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特集

IC-7610に見る、3つの驚くべき性能

月刊FBニュース編集部

革新的とも言うべきIC-7610の送受信音のクオリティ、RMDR、さらにはOVFについても検証し、IC-7610の真の魅力と実力に迫るシリーズ。その第2回は受信音にスポットを当てた。

第1回 送信波:世界の空が変わる。
第2回 受信音:アマチュア無線家たちが、音を語りはじめた。
第3回 RMDR:チャンスはRMDRに比例する。
第4回(特別企画)OVF:オーバーフローを徹底検証。

第2回 受信音:アマチュア無線家たちが、音を語りはじめた。

1995年アイコムでDSPを初搭載したIC-775DXIIが登場した時、受信の帯域はわずか3kHzにも関わらず、スピーカーから聴こえてくる相手局の声がリアルな肉声として聞こえ、驚かれた記憶をお持ちの方も少なくないだろう。その後、DSP機が主流となり、この音がアマチュア無線機の標準となっていった。そして、2016年にはFPGAによる信号処理を高周波段から採用したIC-7300、2017年にはIC-7610が登場し、「IC-7610,IC-7300の音は綺麗だ。聴き取りやすい」など、再び受信音の質がアマチュア無線家の間で話題になりはじめた。そこで、今回はIC-7610の受信音の質について検証してみた。

究極のフェーズノイズ特性

送信電波のフェーズノイズ特性がA社ミドルクラス機、B社フラグシップ機より圧倒的に優れていることは、前回の「送信波~世界の空が変わる~」でご理解いただけただろう。この優れたフェーズノイズ特性は、受信用ADC、FPGAに供給されているマスタークロックの純度に関連しており、受信音にも密接に関連している。

■C/N特性図


左図がIC-7610(IC-7300)のC/N特性、右図が従来機のC/N特性(イメージ)

※先月号に掲載した図と同じです。

圧巻のインバンドIMD特性

次にIC-7610のインバンドIMD(Intermodulation Distortion)を見てみたい。インバンドIMDとは、複数の受信信号により、無線機の内部で発生する歪み(3次歪み等)やノイズのことだ。この特性が悪いと内部歪やノイズが目立つようになり、音質が悪化する。それでは、A社のミドルクラス機やB社のフラグシップ機と比較しながら、IC-7610のインバンドIMDを検証してみよう。

<測定条件>・受信周波数/14.200MHz ・電波形式/USB ・FILTER/BW2.4kHz ・AGC/FAST ・PREAMP/OFF
<測定器(Standard Signal Generator)条件>・SG1/14,201.000kHz、SG2/14,201.300kHz

●まず入力レベル-39dBm(S9+34dB)で検証してみた。A社ミドルクラス機とB社フラグシップ機では、40dB下に第3次歪(部分)をはっきりと確認できる。一方、IC-7610では第3次歪は全く見られない。


A社ミドルクラス機


B社フラグシップ機


IC-7610

●次に入力レベルを-59dBm(S9+14dB)まで下げると、どう変化するか検証してみた。A社ミドルクラス機の第3次歪は消えた。しかし、B社フラグシップ機は入力レベルを-59dBmまで下げたにも関わらず、まだ残っている。


A社ミドルクラス機


B社フラグシップ機

●-79dBm(S7程度)まで下げるとB社フラグシップ機の第3次歪も、ようやく消えた。


B社フラグシップ機

最後に、A社ミドルクラス機、B社フラグシップ機と同等(入力信号-39dBm時)の第3次歪が、IC-7610ではどのレベルで発生するのか検証した。結果は、入力信号を-9dBm(S9+60dB以上)まで上げたところで、ようやくIC-7610の第3次歪はA社ミドルクラス機、B社フラグシップ機と同レベルになった。その差は実に30dBだった。

●入力信号レベル-9dBm


IC-7610

ご覧のようにIC-7610は、入力信号の強弱に関わらず、優れたIMD特性を示しているのがわかった。これだけインバンドIMDが優れていると、SSBでの受信音が綺麗なだけでなく、例えば従来機ではCW運用時に複数の局から同時に呼ばれた時、内部歪やノイズによりコピーできなかった信号が、IC-7610では確実に聞き取れるようになる、さらにはFT8やJT65などのデータ受信におけるデコード率が向上するなど、そのメリットを実感できるだろう。

続いて、ヒスノイズを測定してみた。ヒスノイズとは、無信号時SQLを閉じても聞こえるノイズが代表的なもので内部のオーディオ段で発生し耳に聞こえる「サー」といったノイズである。

<測定条件>SQL(スケルチ)クローズ、AFVR(ボリューム)最大でヘッドフォン端子より測定


A社ミドルクラス機


B社フラグシップ機


IC-7610

測定結果から、B社のフラグシップ機は明らかにヒスノイズが多く、A社のミドルクラス機とIC-7610は10dB近く少ないという結果となった。このヒスノイズレベルの低さが、IC-7610の受信音が綺麗で聴き取りやすいと感じさせる大きな要因のひとつだ。

オーディオに特化したパーツの採用

IC-7610のカバーを外すと、アイコムの高音質へのこだわりが見てとれる。高級オーディオ機器で使われているデバイスが使われているのだ。さらにカスタムメイドの大型スピーカーボックスも採用されている。実際に聞いてみると従来機よりも音圧があり、明らかにメリハリのある音で非常に聞き取りやすい。また、ヘッドフォン専用のアンプも採用されている。音には芯があり、自然と耳に入って来る。ヘッドフォン使用時でも、聞き疲れは大幅に軽減されそうだ。

今回の検証で、IC-7610の優れた受信音質は、他を圧倒するフェーズノイズ特性、インバンドIMD特性、低ヒスノイズ、さらには音にこだわったデバイス選びと設計により実現されていることがわかった。

アマチュア無線なんだから聞こえていればいい、無線機の音質なんて、この程度だろう、そう思っている人は少なくないだろう。そんな人には、一度、IC-7610やIC-7300の音を聞いてみて欲しい。アマチュア無線機の受信音への考えが一変するだろう。そして、高音質であることが、いかに受信時のストレスを軽減してくれるかに気づくに違いない。快適な運用に、受信音のクオリティは欠かせない性能の1つだと言える。

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