Summits On The Air (SOTA)の楽しみ
皆様、あけましておめでとうございます。2023年が皆様にとって素晴らしい年となりますようお祈りいたします。今年も安全に気を付けて山からの無線運用を楽しみましょう。
いよいよ今回でラズベリーパイを使ったFT8のシステムの完成です。前回はラズベリーパイをアクセスポイントとして構成し、iPadやスマホからのログインができるようになりました。今回はラズベリーパイにFT8で運用するためのアプリであるWSJT-Xをインストールしていく方法について説明します。
まず、ラズベリーパイでWSJT-Xのホームページにアクセスしますが、前回までに説明したようにラズベリーパイを立ち上げ、Wired LANでネットワークにつなぎます。Wi-Fiでつないでしまうと、次から立ち上げる時にアクセスポイントとして立ち上がらなくなりますので、ご注意ください。もしWi-Fiに繋いでしまった場合は、前回説明したように /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.conf のネットワーク設定を削除すれば大丈夫です。
さて本題に入ります。WSJT-Xのホームページはちょうどこの記事を執筆している日に変わりました。
https://wsjt.sourceforge.io/wsjtx.html
現時点での最新バージョンは2.6.0になっています。しかし、私の場合この最新バージョンを正しくインストールすることができませんでした。何かのパッケージソフトが不足しているようです。たまたまこの原稿の執筆時点でWSJT-Xのバージョンアップがされてしまいましたので、不安定なのかもしれません。このため次の方法で一つ前のバージョン2.5.4をインストールすると良いです。
ラズベリーパイのメニューから「設定」-「Add Remove Software」をクリックします。
下記の画面で左上にwsjtxとして検索。出てきたWSJT-X関連のソフトにチェックマークを付けてApplyをクリックします。
もし起動したときに「Localeが違う」という、エラーが出た時はLocaleの設定をしてからもう一度インストールします。
Localeの設定は /etc/locale.gen を開いて、下記のように2行目のUS UTF-8を追加します。
そのあとコマンドラインから下のコマンドを打ちます。
# rootでやる必要がありますので“sudo”が必要です。
これでLocaleが変わりましたので、この後もう一度WSJT-Xをインストールします。インストールが終わったら、下記のメニューからラズベリーパイとIC-705をUSBケーブルで接続し、IC-705の電源を入れた後に、WSJT-Xを起動します。
初期設定で下記の4点がハマりやすいところです。
1. 設定のウィンドウで無線機タグを開いて無線機でIC-705を選びます。最新版のWSJT-XではIC-705も登録されていますので最新版のWSJT-Xを使えば何も問題はないと思います。
2. CAT制御のシリアルポート設定を /dev/ttyACM0 にすること。これは最初から出てきませんでした。自分で打ち込めますし、何度かリブートしていると選択肢として出てくるようになりました。
3. PTT側のポート設定をCATとすること。私はCAT制御側と同じく /dev/ttyACM0 にしてしまい、送信ができず悩みましたが、この点が原因でした。
4. 送受信のサウンドカードを入力、出力とも sysdefault:CARD=CODEC とすること。この設定も最初出て来ず、ラズベリーパイを何度かリブートすると出てきました。
この4点が設定できれば、あとは簡単にWSJT-Xをラズパイ上で動かすことができると思います。他にも設定画面で自局のコールサインを指定したり、グリッドロケータの設定をしていきます。
これで完成です。
運用方法はIC-705とラズベリーパイをUSBケーブルで接続し、ラズベリーパイを立ち上げ、iPadもしくはスマホでラズベリーパイのアクセスポイントのWi-Fiに繋ぎ、iPadもしくはスマホのVNCでラズベリーパイにアクセスすると画面が出ますので、WSJT-Xを立ち上げます。運用は通常のWindowsでのWSJT-Xと同じですので割愛します。
ログはWSJT-Xのメニューから「ファイル」-「ログディレクトリを開く」で出てきます。通常は /home/(ユーザー名)/.local/share/WSJT-X にあると思います。このログをWindows PCに持ってくるやり方はいろいろあると思いますがGoogle Drive等のクラウドを経由するのが簡単かと思います。
以上でラズベリーパイを使ったFT8の装備の完成です。
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