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PHONEで楽しむQRP通信

第9回 ICOM IC-705(移動運用・小幌スタイル)に合わせたグッズを製作

JE1ECF 斎藤毅

2024年3月15日掲載

1. 「マイクコントロールBOX」の製作

(1)はじめに
これまで駅前QRVなどの移動運用においてベンチ等に座ってQRVできない場合、街中に立った状態で運用していました。この時、筆者はビデオ三脚にリグとアンテナを取り付けた小幌スタイルで運用していますが、純正ハンドマイクを握り、ログを執りながらのQSOが非常に難しい? と感じており、両手を空けて、ログを執るにはどうしようかと模索していました。

結論を言ってしまうと、ロック式PTTの付いたスタンドマイクを使用すれば解決するのでは考えました。なお、市販品の活用(改造)、グッズ製作(自作)は自己責任のもとに実施しています。


MIC&コントロールBOX


小幌スタイル with MIC


(2)PC用USBスタンドマイクの活用

ある時、となり街を徘徊中? に中古の家電やPCを取り扱う店舗のジャンクコーナーで小さいUSBスタンドマイク(税抜100円)を発見、即購入しました。

USBスタンドマイクを活用するにあたり問題がでました。マイクエレメントはコンデンサーマイクですが電気的にUSBからステレオプラグに変換する方法が厄介でした。そんなこんなでUSBスタンドマイクのUSB変換回路を使用せず、コンデンサーマイクに直接3.5mmステレオミニプラグ付きケーブルをハンダ付けすることにしました。3.5mmステレオミニプラグは1番ピンにマイク+、2番ピンは無接続、3番ピンにはマイク-(GND)となるように接続しました。スタンドマイクには風防が付いていませんでしたので必要に合わせ調達を考えます。


撤去したUSB変換基板

(3)IC-705との接続
今回のスタンドマイク&コントロールBOXの構成は以下になります。
①IC-705接続ケーブル
②マイクコントロールBOX(PTT回路)
③スタンドマイク

次に厄介なのがIC-705との接続です。皆さんご存知のようにIC-705は特殊でマイクに2.5mm4極プラグを使用しています。ストレートの2.5mm4極プラグケーブルの入手は容易なのですが、純正のハンドマイクにならいL型プラグケーブルにしようと思ったのですが秋葉原でも見つからず、インターネット販売で見つけることができました。IC-705接続ケーブルは購入したL型2.5mm4極オスと3.5mm4極メスの変換ケーブル【カモン 435425-015L】に3.5mm4極オス-オスの片側L型延長ケーブル【カモン W435-05A】を介してマイクコントロールBOXに接続しました。


L型2.5mm4極変換ケーブル


3.5mm4極オス延長ケーブル



ケーブル全体(接続)



(4)マイクコントロールBOX本体
マイクコントロールBOXのPTT回路は取扱説明書に記載のある回路ですがノイズフィルター回路は省略し、1μFの極性あり電解コンデンサーはダイナミックマイクの使用を見据えて積層セラミックコンデンサーに交換しています。(無極性の電解コンデンサーの手持ちがありませんでした)

PTT用の切換スイッチはオルタネイト式押し釦スイッチとトグルスイッチを併用しています。マイク入力部は3.5mmステレオジャックを使用し、1番ピンをマイク、2番ピンをPTT、3番ピンをGNDとしてこれまでピコトランシーバ等で使用してきたハンドマイクも使用できるよう汎用性を持たせました。

ベース部はIC-705コンソールのハンドル部をかわすため、ゴム足でかさ上げし、板状マグネットを取り付けました。マイクコントロールBOXとスタンドマイクはマジックテープで固定しました。


回路略図


ハンドマイクを接続


コンソールに設置



ゴム足&マグネット


マジックテープで固定


2. 「HF/50MHz QRP ANT TUNER」の製作

(1)製作のきっかけ
これまでも筆者はQRP用のアンテナチューナーを製作していますが基本回路は全て同じです。今回、1項に紹介したマイクコントロールBOXをセッティングしてみて隣のスペースに空白感? を感じたことから、何かないかと模索していました、

結果、並べて使用できるアンテナチューナーが思い浮かびました。今回はBNCタイプのアンテナの使用を意識してANT側をBNC(メス)としました。対応周波数は3アマの操作範囲とし3.5MHz、7MHz、18MHz、21MHz、24MHz、28MHz、50MHz帯です。実際のQRP運用では7MHzから上が対象となります。3.5MHz帯は使用したバリコンの容量にCを追加することなくLの巻き数を増やすことで対応できたことによる副産物? となります。144MHz帯と430MHz帯については愛用しているRH770のV.SWR特性が良好なため、今のところアンテナチューナーの必要性を感じていません。


チューナー


入力端子(UHFコネクタ)



ゴム足&マグネット


IC-705にセット


(2)バリコン
通常、アンテナチューナーにはバリコンを使用します。昨今、タイトバリコンは国内生産がされていないため新品の入手は困難です。またエアバリコンも希望する容量がなかなか見つけることができません。

今回はQRP用ということで使用したバリコンはポリバリコンです。筆者は7MHz帯での使用を意識して300pF程度の容量のものを使用しています。2023年12月現在で入手可能なものは3タイプあります。

