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ラジオ少年

第11回 LED表示簡易電界強度計の製作(その2)

2024年2月15日掲載


前号では図1の右端に示したLED レベルメーターを、LM3914を使い入力電圧の変化で10個のLEDが順次点灯する様子を確認しました。今回は、電界強度計のコアとなる高周波の受信部(RF Amp)と受信した信号の検波(Detector)、そして検波した信号を用いてLEDをドライブさせるための直流電圧を発生させる増幅回路(DC Amp)を検討します。


図1 LED表示簡易電界強度計のブロック図

検波回路と直流増幅回路

今回製作する電界強度計は144MHz帯の信号を使って製作を進めます。430MHz帯ではアンテナは小型となり実験も容易ですが、検波に使用する1N60のダイオードが特性的に430MHz帯の周波数まで追い付きませんので144MHz帯での実験としました。

図1では電界強度計のフロントエンドにはRF Ampを取付けていますが、まずはRF Ampなしでどれくらいの信号が受信できるかを図2の回路で調べます。回路には実験データーを取るためTP1~TP3のテストポイントを設けていますが、回路の特性に関係がありませんので特に取付ける必要はありません。


図2 検波・増幅回路

144MHz帯3エレメント八木アンテナから送信電波を発射

図3の構成で実験を行います。実験は、被測定アンテナから発射した144MHz帯の信号が受信側でどれくらいのレベルで受信できるかを測定します。


図3 出力端子(J2)に現れる電圧のレベルをテスターで測定する実験

被測定アンテナは、今回の実験のため自作しました。アンテナは月刊FBニュースの日本全国・移動運用記の筆者でおなじみのJO2ASQ局がサテライト運用に用いるアンテナの製作記事に掲載された寸法をそのまま引用しています。アンテナの指向特性は測定していませんが、アンテナを回すと信号の強弱が得られましたのでヨシとしています。受信側のアンテナは半波長ダイポールとしました。

参考ですが八木アンテナのマッチング部は、ちょっと差を付けようとガンママッチとしました。このマッチングは帯域幅が意外と狭く、スタブの変化で大きくSWRが変化しました。144MHz帯のCWバンドからFMバンドまで、全バンドを網羅するにはちょっと不向きであると感じました。


図4 (左)自転車の荷台のかごに詰め込んだ機材 (右)自作した被測定アンテナ

アンテナ間の距離と電圧レベルの関係

両アンテナをカメラの三脚に固定し、アンテナ間の距離を徐々に広げて行き、各ポイントでの電圧を測定します。その結果を図5に示します。

前号では、この電界強度計は屋外での使用を考慮し6Vの電池で動作させると説明しました。また、LM3914の入力電圧の最大値は、電源電圧より1.8V低い4.2Vに設定する必要のあることも説明しました。図3の回路のR3を調整して出力電圧の最大値を決めています。アンテナ間の距離が1~3mの間では、出力J2の電圧は4.2Vで飽和しているように見えるのはそのためです。


図5 アンテナ間の距離と電圧のレベルの関係

実験は広い駐車場の隅で行いました。数メートル離れた場所を人が歩いたり、車が近づいたりすると、この電圧がパラパラと動き電界強度は意外と周囲の環境に影響することを知りました。

考察

実験の結果、電界強度が変化すると検波出力電圧も変化することが分かりました。図5の結果では、アンテナ間が10m(約5λ)ぐらいとなるとほとんど検波出力が得られないことから、R3の抵抗値をアップしLM358で構成する増幅回路の増幅度をアップさせました。それによりR3=500kΩで、8mの距離であっても2.5Vの電圧を得ることができました。それ以上の感度を得ようと元々の計画であったRF Ampを前段に組み込む実験を行いましたが、ノイズレベルが全体に上がるだけでよい結果は得られませんでした。

次号では図2に示した回路の出力にLM3914を接続してLEDを点灯させる実験を行います。

CU

<参考資料>
サテライト移動運用アンテナ by JO2ASQ
http://jo2asq.a.la9.jp/satant.html

月刊FB NEWS 2021年10月号
https://fbnews.jp/202110/unnyouki/index.html

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