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2023年9月1日掲載
国内最大のアマチュア無線イベント「アマチュア無線フェスティバル」通称:ハムフェア2023が8月19日(土)、20日(日)に東京ビッグサイト 南3・4ホール(東京都江東区)で開催された。
今年のキャッチフレーズは、「さぁ行こう! アマチュア無線の新時代」と題し、会場では体験運用や社会貢献活動への活用など、アマチュア無線の「今」をイベントを通じ呼びかけた。
来場者数は、コロナ禍の昨年は、延べ35,000人(初日25,000人、2日目10,000人JARL公式発表)であったが、2類感染症相当から5類感染症に引き下げられた今年は、初日は31,000人、2日目は12,000人で、2日間で延べ43,000人(JARL公式発表)とコロナ禍以前の2019年開催と同規模の来場者数となった。
開会式は、国内の来賓としてJH3SED 小路山憲一 JAIA会長、JA1CIN 三木哲也JARD会長、海外からの来賓としてVE6SH Tim Ellam IARU会長、HL4CFN Choi Hyeong Moon KARL会長、ほか世界各国無線連盟(15か国)の代表が参加し行われた。
国内外からの来賓
JA5SUD森田耕司JARL会長のあいさつに続き、来賓の紹介、祝電の紹介のあと、テープカットが行われイベントが開幕した。
左より、小路山氏、Tim氏、森田氏、Choi氏、三木氏
両脇はJARL広報大使の(左)JH1CBX Masaco氏、(右)JI1BTL水田氏
開会式直後、開場を待つ来場者
開場後、瞬く間に来場者で埋め尽くされた
開場後はぞくぞくと来場者が入場し、たちまち会場内は埋め尽くされ賑やかとなり、皆さん思い思いの販売品などを求め、各ブースを回っていた。
会場中央部に設けられたイベントコーナーでは、初日6つ、2日目は5つのプログラムが行われた。
今回のキャッチフレーズ「さぁ行こう! アマチュア無線の新時代」にちなみ、「体験運用制度の紹介と実例」や「新会長+若者とアマチュア無線の新時代を語る」、全国高校アマチュア無線連盟による「高ア連ジュニアハムの集い」などのビギナーや若者対象のプログラムなどが行われた。
体験運用制度の紹介と実例
新会長+若者とアマチュア無線の新時代を語る
小学3年生から大学3年生までのハムが集まった
また、技術関係では、JAIA技術委員会による「流行のツールを活用してUHF帯のデジタル無線機を製作してみた!」やBUDの会(JE1BQE根日屋氏、JG1UNE小暮氏、JF1DMQ山村氏)とJH1GNU小林氏による「小型アンテナとループラジアル」の講演が行われた。
JAIA技術委員会
小型アンテナとループラジアル
表彰式のイベントでは、初日には自作品コンテスト表彰式とJARL全日本・全世界10000局アワードの総務大臣表彰状授与式、2日目には関東UHFコンテスト表彰式が行われた。
自作品コンテスト表彰式
関東UHFコンテスト表彰式
両日の最終イベントには、昨年行われなかったライブステージがあり、初日はJJ1ROE中村氏、2日目は、JARL広報大使のJH1CBX Masaco氏がステージに立った。
会場内に設けられた特別記念局 8J1HAMでは、開場前より多数の運用希望者が訪れ、あっという間に予約受付が終了したという。また両日とも青少年・女性ハムの運用枠も設けられ、一般運用枠と合わせて2日間で約100人による運用が行われた。
運用ブースでは多くの人が運用した
南棟と西棟の間の屋上にアンテナが設置された
JARLコーナーでは、「電気の散歩道」や「自作品コンテスト受賞作品」の展示などが行われた。また「ニューカマー相談コーナー」、「なんでも相談コーナー」では、初心者ハムなどが相談に訪れていた。
JARLコーナー全景
自作品コンテスト入賞作品展示
その一角には南極昭和基地8J1RLの紹介ブースも設けられ、「南極! 隕石と氷と8J1RL」と題し、南極で採取された氷山の氷や岩石、そして隕石が展示され、氷や岩石は実際に触れることができるように展示されていた。隕石は初めての展示で貴重なものであるためケースでの展示であった。
ブースでは来場者が、昭和基地に赴任された隊員に、昭和基地の様子や展示品についての質問などを行っていた。
隕石や防寒服など通常目にかかることのないものが多く展示されていた
岩石と氷山の氷
初展示の隕石
皆さんがお持ちのQSLカードはありますか? と歴代の南極運用のQSLカードも展示
JAIAコーナーでは、各社が工夫を凝らした展示が行われ、熱心な来場者が新製品や主力製品の感触を確かめたり、説明員に質問を行ったりしていた。以下、ブース番号順に紹介する。
