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総務省が無線局の免許状等のデジタル化等に関する意見募集を実施中

2025年6月16日掲載

総務省は、アマチュア局を含むすべての無線局の「紙の免許状」等を廃止し、免許人などが免許内容をインターネットで閲覧・確認できる「無線局の免許状等のデジタル化等」を実施する方針だ。そのための制度整備を行う目的で、このほど電波法施行規則等の一部を改正する省令案等を作成し、2025年5月31日から6月30日まで、広く意見(パブリックコメント)を募集している。


総務省が5月30日に行った報道発表「無線局の免許状等のデジタル化等に係る関係省令等の改正案に対する意見募集」より

日本は現在、政府全体で「デジタルファースト原則」を推進している。そのため総務省は、アマチュア局を含むすべての無線局に発行している「紙の免許状」等(無線局免許状、無線局登録状、高周波利用設備の許可状の3種類)を廃止し“デジタル化”を図る方針を固めた。すでに4月25日に「電波法及び放送法の一部を改正する法律(令和7年法律第27号)」が公布されている。


4月25日付けの官報で「電波法及び放送法の一部を改正する法律(令和7年法律第27号)」が公布された(一部抜粋)

今後は関連する省令案等の整備を行い、公布の日から起算して9か月以内(2026年1月25日まで)に施行となる見通しだ。

「無線局の免許状等のデジタル化等」概要

総務省が発表した資料によると、これから実施される「無線局の免許状等のデジタル化等」の概略は次のとおりだ。

➀無線局の「紙の免許状」等を廃止し、免許人等が免許記録等(免許等の内容)をインターネットの「総務省 電波利用電子申請」サイトで閲覧できるようになる。

②免許人等は、紙の免許状の代わりに「免許事項証明書等」(免許記録等に記録されている事項を証明した書面)の交付を請求できるようになる。

③併せて「電子処分通知等」(無線局予備免許通知書、無線局変更許可通知書、無線局検査結果通知書等)を導入する。

④登録検査等事業者の「登録証」を廃止し、登録事項はインターネットで公表する。


無線局の免許状等のデジタル化のイメージ。紙の免許状の交付がなくなる(総務省資料より)

なおデジタル化の実施後も、無線局の免許申請は「総務省 電波利用電子申請」のサイトを使った電子申請のほか、従来同様の書面による申請も可能だ。しかし、いずれの申請方法でも「紙の免許状」の交付は行われなくなり、その代わりに総務省のサーバー上に免許記録が作成され、免許人は「総務省 電波利用電子申請」などからこれを閲覧したり、記録の写しを作成したりできるようになる。


今後も無線局免許申請等は電子申請でも書面申請でも行えるが、「紙の免許状」は交付されなくなる(総務省資料より)

とはいえ“書面による証明ができないと不便”というケースもあることから、上記②の通り、免許記録等に記録されている事項を証明した書類「免許事項証明書等」の交付を、電子申請または書面申請で行えるようになる(請求には手数料がかかる)。


免許記録等の閲覧請求は電子申請のみ。免許事項証明書等(書面)の交付請求は電子申請でも書面申請でも可能だ(総務省資料より)

免許記録等の備え付けと掲示方法

「紙の免許状」等は廃止されるが、改正された電波法の規定により、無線局の運用は免許記録(登録記録)に記録されているところによらなければならない。また免許等を受けていることを第三者に示す必要があるため、無線局には免許記録、許可記録等の備え付けや掲示が必要となる。

備え付けと掲示の方法として認められるのは、以下①~④のいずれかに限られる。

①免許記録等(免許記録、登録記録、許可記録)の閲覧

②電磁的記録による免許記録等の写し(「総務省 電波利用電子申請」からダウンロードまたは印刷したもの)

③書面による免許記録等の写し(「総務省 電波利用電子申請」からダウンロード、またはA4サイズの紙にA4サイズ(アマチュア局はA5サイズ)で印刷したもの)

④免許事項証明書等(総務省が交付する免許事項証明書、登録事項証明書または許可事項証明書。写しは不可)

