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PHONEで楽しむQRP通信

第24回 電車・自転車で行く東急電鉄世田谷線開通100周年沿線QRV

JE1ECF 斎藤毅

2025年6月16日掲載

1. はじめに

早いもので今回の掲載が第24回となり2年目が終わります。これまでこの連載に目を通していただいた方々と、常日頃、筆者の微弱な電波にお付き合いいただいている方々へお礼申し上げます。

さて、2025年(昭和100年)5月1日に東急電鉄世田谷線が開通100周年を迎えました。ということで今回は100周年の恩恵を楽しむ? ため、世田谷線沿線(JCC#100112世田谷区)でのQRVを行ったというお話です。

世田谷線は三軒茶屋と下高井戸を結ぶ世田谷区内を走る全長5.0㎞程度の路線です。今回はスタンプラリー参加と沿線の気になる場所での無線運用を行いました。沿線では2025年4月29日から地域イベントが開催され、スタンプラリーは4/29のみ1日限定のイベントでした。3つのチェックポイント(三軒茶屋、宮の坂、下高井戸)を廻りスタンプをコンプリートして参加賞(キーホルダー)を頂きました。無線運用場所は初めての場所のため、予め地図にて目星をつけて行動しました。今回、世田谷線乗車の際は1日乗車券「世田谷線散策きっぷ」(大人380円)を購入しました。

※通常運賃は1回の乗車で大人160円なので、3回以上乗車する場合は1日乗車券がお得です。


イベントポスター


三軒茶屋駅前イベント



開業時の痕跡紹介




路線図


散策きっぷ(表)


散策きっぷ(裏)



三軒茶屋出発(後部車窓)


電車が止まる若林踏切



上町車庫


下高井戸到着



スタンプラリー行列と601電車


スタンプラリー台紙ほか



参加賞(キーホルダー)



この開通100周年を記念して、2026年3月まで記念電車「なつかしのギャラリートレイン」が運行するようです。車内には昔懐かしい? 写真が中吊り提出されています。


301号のギャラリートレイン


100周年記念ロゴシール



ギャラリートレイン車内1


ギャラリートレイン車内2



ギャラリートレイン車内3


ギャラリートレイン車内4



ギャラリートレイン車内5



また、世田谷線ではかねてから沿線の豪徳寺(山下駅下車)の招き猫をモチーフにした「幸運の招き猫電車」(308号電車)が運行されていて人気となっています。


幸運の招き猫電車・308号電車


ガラスを見ると招き猫



つり革にも招き猫



2. 沿線各所でのQRV

お約束? のIC-705(出力5W)を使っての無線運用です。今回は50MHz帯、144MHz帯、430MHz帯のいずれかでQRVしました。144&430MHz帯では定番の第一電波工業RH770を使用しました。50MHz帯の運用では主にノンラジアル化したモービルホイップアンテナ(第一電波工業HF6CLS)をビデオカメラ三脚に取り付けて使用しました。なお、このアンテナは周囲の環境や人体との距離、三脚の高さ、ケーブルの取り回しによりV.SWRが安定しない(1.5より落ちない)ことがあり、まだまだ検討の余地があるようです。

(1) キャロットタワー【SG01・三軒茶屋駅下車】
5月4日の午後、電車を利用し現地へ赴きました。この日、2か所目の移動運用は定番といわれているキャロットタワー26階展望ロビーです。コミュニティFM局のスタジオに近い窓際で50MHz・SSB、144MHz・SSB、430MHz・FMとQRVしました。

開始当初は430MHz・FMしか応答がありませんでした。連続してFM運用を行うと直射日光の日差しも手伝いバッテリートラブルが続出、持ち合わせ2つのバッテリーにおいてインジケーター緑色残2つでQSO中にリグが強制終了しました。

手持ちのバッテリーが残り1つになったのでSSBの運用に切り替え、144MHz帯と50MHz帯のリベンジ運用を行いました。結果、初のキャロットタワー移動運用で50MHz・SSB、144MHz・SSB、430MHz・FMの交信実績を作ることができました。運用時間は3時間ほどでした。なお、三脚を建ててのアンテナ設営は周囲に迷惑をかける恐れがあるため50MHzはロッドアンテナ+自作マニュアルチューナーでQRVしました。



