ラジオ少年
2024年5月15日掲載
完成した「10秒 ICレコーダー」
7MHzをワッチしていると、ときどきCWでパイルアップとなっている周波数に遭遇することがあります。パイルアップにはどういう訳かコールしたくなるのですが、相手のCWが早すぎて一発でコールサインがコピーできないことがあります。そこで、CWの音を録音して、何回でも聞き直せる録音再生装置を製作しました。要はICレコーダーの自作版です。最大10秒間の録音が可能なボードがお手軽価格で入手できますので、それを使い「10秒 ICレコーダー」を作ってみました。
ICレコーダーに使用するキーパーツは、不揮発性メモリーISD1820が搭載された録音再生ボードです(図1)。このボードはネット通販業者にて入手可能です。結構多くの業者がヒットします。
このボードで使われている不揮発性メモリーとは、データーの記憶に用いられる半導体メモリーの一つで、記憶されたデーターは電源を供給しなくてもその内容を維持できるメモリーです。つまり録音した後に電源をオフ、あるいはバッテリーを外したとしても、その情報はIC内に保持されるスグレモノのICです。
この録音再生ボードは、以前月刊FBニュースの「いつもありがとう」サウンドマシンの製作でも使われています。使い方の参考になると思いますので時間があれば閲覧してみて下さい。
図1 ISD1820が搭載された録音再生ボードキット
購入した録音再生ボードには電気的な仕様書や使い方を示すチラシは同梱されていません。そこで“ISD1820”をネット検索してボードの仕様書やボードから出ているI/O端子の使い方の情報を入手します。多くの情報がヒットします。
まずは、製作に最低限必要な部材の確認を行います。下記の3点に加え、電池ボックスが揃っていれば動作確認はすぐにできます。なおボードに供給する電圧は3.3~5Vとの情報に基づき、1.5Vの乾電池3本の4.5Vとしています。
1. 録音再生ボード(ISD1820の搭載された基板のこと)
2. スピーカー
3. スピーカーケーブル(スピーカーにはケーブルを予めハンダ付けしておく)
・ボードの動作確認方法
(1) ボードにスピーカーと電池ボックス(単4×3本:4.5V)を接続します。
図2 動作確認のための接続
(2) [REC]を押しながらMICに向かってしゃべります。録音中は、LED(D1)が点灯します。
(3) 録音が終了すれば[REC]を離します。最大録音時間は10秒です。
(4) [PLAYE]を押すと録音内容が1回再生されます。
(5) [PLAYL]を押すと、押している間だけ録音内容が再生されます。
(6) 録音した内容が[PLAYE]あるいは[PLAYL]を押すことで再生できれば確認終了です。
(7) 安全のため電池ボックス、スピーカーを外しておきます。
購入したボード上には録音再生に必要なスイッチやLEDが取り付けられていますが、操作性改善のためそれらを外付け部品としてケースに取付けます。取付けられている3つのスイッチは取り外す必要はなく、新たに外付け部品として追加します。この録音再生ボートには、Arduino等でコントロールするためのI/O端子が装備されていますのでそれを利用します。
ボードや乾電池を格納するケースは加工が容易な100×65×35mmの樹脂ケースとしました。ケースのフロントパネルには[REC]、[PLAYE]、[PLAYL]に加え電源スイッチ、録音再生状態を表示するインジケーター(LED)も取り付けます。また、底面にはスピーカー用の穴も開けておきます。
図3 ボードの外付け部品を取付けるための穴を樹脂ケースに開ける
MIC(ECM)とD1(LED)はボードから取り外します。ECMは再利用するため、壊さないように慎重に取り外します。D1は、ボード上に取付けられているチップ抵抗のような形をしたLEDです。左右の部品を壊さないように、できるだけ先端の尖ったハンダごてを使って取り外します。このLEDは再利用しません。D1を外したボードのアノード、カソード端子にそれぞれ図4のように線材をハンダ付けしておきます。この線材は、外付けLEDとの接続に使用します。
図4 ECMとLEDをボードから外した状態
[REC]、[PLAYE]、[PLAYL]の各外付けスイッチはボード上のJ1のコネクタ―のピンと接続します。スピーカーと電池ボックスは、樹脂ケースの底蓋に取付けます。それぞれの外付け部品と録音再生ボードとの接続は配線が煩雑にならないように中継ボードを通して行います。図5に全体の接続図を示します。
図5 ボードと外付け部品の接続図
録音再生ボード、中継ボード、電池ケース、それにスピーカーをそれぞれケースに組み込みます。
図6 各ボードを樹脂ケースに組み込みーシングの完成した「10秒 ICレコーダー」の内部
装置の電源スイッチをオンにします。[REC]を押しながらECMに向かってしゃべります。録音中は録音LEDが点灯します。録音が終われば[REC]ボタンを離します。
再生は、[PLAYE]あるいは[PLAYL]を押します。録音された音がスピーカーから出てくればOKです。あとは、パイルアップに遭遇したときに無線機のスピーカーの近くで[REC]ボタンを押して実践してみてください。
IC-705のCWメモリー機能を使用して超高速の30WPMの信号をスピーカーから出力し、その信号を今回製作した10秒 ICレコーダーで録音再生を試しました。その動画を下のサイトに格納しましたので参考にしてください。
IC-705の前に写っているスイッチが8個付いているカラフルなユニットは、IC-705の内蔵KEYERメモリーなどの8個のメモリーを外部から制御できる外部キーパッドと呼ばれるユニットです。詳しくはこちらをクリックしてください。
図7 各スイッチの機能
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