・アイコム株式会社
ハムフェア直前に希望小売価格を発表したHF/50MHz 1kWリニアアンプIC-PW2をはじめ、同じく直前に日本国内での販売が開始された144~5600MHz(10GHz)トランシーバーIC-905(XG)を中心に展示がされた。昨年はロボットを通じて技術者と相談や問い合わせであったが、今年は技術者がブースに常駐し、来場者と直接対話し相談や問い合わせに対応する姿が見られた。
写真左にIC-905、右にはIC-PW2を展示
IC-PW2は、IC-7851との1対1での組み合わせ、およびIC-7610×2台との組み合わせによるSO2Rをデモする展示内容だった。会場で発表された希望小売価格は767,800円(税込)で、発売時期は明かされなかったが、設計は最終段階に入っているとの事であった。また現段階ではIC-7610のみの対応ではあるが、デジタルプリディストーション(DPD)によるクリーンな送信波を実現している。(IC-PW2製品ページ参照)
IC-PW2
IC-7851との組み合わせ
IC-7610×2台を使用したSO2Rの例
なお、ハムフェア開催直前に国内で販売が開始されたIC-905は実動展示に加えて、さらに上の周波数帯として24GHz帯トランスバーターやバラボラアンテナ、独自開発したCavity BPF(10GHz、24GHz用)が参考出品された。
IC-905
24GHz帯トランスバーターやパラボラアンテナが参考出品された
Cavity BPF(10GHz、24GHz用)
測定データも公開された
さらにサプライズ発表として、受信範囲76~500MHz、AM/NAM/FM/NFM/WFMに対応したハンディレシーバーIC-R15が参考出品された。
サプライズ発表のIC-R15
また両日12:30より、JH1CBX Masaco氏による「MasacoのIC-705ワクワク運用記」と題したスペシャルトークショーが実施された。前週の8月12日に奈良県御所市の大和葛城山へ行き、IC-705を使用してJARD主催HAMtte交信パーティー2023に参加した移動運用のエピソードなどが紹介された。
IC-705で運用したエピソードを語るMasaco氏
・株式会社JVCケンウッド
ハムフェア開催前に発表されたHF/50MHz帯トランシーバーTS-990 TRIOモデルの実機展示や2023年5月にアメリカで開催されたハムベンション2023で発表された、144/430MHzデュアルバンダーTH-D75の参考出品を中心に、アウトドアでの運用セットの展示やバーチャルキャラクター「波澄りお」によるTH-D75のスペック紹介などのYouTube動画が流された。
TS-990とTH-D75
TS-990 TRIOモデルは、JAIAコーナーの新製品紹介で掲載(8月15日号参照)したが、JVCケンウッドストアで国内限定3台の抽選発売であり、スタッフの話では8月8日より申込受付を開始しているが予想をはるかに超える申し込みとなっているそうだ。(詳細はJVCケンウッドストアを参照)
TS-990 TRIOモデル、スタッフの操作による起動時の画面表示
TH-D75は、今年のアメリカハムベンション2023で発表されたが、ハムフェアでも参考出品ではあるものの実動品が展示された。
バーチャルキャラクター「波澄りお」のコーナーでは、Masaco氏とのコラボYouTube動画も流れていた。
バーチャルキャラクター「波澄りお」
・アツデン株式会社
KANHAM2023でも展示された、144MHz帯500Wリニアアンプ AZR-5002や、プリセットアンテナチューナーAZT-1000などが展示された。
HF-50MHz 1kWリニアアンプAZR-1000やおなじみのヘッドセットも展示された
144MHz帯500Wリニアアンプ AZR-5002は、FET 1個で500W出力が可能でCW/SSB/FM/FSK/PSKに対応している。スタッフに話を聞いたところ、今回は参考出品であるが2023年年末に発売予定とのことだった。
AZR-5002と特徴、仕様
プリセットアンテナチューナーAZT-1000は、HF~50MHzに対応するオートマチックチューナーで、アンテナアナライザーを内蔵することにより無線機を接続することなく、本機とアンテナを接続するだけでアンテナ整合ができる。もちろんリニアアンプAZR-1000と連動が可能となっている。こちらも参考出品である。
AZT-1000と特徴、仕様
・第一電波工業株式会社
屋外設置型アンテナチューナ用エレメントCPATUやATE350、ホイップアンテナ数種類が参考出品され、144MHz帯、430MHz帯の八木アンテナも展示された。