三軒茶屋駅前


三軒茶屋周辺マップ



車窓からのキャロットタワー


2階からのエレベータ



26階からの眺望


リグのセッティング


(2) 都道318号(環7)にかかる若林5丁目歩道橋【SG03・若林駅下車】
5月1日、自転車にて現地へ赴きました。都道318号(環状7号線)を横断する世田谷線はこの歩道橋でよく撮影されるようです。なお、世田谷線は歩行者同様に車の往来時は環7通りの手前で停車します。

430MHz・FMでCQを出して10分ほどでコールバックがあり、50MHz帯の移動運用で話が盛り上がり20分程度のラグチューになりました。この後、CQを出しでもほかに呼ばれることはなく、1時間ほどでこの場所での運用は終了しました。



若林周辺マップ


若林5丁目歩道橋1



若林5丁目歩道橋2


リグのセッティング



歩道橋から世田谷線を望む


若林踏切で止まる世田谷線


(3) 世田谷城阯公園【SG06・上町駅下車】
5月4日の午前、電車を利用し現地へ赴きました。4月29日のQSOで相手局がこの場所での移動経験がある旨を話していましたので地図を確認したところ、最寄り駅が上町駅であることがわかりました。ということで筆者もここでの運用を試みました。50MHz・SSB、144MHz・SSB、430MHz・FMとQRVしました。50MHz帯へのQRVを開始してから30分ほど呼ばれることがありませんでした。その後、430MHz・FMで交信できました。昼時ではありましたが、終盤? には50MHz・SSB、144MHz・SSBでも交信することができました。なお、地元の方の話ではこの公園のうらに位置する豪徳寺の方が電波の飛びがいいとか・・・。この地での運用終盤、うれしいことにQSOをしていただいた松陰神社前駅ローカルの方とのアイボールQSOもあり、差し入れに「せんべい・しょーいん君」を頂きました。



上町駅(下り線)


上町周辺マップ



公園前交差点


世田谷城阯公園1



世田谷城阯公園2


運用場所1



運用場所2


せんべい・しょーいん君


(4) 宮坂区民センター【SG07・宮の坂駅下車】
4月29日、この日3か所目の移動地は宮坂区民センター【旧玉電の車両・出もどり? の江ノ電601号電車(静態保存)そば】でした。スタンプラリーのスタンプ設置場所でスタンプラリー開催時間(11:00~16:00)内は混雑していることから終了後の16:30頃に立ち寄り30分ほど運用しました。残念ながらこの日この場所での釣果? は0でした。


宮の坂周辺マップ


4月29日の運用


日をあらため、5月1日に自転車にて現地へ赴き、リベンジ運用を行いました。自転車のかごの中にリグを転がして運用しました。CQを出し始め、10分経過後に1局だけですがQSOできました。



5月1日の運用1


5月1日の運用2



出戻りの江ノ電601号1


出戻りの江ノ電601号2



出戻りの江ノ電601号3


601号車内1



601号車内2


601号車内3



601号車内4


601号車内5



601号車内6


601号車内7



601号車内8



(5) ユリの木公園【SG08・山下駅下車】
4月29日、この日2か所目の移動地でした。ユリの木通りの緑道にある公園で世田谷線を望む場所で運用しました。運用時間は1時間。交信数は1局でした。交信相手は以前、JR神田駅のガード下での運用で交信いただいた局でした。



山下周辺マップ


ユリの木公園1



ユリの木公園2


ユリの木公園3



ユリの木公園4



(6) 赤松公園【SG09・松原駅下車】
4月29日午前中にスタンプラリーを終え、午後一番に最寄り駅である松原に向かいました。駅前の住宅に無線アンテナがあることを発見、これを横目に公園を目指しました。無線運用中、事前の情報が錯綜しておりこの公園の名称を「赤堤公園」とアナウンスしましたが世田谷区のホームページをみると看板にもあるように「赤松公園」でした。50MHz帯、144MHz帯、430MHz帯で1時間30分ほどQRVしましたが釣果? は5局でした。