免許記録等を備え付け、画面で掲示するための条件としては「免許記録等を映像面に必要に応じて直ちに表示させなければなりません」「映像面は、免許記録等の一覧性を確保して表示できる大きさのものであって、当該免許記録等に係る免許事項証明書等の様式と同等程度に大きく、かつ、見やすく表示できるものでなければなりません」とした上で、さらに細かい補足を設けている。


免許記録等の備え付けや画面で掲示するための条件は、細かく規定されている(総務省資料より)

なお「無線局の免許状等のデジタル化等」の経過措置として、「すでに交付されている免許状等は免許事項証明書等とみなします。このため一般的には、すでに交付されている免許状等により、そのまま備付け・掲示をすることができます(免許記録等の閲覧請求や免許事項証明書等の請求は不要です)」という規定も設けている。

免許記録等の備え付け場所等(アマチュア局の場合)

免許記録等の備え付け場所についても規定され、アマチュア局の場合は下記のいずれかの場所に備え付けができることになる。

①送信装置のある場所(当該送信装置を用いて当該無線局を運用し、または運用しようとするときに限る)

②無線設備の常置場所

③個人が開設する「移動するアマチュア局」は、上記のほか次に掲げる方法でも備え付けとすることができる
・免許記録を免許人が携帯する電子計算機等に表示する方法
・電磁的記録による免許記録の写しを免許人が携帯する電子計算機等に表示する方法
・書面による免許記録の写しを携帯する方法
・免許事項証明書を免許人が携帯する方法

2024年春にも「免許状のデジタル化」を進めたが・・・

実は総務省は、昨年(2024年)春にも「免許状のデジタル化」を計画し、詳細を公表したことがある。

そのときの計画は、無線局の免許人は希望により「書面免許状等」か「電子免許状等」の交付が受けられるようになるというもの。電子免許状等は書面免許状等よりも申請手数料が安くなるほか、検索結果や写し(PDF形式)のダウンロードが可能になるという特徴があり、2025年1月に行われる電子申請サイト(総務省 電波利用電子申請)のリニューアルにあわせて実施する方針だった。計画に「紙(書面)の免許状の廃止」は盛り込まれていなかった。


2024年5月に「免許状のデジタル化」を計画、概要を公表した際には「紙(書面)の免許状の廃止」は盛り込まれていなかった(総務省の2024年5月発表資料より)

この計画の際は5月にパブリックコメントの募集まで行われたが、9月27日になって「デジタルビジネス拡大に向けた電波政策懇談会の報告書等を踏まえ、デジタル原則を更に推進するための法案を早期に国会に提出することを含めて検討することとしたため、無線局の電子免許状等の導入予定を令和7年夏以降に変更することとしました」という報道発表を行って計画は一時凍結、準備ができ次第、再度意見募集を実施する方針を発表していた。

それが今回公表された、紙の免許状の廃止を含む「無線局の免許状等のデジタル化等」という方針だ。

パブリックコメントは6月30日締め切り

今回の「無線局の免許状等のデジタル化等」については、総務省ホームページの報道発表コーナー(令和7年5月30日掲載)にある「無線局の免許状等のデジタル化等に係る関係省令等の改正案に対する意見募集」から詳細が閲覧できる。

変更点など多岐にわたる内容だが、まずはこの報道発表の「別紙7」のPDF「無線局の免許状等のデジタル化等に係る関係省令等の改正案(概要)」を閲覧すると良いだろう。


今回の「無線局の免許状等のデジタル化等」を詳しく知りたい人は、まずこの資料(別紙7 PDF)をダウンロードしてみると良いだろう

掲載されている電波法施行規則等の一部を改正する省令案等に関するパブリックコメントは令和7年5月31日(土)から募集が始まり、6月30日(月)で締め切られる。

意見募集の結果は後日、総務省のサイトで同省による考え方と共に公表されるが、総務省では「いただいた御意見等を踏まえ、速やかに省令等を公布します。施行については、改正法の公布日(令和7年4月25日)から起算して9ヶ月以内を予定しています」としている。

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