屋外設置型アンテナチューナ用エレメントは、2種類が展示された。CPATUは全長4.6mのアルミエレメントの途中に3個のトラップコイルが設けられている。対応周波数は3.5~50MHzで耐入力は200W(SSB)、発売予定ではあるが時期は未定としている。
もう一つのアンテナチューナ用エレメントは以前販売されていたATE350で、全長約6.5mのアルミエレメントでトラップコイルがないタイプである。こちらも参考出品であった。
CPATU(発売予定で時期は未定)
ATE350(以前の製品のため参考出品)
ホイップアンテナは、4種類が参考出品された。まずは、スクリュードライバーアンテナSD330に追加で取付ける1.9MHz帯オプションで機種名は未定。全長はSD330と合わせて全長約2mで耐入力は200W(SSB)となっている。
HF217(仮称)は、7/21MHz帯デュアルバンドアンテナで、全長は約1.67mである。
CR627S(仮称)は、50(FM)/144/430MHz帯モービルアンテナで、全長約1.4m。かつて販売されていたCR627の復刻モデルである。
EL2ER(仮称)は、約30年前に販売されていたEL2Eの復刻モデルで当時のスペックそのままでの再登場となる。対応周波数は144MHz帯、全長は約1.8mであり、特筆すべきは現在では5/8λのホイップアンテナが主流であるが、これは7/8λのホイップアンテナである。
なおこれら4種類のホイップアンテナはどれも開発中のため、型式や仕様などが変更される場合もあるので今後も注意が必要だ。
左からSD330用1.9MHzコイル、HF217、CR627S、EL2ER
・アルインコ株式会社
今年4月中旬に発売された、デジタルマルチモードレシーバーDJ-X100や144/430MHz FMモービル機やハンディ機などが実動展示された。また351MHz帯デジタル簡易無線機DR-DPM62Wの実動展示もあった。
DR-DPM62Wは、アプリ無線の「Air-InCom.(エアーインカム)」を使った通信と、新割当てされた82ch分のデジタル簡易無線運用を可能である。3つの通話モードがあり、
①デジタル簡易無線の直接通話(登録局直接波 新82CH対応)
②アプリ無線ユーザー間の通話(LTE~5G)
③デジタル簡易無線とアプリ無線のゲートウェイ(直接波+LTE~5G)
直接電波が届くところではデジタル簡易無線として動作し、直接波の圏外エリアでは本機とBluetoothでぺアリングしたスマートホンを使うアプリ無線で、どちらも無線機のハンドマイクのPTT操作で通話できる。
351MHz帯デジタル簡易無線機 DR-DPM62W
アプリ無線の「Air-InCom.(エアーインカム)」
クラブコーナーは、一般展示・販売ブースが86、純粋展示・発表ブースが59で合計145ブースの出展があり、昨年の137ブースより微増であった。一般展示ブースでは、開始直後に行列のできるキット販売のブースや、パーツやジャンク品など扱うブースなどに、それぞれ掘り出し物などを求める人が集まり大変賑わった。また純粋展示・発表ブースでは力の入った製作品や活動の展示が多くみられた。本年は各ブロックの間隔を広く取り、活動展示や物品販売などが行われていたが、混みあうタイミングではかなりの人で通路は埋め尽くされ、通行に支障をきたすような状況にもなっていた。
当月刊FB NEWSもブース出展を行った。ブース内イベントとして「Twitter&Facebook新規フォローキャンペーン」、「交信体験」を行い、どちらのイベントも好評だった。あわせてMasaco氏によるCDやグッズ販売が行われ、全国各地からの来場者がサイン入りのCDやグッズを購入していた。
こちらが月刊FB NEWSのブースです!!
また、Masaco氏とスタッフによって、ブースの奥からJL3ZGL/1(FB Girls Radio Club)を使い、ちょうど開催中だったHAMtte QSOパーティーに参加した。結果は2日間併せて430MHz FMで52 QSOできた。お相手いただきました皆さんありがとうございました。
CQ ハムってパーティー! こちらは JL3ZGL/1 交信よろしくお願いします!
今回の試みとして、開会式およびイベントコーナーの一部の様子がYouTubeで生配信された。アーカイブも公開されているので、見逃された方もこちらを視聴するとよいだろう。
ハムフェア実行委員会 YouTubeハムフェアチャンネル
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