松原周辺マップ


赤松公園1



赤松公園2



3. 首都高速道路大橋ジャンクション・目黒天空庭園での無線運用

世田谷線を語るうえで東急玉川線(たまでん)の話題は外せません。たまでんは、渋谷と二子玉川を結んで国道246号線を走行していた路面電車でした。途中の三軒茶屋で分岐して下高井戸に至る支線があり、玉川線の廃線後に今回の主役・世田谷線として存続しています。

かつての軌道線は玉川線(渋谷~二子玉川、三軒茶屋~下高井戸)、溝ノ口線(二子玉川(当時は玉川遊園)~溝ノ口)、砧線(二子玉川~砧本村)がありましたが、1969年以降、道路併用軌道線ではなく専用軌道線であった世田谷線のみが残りました。現在、国道246線の地下を東急電鉄田園都市線(開業時は新玉川線)が走っています。また、東急電鉄では昔の目蒲線が運転系統変更により多摩川~蒲田が多摩川線となっていますが、たまでんではありません。

1969年にたまでんは廃線となりましたが、それまで目黒区大橋にはたまでんの車庫がありました。その場所はたまでんの車庫からバスの営業所を経て、現在は大橋ジャンクションになっており、その上部は目黒天空庭園として開放されています。バス営業所時代にはたまでん大橋車庫を囲っていたコンクリート製の柵が敷地境界として残っていましたが今は影も形も残っていません。しかし、現在、目黒天空庭園の周囲にはたまでんの痕跡を示すものとして掲出物や大橋電停を再現した玉川線遺構が存在します。


たまでん関連掲出物


玉川線遺構



たまでん 路線図


1960年代の大橋周辺


現在の大橋周辺


黒天空庭園は階高5階~9階のスロープ状の形状になっています。5階へは国道246線沿い郵便局そばのエレベータを、9階へは山手通り沿いの図書館共用のエレベータを利用します。有料駐車場や有料駐輪場も設置されています。

今回は5月3日の午後に自転車で移動し、東京コンテストの終了後を目安に50MHz・SSB、144MHz・SSB、430MHz・FMで運用しました。運用場所は9階部分です。



駐輪場入口


地下駐輪場



国道246線沿いエレベータ


庭園案内図



運用場所1


運用場所2



運用場所からの眺望


庭園の様子


★★★トラブったバッテリー★★★

キャロットタワーで使用したバッテリーをIC-705に取り付けた状態でいつものように充電しましたが、何と2つのバッテリーが充電できません。リグの起動時に電池エラーの表示も確認。バッテリーの出力電圧をテスターで測るも0V表示。う~ん、壊れたか? だめもとでの専用充電器による充電端子を使用しての充電は可能でした。しばらく、専用充電器で充電しIC-705に取り付けると、外部電源をつないだ状態で今度はオレンジ色のチャージランプ点灯、IC-705がこのバッテリーを認識しました。バッテリー本体に保護回路がついており、充電するとリセットするのでしょうか? 詳細はわかりかねますが、バッテリーは復活したようで、これで一安心です。

★★★島じまん2025★★★

この記事を皆さんが目にする頃は、JD1小笠原村父島の移動運用(6/6~11・おがさわら丸1航海)を終え、内地に戻っているはずです。毎年5月末に東京都の島々・伊豆諸島と小笠原諸島、多摩地域の町村のPRイベントが開催されています。近年の会場は「竹芝桟橋・竹芝客船ターミナル」と「東京ポートシティ竹芝」の2か所です。今年は5/24、25の2日間でした


ポスター


会場1



会場2


小笠原南洋踊り


★★★QRP情報 その1★★★

今年もQRPer有志により、6月17日の国際QRPデーならびにQRP通信の有効性をPRするため、特別記念局が運用されています。
8J4VLP 2025年6月30日まで
8J6VLP 2025年7月31日まで
8J9VLP 2025年6月30日まで

★★★QRP情報 その2★★★

今年も7月にQRP(出力5W以下)で運用する、IC-705ユーザーQSOパーティを開催します。

日程は2025年7月1日(火)0:00~7月6日(日)23:59
規約は月刊FB NEWS 2025年4月15日掲載の第22回をご覧ください。

★★★QRP情報 その3★★★

50MHzでの山手線駅前QRVを3月から再開・実施中です。SSB 5Wにて週末に運用しています。微弱な電波にお付き合いをお願いします。

今回はこれでおしまいです。

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