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12月18日(日)、奈良市にあるアイコム株式会社の研究施設ならやま研究所で、「アイコムフェアinならやま2号館」が開催された。前日の悪天とは打って変わった晴天の中、全国各地から約500人の熱心なアマチュア無線家が訪れた。
(左奥)ならやま研究所1号館 (右)2号館
当日は、開場時間の10時よりも早くから多数の来場者があったため、予定時間よりも早くオープンされ、またたく間に会場内はたくさんの人で賑わった。
入場時には、感染予防対策として検温が行われ、検温済みのリストバンドが来場者の手首に装着されたことで、2回目以降の入館時には検温が省略されるシステムになっていた。そのリストバンドは帰りの際に引き換えでお楽しみ抽選が行われた。
入場時の検温
抽選は空くじなし
今回の一番の目玉は、8月のハムフェアで発表された、144~5600MHz(+10GHz)帯のトランシーバーIC-905の実動展示、通信デモとその技術講演であった。またリニアアンプIC-PW2の展示や、IC-705の新機能の紹介も行われた。
JK3AZL高岡氏により「IC-905の魅力」というタイトルで午前、午後に各1回講演が行われた。SHF帯を利用した業務向けの製品紹介からIC-905の概要、機器構成、操作性などの説明の他、SHF帯ならではの伝搬による楽しみ方などが発表された。
また想定価格や目標発売時期については、IC-905本体が約40万円、オプションの10GHzトランスバータユニット(CX-10G)は約15万円、来年春ごろの発売を目標にしていると発表された。
IC-905技術講演の様子
また展示エリアでは実動展示、ならびにアイコム本社(大阪市平野区)との通信デモが行われた。ならやま研究所とアイコム本社の間には標高455mの生駒山地があり見通しではないため、山岳回折を利用した実際の交信が行われ、来場者は興味深げに見学していた。
通信デモで用意されたIC-905
技術者による通信デモ
パラボラアンテナ(赤丸部)
技術者による拡大 左: 10G 右: 5.6Gデモ
IC-905の講演と同様、午前、午後に各1回JS3CTQ稲葉氏による「IC-PW2の概要」のタイトルで技術講演が行われた。IC-PW2の仕様やDPD(Digital Pre-Distortion)技術による優れた相互変調歪特性、クリーンな送信波が可能となった点、SO2R(Single Operator 2 Radios)に適した2(TRX)×6(ANT)のアンテナセレクタなどの説明があった。
気になる発売時期は、半導体調達の関係で来年度中の予定。価格については未定とのことだが、SO2R設備を新たに構築する場合、従来は2台のリニアアンプが必要であったところIC-PW2ならば1台で対応でき、さらに通常必要な2x6アンテナスイッチや、バンドデコーダーも内蔵しているため、周辺機器も新たに購入するのと比べると約20万円程度の費用を抑えることができるとの説明があった。
IC-PW2の技術講演
IC-PW2も展示エリアでの展示が行われ、こちらでも来場者がIC-7851との連動操作やタッチパネル表示の内容などを確認する姿が見受けられた。
中央右壁寄りにIC-PW2が展示され、裏面をのぞき込む姿も見られた
IC-PW2
タッチパネル表示部
IC-905とIC-PW2の技術講演の他に、「IC-705の新機能」と「なつかしの無線機の紹介」の講演があった。
・IC-705の新機能
2022年10月にDVレピータモニター機能が追加されたが、今回さらに海外レピータもモニターできるように機能追加されたことについての概要や使用方法について発表があった。(海外モニターもできる新ファームは2022年12月22日に公開)
・なつかしの無線機
1960年代のFDAM-1から1990年代のIC-820まで各年代を代表する無線機の紹介があり、展示エリアで実機の展示も行われた。
なつかしの無線機の講演
なつかしの無線機の展示エリア
展示エリアでは、前述のIC-905実動展示・通信デモ、IC-PW2展示のほか、IC-905のRF部やSHF帯アンテナ、現行機種の展示が行われた。
IC-905のRF部
UHF帯/SHF帯のアンテナ
展示エリアも賑わっていた
また第一電波工業株式会社による展示も行われ、屋外にはキャンピングカーでのセットアップ例の展示も行われた。
その他のブースも多くの来場者で賑わっていた。
・ボーイスカウト活動紹介エリア
日本ボーイスカウトアマチュア無線クラブにより、第18回日本スカウトジャンボリーや、JOTA(Jamboree On The Air)など、アマチュア無線関連の活動紹介が行われた。
またボーイスカウト日本連盟創立100周年特設局・体験局8N100Sの運用が行われ、多くのスカウト達も会場を訪れた。
日本スカウトジャンボリーやJOTAの展示
特設・体験局8N100Sの運用
ブース訪問記念として、日本ボーイスカウトアマチュア無線クラブ(JA1YSS)のQSLカードのデータ面に2022年度に運用された記念局のQSLカードを印刷したものが配布された。
・Masaco
シンガーソングライターのMasacoさん(JH1CBX)により、楽曲のCDや2023年カレンダーの販売が行われた。また希望者には購入品にサインを入れたり、記念撮影も応じていた。
アイコムの井上会長(JA3FA)がブースを訪問したときの様子
・FMぱるるん
演歌歌手の水田かおりさん(JI1BTL)をはじめFMぱるるんのスタッフの皆さんが公開収録を行った。
・CQ出版株式会社
CQ ham Radioなどの雑誌や書籍、オリジナル電鍵の販売が行われた。
・株式会社電波社
HAM WORLDなどの雑誌や書籍、航空機の2023年カレンダーの販売が行われた。
・月刊FB NEWS
月刊FB NEWSもブース出展を行い、クリアファイルの配布や、ツイッター/Facebookのフォローキャンペーン、さらに連載記事「Short Break」や「My Project」で紹介した製作品の展示を行った。
「Short Break」や「My Project」で紹介した製作品の展示
今回初めて、記事で取り上げた製作品の展示を行いましたが、おかげさまで来場者の皆様の反響も上々で、多くのご質問をいただきました。
屋外では、12時~13時に水田かおりさんとMasacoさんのミニコンサートや、1号館側にある、51m高のクランクアップタワー(LUSO 51MAGNUM)の昇降デモが行われた。
水田かおりさん
Masacoさん
多くの来場者が巨大タワーの昇降デモを見上げた
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