ」(毎週月曜日21時から放送)の公開収録も行った。この模様は12月3日と10日に放送される予定だ。


FMぱるるんのブース。ラジオ番組の公開収録も行われた


月刊FB NEWSのブース。過去に掲載した電子工作の作品を展示し、特製クリアファイルを配布


Masacoさん(JH1CBX)のブース。CDや2024年版ミニカレンダーを販売


アマチュア無線ニュースサイトhamlife.jpのブース。1968年(昭和43年)製造のFDFM-2(未使用品)を展示

2号館 2階の講演と展示

★セミナー会場
中2階からさらに階段を上がった2階には、広いセミナースペースが設けられ、アイコムのスタッフによる「IC-PW2の概要」、「IC-905の魅力」、「IC-R15の楽しさ紹介」という3つの講演が行われたほか、会場である「アイコムならやま研究所」の紹介タイムが設けられた。

「IC-PW2の概要」、「IC-905の魅力」の講演は、午前と午後の2回、同一内容で行われたが、特に午前の部は用意した120席の椅子が埋まり、立ち席で聴講する人も出る盛況ぶりで、1号館3階のサテライト会場でのリモート聴講を案内する一幕もあった。


「IC-PW2の概要」の講演風景


「IC-905の魅力」の講演風景


「IC-R15の楽しさ紹介」の講演風景


「ならやま研究所紹介タイム」も設けられた

★24GHz帯デモコーナー
2階の一番奥の部屋では、アイコムが開発中の24GHz帯トランスバーターを取り付けたIC-905(IFは5.6GHz帯)を使った、ATVの画像通信デモンストレーションを実施。鮮明な動画が得られる様子や、送信側と受信側の距離はわずか数メートルだが、パラボラアンテナの向きによって、画像のメリットが変化する様子に注目が集まっていた。


24GHz帯トランスバーター(パラボラアンテナ後部に取り付け)を使ったATVのデモンストレーション


デモンストレーションに使用したIC-905は24GHz帯の表示が出るように改造されていた

★10GHz帯体験運用コーナー
24GHz帯デモコーナーと同じ部屋には、IC-905XGによる10GHz帯の体験運用コーナーが設けられていた。IC-905のRFユニットと10GHz帯トランスバーター(CX-10G)は、ならやま研究所で最も大きなクランクアップタワー(最大長51m)の頂部に取り付けられていて、アイコム本社(大阪市平野区)に設置したクラブ局と交信が可能な状態になっていた。


IC-905XGを使用した10GHz帯の体験運用コーナー。ならやま研究所とアイコム本社のタワーに取り付けられたカメラの映像も表示していた


ならやま研究所の最大高51mのアンテナタワー。上部にIC-905のRFユニット、10GHz帯トランスバーター、パラボラアンテナなどが取り付けられている


タワー上部に取り付けられたIC-905のRFユニットとアンテナ類。パラボラアンテナが10GHz帯用だ

ならやま研究所とアイコム本社は直線距離で約24kmだが、途中に生駒山系があるため直接見通すことはできない。しかし双方がパラボラアンテナの向きを調整すると山岳回折伝搬による交信が可能。来場者はその模様を体験運用で楽しむことができた。


IC-905XGの山岳回折概略図も掲示

★懐かしのリグ展示/その他
10GHz帯体験運用コーナーの向かい側では、1960年代から1980年代まで、アイコム(「井上電機製作所」の時代を含む)の懐かしい無線機、15台が展示されていた。中にはアマチュア無線機の第1号機となる50Mc帯ポータブル機「FDAM-1」(1964年)のような珍しい製品や、大ヒットしたスキー映画にも登場した144MHz帯ハンディ機「IC-μ2」なども展示。来場者からは「懐かしい!」、「このリグは持っていた」などの感想が聞かれた。


懐かしのリグ展示コーナー。1960年代から1980年代までの15台が並んでいる


右端にあるのがアイコム(井上電機製作所)のアマチュア無線機の第1号機「FDAM-1」(昭和39年1964年)だ

さらに、アイコムが自社開発した「10GHz キャビティBPF」、「24GHz キャビティBPF(3ポール)」、「24GHz キャビティBPF(5ポール)」の実物や、自社所有の精密機械を使って試作した金属製のコールサインプレート類も展示。コールサインプレートは人気投票も行われた。


アイコムが自社開発した「10GHz キャビティBPF」、「24GHz キャビティBPF(3ポール)」、「24GHz キャビティBPF(5ポール)」を展示


精密機械で試作した金属製のコールサインプレート類

1号館 3階の体験運用コーナー

★体験運用コーナー
1号館3階には来場者(無資格者、有資格者)が、ならやま研究所の無線設備を使って体験運用ができるコーナーが設けられた。最新のアイコムの無線機と大型タワー&アンテナを使った交信体験は、きっと良い思い出になったことだろう。


1号館3階の運用体験コーナー

屋外広場/その他

★ミニコンサート会場
昼休みの時間帯を利用して、屋外広場では演歌歌手の水田かおりさん(JI1BTL)と、歌手のMasacoさん(JH1CBX)がミニコンサートを行った。MasacoさんはIC-705が収められたマルチバッグを背負って熱唱。終了後はアイコムグッズなどが当たるジャンケン大会が行われ、大いに盛り上がった。


お昼休みにはミニコンサートが行われた。左は演歌歌手の水田かおりさん(JI1BTL)、右は歌手のMasacoさん(JH1CBX)


MasacoさんはIC-705が入ったマルチバッグを背負って熱唱!!

★その他
2号館前のスペースには、月刊FB NEWSの連載「おきらくゴク楽自己くんれん」でお馴染みの、JF3LCH 永井さんが作った「軽トラモバイルシャック」の実物を展示、内部も公開されていた。快適な移動運用のために工夫を凝らしたモバイルシャックは、来場者の注目の的になっていた。


JF3LCH 永井さんが作った「軽トラモバイルシャック」にも注目が集まった

なおアイコムは、12月2日(土)に東京都江東区のアイコム東京営業所で「アイコムフェアin東京木場」を開催する予定だ。当日はIC-905XG、IC-PW2、IC-R15の実動展示や技術講演も予定されている。詳しくはアイコム公式サイトを参照されたい。

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