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2024年3月15日掲載
2月29日(木)、愛知県弥富市にある弥富市役所南部コミュニティセンターにて、東海総合通信局とJARL東海地方本部との50回目の連携運用が行われた。この運用の目的は、使用区別※(いわゆるバンドプラン)を逸脱した、衛星通信用の周波数帯やレピータ通信用の周波数帯でのFMによるシンプレックス運用局や業務用通信を行っている局、また使用区別が守られていてもコールサインを送出せずに運用を行っている局らに対し、それらは法令を遵守した運用では無いこと伝え、遵法運用に導くことを目的としている。また東海総合通信局とJARL東海地方本部が長年にわたり連携し、地道に継続してきたことに意義がある活動だと言える。
※アマチュア業務に使用する電波の型式及び周波数の使用区別
弥富市役所南部コミュニティセンター
特に使用区別を逸脱した運用に対して、アマチュア局が注意しようと運用すると、そのアマチュア局も使用区別を逸脱してしまうため、それらの運用を是正することを目的とした業務の局であるJARLのガイダンス局(東海地区のコールサイン例: あまちゅあがいだんす2、及び、あまちゅあがいだんす12)と、総合通信局の規正用無線局(東海地区のコールサイン例: でんかんきせいなごや かはん80)を運用し、違法運用局に対して電波で注意指導を行っている。
なお、ガイダンス局と規正用無線局はアマチュア局では無い(特別業務の局となる)ため、アマチュア無線技士の資格では運用できず、第三級陸上特殊無線技士(三陸特)以上の資格が要求される。またそれぞれに局のオペレーターとして選任させていなければならず、三陸特以上の資格を持っていても直ちに運用できるものでは無い。
430MHz帯と144MHz帯のアマチュアバンドを主に、事前に東海総合通信局あてに違法運用が行われていると報告のあった周波数や、東海総合通信局の監視業務で捕捉した周波数、それに当日の両局によるワッチで捕捉した周波数を傍受し、法令を遵守した運用を行っていない局を確認すると、まずは、JARLのガイダンス局がその局に対して、その周波数では(現在行っている用途で)運用できない旨、もしくはコールサインを送出して運用する旨の注意喚起を行う。
その結果、使用区別が守られない運用が停止されたり、コールサイン送出を促した結果コールサインが送出された場合は、その時点で1件終了となる。しかしガイダンス局からの注意喚起にも関わらず当該運用が継続されたり、反論してきた場合などは、ガイダンス局から、(隣で開設している) 規正用無線局に対して指導の依頼が行われる。
依頼を受けた総合通信局の規正用無線局では、違法運用局に対してより強い口調(録音音声)で、その運用を直ちに中止するように命令を行う。この命令に中には罰則規定(100万円以下の罰金、もしくは1年以下の懲役)も含まれており、それを耳にしたほとんどの違法運用局は運用を中止する。それでも一部の局は命令を無視して運用を継続したり、文句を言ってくるような局が存在するが、メッセージの最後に問い合わせ先の電話番号を送出しており、それらの局と規正用無線局が交信することはない。「マイクを握って交信しないのは、後に言った/言わないなど無用なトラブルが発生するのを避けるためです」、との説明があった。
この運用は、ガイダンス局と規正用無線局の2局がお互いに協力、連携して行われることから「連携運用」と言われており、東海地区だけでなく、北海道から九州まで全国すべての地区で行われている。
参考サイト: https://www.jarl.org/Japanese/7_Technical/denshou/kisei-renkei.htm
今回の連携運用は、東海地区では50回目の一区切りとなる運用で、総務省東海総合通信局電波監理部監視調査課とJARL東海地方本部愛知県監査指導委員会により、弥富防災ハムクラブ(JI2ZVP)の協力のもとで実施された。
今回の連携運用に使用された3基のアンテナ
(左: ガイダンス局送受信用、中: 規正用無線局受信専用、右: 規正用無線局送受信用)
2/29(木)、今回の運用拠点となった弥富市役所南部コミュニティセンターにて、午前9時頃からそれぞれの無線局とアンテナ設置などの準備が行われた。運用開始時刻10時になり、堀内JARL東海地方本部監査長の開始宣言、木村JARL東海地方本部長の挨拶、平野JARL東海地方本部愛知県支部監査指導委員長からの説明の後に連携運用が開始され、途中昼食休憩をはさんで、15時の終了時刻まで連携運用が行われた。
連携運用の様子
愛知県弥富市はその土地柄、交通量の多い伊勢湾岸道、東名阪自動車道、国道23号が通過しており、長距離トラックなど業務車両の通行も非常に多い。多くのプロドライバーは従事者免許と有効な局免許を所持し、使用区別も守って遵法運用しているものの、一部の局は免許を持っていても使用区別を理解しておらず、空いているからという理由で衛星通信周波数帯やレピータ周波数帯で、FMによるシンプレックス運用で使用する例も多々ある様だ。
中には、局免許が失効しているにも関わらず更新を行うこと無く運用を継続する局や、無線従事者免許しか持っていない局、さらには無線従事者免許すら持っていないという悪質な局も存在している様だ。
東海地方で50回目を向かえた今回の連携運用では、ガイダンス局から53回の注意喚起のメッセージ送出、そして規正局から23回の指導メッセージの送出が行われた。多くの場合で注意喚起や指導内容が違法運用局に伝わって停波へとつながり、成果を残して終了することができた。
2010年に行われた第1回目の運用から14年が経過し、アマチュアバンド外での違法運用はほとんど無くなっているものの、バンド内では法令が遵守されていない運用がまだまだ行われている。アマチュア無線家が今後も気持ちよく、趣味としてアマチュア無線を楽しんでいくためのベースとなる遵法運用は、すべての運用局が行う必要がある。それを実現するために、今後も継続して連携運用を実施していきたいと担当者は話していた。
もし読者が使用区別に反した運用局を発見した場合、ガイダンス局や規正用無線局に習ってアマチュア無線機を操作し直接電波で注意すると、その送信行為自体が違法運用に該当するため、たとえ正義の行為であってもこれは行ってはならず、必ず管轄の総合通信局に報告をお願いします。
参考書式: https://www.soumu.go.jp/main_content/000203390.pdf
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