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Short Break

スタックアンテナのゲインを求める計算式

より強く、より遠くまで電波を飛ばすため、特にVHF、UHFで運用されているアマチュア無線家は、アンテナをスタックにして使うことがあります。アンテナをスタックにすると大きな空間の体積が必要ですが、アンテナの利得が大幅にアップします。そのため、より強く、より遠くまで電波が飛ぶイメージはすぐに想像できます。これは送信のみならず、受信に対しても言えることで、微弱な信号もスタックアンテナを使うことで、その信号も浮かび上がってきます。

シングルアンテナと2列スタックの違い

図1のアンテナは、第一電波工業株式会社の430MHz帯の10エレメント八木アンテナです。モデル名はA430S10R2です。右の写真は、左のアンテナを2列スタックにしたときのものです。

気になるアンテナ利得は、メーカーの仕様ではシングルで13.1dBiとの記載があります。(同社HPより引用) 右は左と同じアンテナを2列スタックにしたときのものです。2列スタックの利得は、同社の仕様では15.1dBiと記載されています。2列スタックにすると2dBのアップとなることが分かります。


図1 第一電波工業の430MHz帯の八木アンテナ (同社ホームページより引用)

また、アンテナをシングルから2列スタックにすることにより、ビーム幅が狭くなります。狭くなることで、サイドの切れがよくなり、混信から逃れることも可能です。


図2 A430S10R2の水平面指向特性(データは第一電波工業提供) 左: シングル 右: 2列スタック

2列スタックのアンテナ利得を計算する公式

シングルのアンテナの利得G(dB)をn個のアンテナでスタックにするとその利得Ga(dB)は、理論値ですが下の公式で求めることができます。


公式を使って2列スタックのアンテナ利得を求めてみよう

図1に示した第一電波工業株式会社のA430S10R2(10エレ八木)のアンテナを例にとって計算してみます。先に示した公式に数値を代入すると下のようになります。


シングル八木アンテナの利得は先にも記述しましたように、13.1dBiと同社のHPに記載があります。今回の計算では、2列スタックにするとその利得は、16.1dBとなりました。スタックにすることにより3dBアップしました。

このアンテナの同社HPでは15.1dBiと記載されています。計算とは1dBの差があります。15.1dBiは計算値ではなく実測値です。実際に交信する際に使うアンテナですから、理論値ではなく実測値が掲載されているのはありがたいです。

計算値と実測値に差が出るのは、実運用下ではアンテナの開口面積に影響を及ぼすスタック間隔や分配器の損失等も含まれるためで、計算値ではスタックにすると3dBの利得アップが見込まれますが、実運用上では概ね2dBぐらいのアップとなるようです。

2列2段スタックのアンテナ利得を求めてみよう

最後に下の図のような2列2段スタックのアンテナの利得を求めてみます。計算の公式は先に記述したものと同じです。段数もアップされていますが、異なるのはnの値だけです。公式に数値を入れると下のようになります。


図3 4エレ八木アンテナの2列2段のスタック

まとめ

アンテナをシングルから2列スタックにすることにより、元のアンテナの利得に関わらず3dBアップすることが分かりました。さらにその2列スタックを2段にして合計4本のシングルアンテナを図3のようにスタックアンテナとするとさらに3dBアップすることになります。

付録

1アマの工学の試験に今回説明したスタックアンテナの利得を求める問題が出題されています。下の問題は平成28年8月期の工学に出題された問題です。


出典:日本無線協会 平成28年8月期1アマ「無線工学」A-20

<解説>
スタックアンテナの利得を求める公式


CL

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