Monthly FB NEWS 月刊FBニュース 月刊FBニュースはアマチュア無線の電子WEBマガジン。ベテランから入門まで、楽しく役立つ情報が満載です。

ニュース

「一般利用サービス」がスタートした、JARD測定器室の機器類を見る

一般財団法人 日本アマチュア無線振興協会(JARD)は、電波法に基づく技術基準適合証明業務のため、較正された各種の測定機器を保有している。3月8日からそれらの機器を一般のアマチュア無線家などに開放する「JARD測定器室の開放(一般利用サービス)」が始まった。今後は毎週水・木の午後(事前予約制)に利用できる。


JARD測定器室での無線機器測定風景

JARDによると、すでに複数のアマチュア無線家が同サービスを利用し、持参した無線機のスプリアス強度などの測定を行っているという。そこで月刊FB NEWS編集部ではJARD測定器室を訪問し、使用している測定機器などの取材を行った。

JARD測定器室は、東京・巣鴨のJARD本部が入居する建物(共同計画ビル)5階に設けられている、およそ70平方メートルのスペースだ。ここには技術基準適合証明業務にも使用する各種の測定機器(較正済み)がある。


JARDが入居するビルの5階に設けられた測定器室の全景

そのうち「JARD測定器室の開放(一般利用サービス)」の利用者が測定可能な項目と、使用できる主な測定機器は下表の通りだ。


「JARD測定器室の開放(一般利用サービス)」利用者が測定可能な項目と、使用できる主な測定機器(JARD資料より)

一般利用サービスに関する問い合わせで多い、スプリアス発射強度と占有周波数帯幅の測定には、主にアンリツのスペクトラムアナライザ「MS2720T」が使用されている。JARDでは測定する無線機との接続のため、マイク端子の形状やピンアサインに合わせた治具を用意している。


スプリアス強度の測定風景。アンリツのスペクトラムアナライザ「MS2720T」を使用。一般利用サービスで使用する場合はJARD相談員がサポートしてくれる


さまざまな機種のマイクコネクタに対応するための「治具」も用意されている

また新スプリアス規格の確認を行う場合、帯域外領域におけるスプリアス発射の強度(近傍測定=無変調で行う)と、帯域外領域の外側である「スプリアス領域」における不要発射の強度(変調をかけて測定する)の両方を実測する必要がある。こうした作業を容易にするために、切り替えスイッチ付きの接続用機器を用意。さらに測定手順や計測結果の記録はパソコンのエクセルのマクロを利用して半自動による管理・計算を行い、効率よく、かつ正確な測定が行えるようになっている。


スプリアス強度の測定作業を正確かつ効率的に進めるため、切り替えスイッチ付きの接続用機器を用意している


スペクトラムアナライザ「MS2720T」の測定画面


スプリアス強度の測定手順の確認と測定値の記録にはエクセルのマクロを利用している

ただし「JARD測定器室の開放(一般利用サービス)」の場合は、利用者が新スプリアス規格の趣旨と測定の意図を理解し、実際に計測を体験してもらうことが必要なため、計測や記録の一部はJARD相談員のサポートを受けながら手動で行うようになっている。

JARDによると、この一般利用サービスには3月16日に初めての利用者があり、所有している昔のアマチュア無線機を2機種持参し(いずれも「スプリアス確認保証可能機器リスト」に掲載のない機種)、相談員の説明を受けながら約2時間にわたってスペアナを使って測定を行い、スプリアス確認保証を受けるために、測定結果の画面写真を受け取ったという。

JARDでは「このようにJARD測定器室の開放(一般利用サービス)は、スプリアス確認保証可能機器リストに掲載のない機種や、自作機等でスプリアス確認保証を申し込む際の提出資料として、また、自作機等の性能確認など幅広くご利用いただけます」とPRしている。


JARDが保有する測定機器の一部。上からルビジウム原子発振器のFC6017A(富士通)、オーディオアナライザの8903B(HP)、ESGベクトル信号発生器のE4438C(KEYSIGHT)、周波数計のMF2414B(アンリツ)。この中にはJARD測定器室の開放(一般利用サービス)対象外の機器も含まれる


JARDが保有する測定機器の一部。上から電力計のE4418B(Agilent)、アッテネータ、疑似音声発生器のKSG3600(菊水電子工業)、スペクトラムアナライザのE4440A(KEYSIGHT)、トランシーバーインターフェイスの8954A(HP)、変調度計の8901B(HP)。この中にはJARD測定器室の開放(一般利用サービス)対象外の機器も含まれる

「JARD測定器室の開放(一般利用サービス)」は誰でも利用可能だが、測定対象は「アマチュア無線設備等(無線機等はアンテナ端子から測定)」と限定されている。利用には事前予約が必要で、事務手数料として2,000円(税別)を当日支払う必要がある。詳しくはJARDホームページの特設サイト、 http://www.jard.or.jp/gitekininsho/measuring_instrument_service/ に掲載されている。

2017年4月号トップへ戻る

次号は 12月 1日(木) に公開予定

サイトのご利用について

©2024 月刊FBニュース編集部 All Rights Reserved.