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ラジオ少年

第3回 アップダウンカウンタの製作(3)

2023年5月1日掲載


「ラジオ少年」第1回は、74シリーズのロジックIC 2個と少しの電子部品で1桁のアップカウンタをブレッドボードに組み込み、動作を確認しました。第2回では、表示する桁を2桁にグレードアップし、0~99までカウントできるようにしました。また、カウンタがときどきエラーを生じるため、その対策の回路を追加しました。今回第3回では、今後のグレードアップを意識しながら、実製作を行います。


製作するアップカウンタの仕様

基本は2桁のアップカウンタですが、グレードアップも考え下記のような仕様にします。
・先ずは2桁のアップカウンタとして、回路をユニバーサルPCBに組み込む
・4桁のアップカウンタも視野に入れたレイアウトとする
・カウンタは汎用としたいため、センサー部とカウンタ部は独立したユニットとする
・カウントをリセットする「RESET」ボタンを取付ける
・カウンタのクロック信号入力端子を設け、いろいろなクロック信号に対応させる


図1 製作するアップカウンタの概念図

2桁アップカウンタの全回路図

製作は、図1に示したようにカウンタ部(カウンタユニット)とディスプレイ部(ディスプレイユニット)に分けて製作します。図2は、今回製作するカウンタの全回路図です。回路の電源は乾電池での動作も考えましたが、7セグメントが全部点灯すると1桁で100mA程度の電流が流れます。4桁であれば400mAですから電池の消耗は大きく、今回はACアダプタでの動作としました。


図2 2桁アップカウンタの全回路図

ユニバーサルPCBへの組み込み

1桁のカウンタを構成するには2個のロジックICが必要であるとアップダウンカウンタの製作(1)で説明しました。今回のアップカウンタでは、90mm×70mmのユニバーサルPCBにロジックICを4個取り付け、まずは00~99までの2桁のカウンタを目指します。

ユニバーサルPCBを組み込むケースは、W100mm×D150mm×H60mmのアルミケースを使いました。ディスプレイには2桁が1つとなったカソードコモンのLEDを使います。7セグメントLEDにはマイコンの信号で制御するダイナミック点灯型と、今回のように1個1個のセグメントを個別に点灯させるスタティックタイプがあります。見た目はよく似ていますので注意が必要です。今回の製作ではLN526ALKを使いましたが、カソードコモンのスタティックタイプのLEDであればどのようなものでも点灯します。


図2 2桁のディスプレイが1個になっている7セグメントLED

アルミケースの穴あけ

アルミケースには下記の穴を空けます。
・7セグメントLEDの窓枠(将来のアップグレードを考え4桁分)
・PCB取付けネジ穴
・外部DC電源用ジャック
・リセットスイッチ
・カウント用クロック信号入力端子


図3 アルミケースの穴あけが完了

カウンタユニットとディスプレイユニットの製作

カウンタユニットは先に説明したように1枚のユニバーサルPCBに2個の74HC192と2個の74HC4511を取付け、2桁のカウンタとします。ディスプレイ部は7セグメントのLEDですから1桁ごとに各セグメントの端子に加えコモンの端子の合計8本の線材をディスプレイユニットとカウンタユニットを接続します。


図4 LEDやロジックICをユニバーサルPCBに組み込んだ完成品

ワイヤーハーネスの製作

各ユニットの結線はリード線を直付けにすることも可能ですが、将来のグレードアップや故障したときのメンテナンスを考え、各ユニットは取り外しできるようにコネクタを介して結線します。図5は、ワイヤーハウジングを使ったワイヤーハーネスの参考図です。


図5 各ユニット間を接続するワイヤーハーネス

各ユニットと端子類の取付け

カウンタユニット、ディスプレイユニットに加え、入出力端子の部品を取付け、組み立てを完成させます。


図6 各ユニットと入出力端子を取付けた完成品

動作の確認

電源スイッチをONにすると2桁のカウンタが「00」と表示します。クロック入力端子にはON/OFFスイッチを接続します。実験ですからどのようなスイッチでもよいですがロックの掛からないモメンタリスイッチが適当と思います。

まずはクロック信号入力端子に接続したスイッチを素早くON/OFFを繰り返してください。スイッチのON/OFFに応じてディスプレイの数字がアップすれば正常動作しています。次にそのスイッチを押してカウンタの数字を「99」としてください。そして、もう一回スイッチを押すと桁が繰り上がり、ディスプレイが「00」となります。


図7 完成したアップカウンタのフロントパネル RESETスイッチを押すと00になる

次にカウンタの数字を適当なところで止め、[RESET]ボタンを押し、ディスプレイの数字が「00」となることを確かめてください。ディスプレイのリセットは、74HC192の14番ピンのMR(MASTER RESET)端子をHにすることで実行されます。MRの端子は、通常はLレベルで、リセットを掛けたいときにHレベルとします。リセットを掛けないときにはMR端子が確実にLレベルとなるようにR18(100kΩ)でプルダウンしておきます。

実運用

上記の確認が正常であれば、2桁のアップカウンタとして使用できます。ただし、今回製作したのはカウンタの部分だけですので、何かをカウントするセンサーの部分はありません。まずは、先にも記載しましたが、クロック入力端子にモメンタリスイッチを取付け、カウンタのアップを楽しんでください。

今後の展開

基本となる2桁のアップカウンタが完成しました。カウントさせるものによりますが、2桁では心もとないためせめて4桁へのグレードアップを図りますが、次回はとりあえず2桁カウンタをそのまま使い、「腕立て伏せカウンタ」を製作します。

CU

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