①VC-340AF(VC-340AM)【ミズホ通信】
ミズホ通信で自社のアンテナチューナーの保守パーツとして販売されていたもの。過去のハムフェアではミズホ通信協賛の自作教室などでも目にすることができました。延長シャフトと取付ビスがセットになっています。以前は秋葉原シオヤ無線(現在廃業)やJA1AMH高田OMの甥の営むレコード店で取り扱いをしていましたが現在は情報がありません。ただ、インターネットでの他パーツショップでは購入が可能です。仕様は340pF2連です。


VC-340AF(VC-340AM)

②PVC CJ-392-1336【デジット】
大阪・デジットで購入できる基板直付タイプのポリバリコンです。本体四隅に棒状の接点端子を有します。延長シャフトは別途購入となります。秋葉原・Aitendoではポリバリコン変換基板なるものが販売されていますが一致する形状のものがあるかは不明です。取り付け方に工夫を必要とします。仕様は320pF2連です。


PVC CJ-392-1336

③PVC CJ-531-1286【デジット】
筆者が好んでいるもので、こちらも大阪・デジットで取り扱いがあります。今回も使用しているものです。延長シャフトと取付ビスが別途購入となります。

5年程見かけなくなっていましたが2023年12月に店頭で発見。即、購入しました。延長シャフトについて一言、通常は切り欠きがありポリバリコンにフィットしますが、安価なものでは単なるパイプというものあるので延長シャフトの購入には注意が必要です。なお、筆者は大阪に出向くとデジットでこのバリコン、共立電子で延長シャフトを購入します。仕様は330pF2連です。


PVC CJ-531-1286


延長シャフト


3. いざ運用!

今回、試験運用を山手線の駅前QRVで行ってみました。昨年、山手線駅前QRVは144MHz SSBに特化しましたが、今年は「HF & 6m」をテーマに実施したいと思います。

さて、スタートする駅は「オタクの聖地秋葉原駅」です。買い物ついでに1時間程度の運用となりました。秋葉原UDXへ向かう歩道橋上でのQRVです。リグ・出力はIC-705 5W、周波数・モードは7MHz SSBと50MHz SSBとしました。使用するアンテナは7MHz帯がマルドルのモノバンドロッドアンテナ、50MHz帯はサガの50MHz & 144MHzロッドアンテナです。

交信実績は以下の通りです。


グッズの使用感はスタンドマイクでは変調が浅いようで使い物になりませんでした。よって、ハンドマイクを使うこととなりました。
⇒マイクコントロールBOXに一石トランジスタアンプを追加する予定。

アンテナチューナーは50MHz帯においてV.SWRが1.5以下になりませんでした。まだまだ、改良が必要のようです。
⇒50MHz用のコイルの巻き数を1ターン減らす予定。

今回は両手の空けての運用には至りませんでした。残念。

★★★お礼とウラ話★★★

1エリア近郊の皆さんへ
この度は「QRP PHONEで楽しむJR武蔵野線コンテスト」へ参加いただきありがとうございました。現在、結果集計中です。結果発表までしばしお待ちください。なお、沿線地域局とのQSOができなかった方、QROで参加された方、参加部門間違いの方等はチェックログ扱いと致します。サマリーシート、ログシートの提出期限は2024年3月15日までです。ご提出をお願いいたします。

(2)開催にあたり・・・
2023年4月にJRE(当時はJNR)武蔵野線(府中本町~新松戸間)が開業50周年であったことをニュースで知り、何かアマチュア無線に活用できないかなと模索した結果、思いついたのが駅前QRVとこのコンテストでした。こんな時、ローカル局がとりまとめを行っている「多摩川コンテスト」が開催され、このローカル局に多摩川コンテストの規約を参考にさせてほしい旨を相談したところ、快諾をいただきました。

内容についてはこの掲載記事にあるQRP PHONEとしました。開催時期については2023年中に開催したかったのですが間に合いませんでした。ということで2023年度という括りで開催の運びとなりました。なお、JR東日本では2024年3月末まで50周年にちなんだ各種イベントを実施しているようなので、この開催日は妥当であったと考えています。また、CQ誌での告知を考えていましたが、記事の募集期間に間に合いませんでした。

開催日は他のコンテストと重ならないように気を付けましたが、ここで大誤算がありました。開催当日は沿線地域局を多く有する千葉県においてハムの集いが開催されていました。これが要因か千葉県内の沿線地域局の参加ほとんどありませんでした。(実は筆者も午前中は千葉ハムの集いでジャンク漁りをしていました。)

筆者は吉川市(YK)の公園で移動運用を行いましたが雨と寒さに勝つことができず、1時間以下の参加となりました。結果は沿線地域外の局のみの交信となりました。

今回はお試し開催? でしたが参加各局からの次回開催の要望が多ければ、継続したいと思います。

★★★QRPプチ情報・参加者募集★★★
3エリア近郊の皆さんへまもなく募集締め切りです!

第2弾 QRPな電車で行うQRP懇親会in関西 阪堺電車

QRPな電車で行うQRP懇親会の第2弾を実施します。今回は大阪・阪堺電車です。阪堺電車に乗ってアマチュア無線談議をしませんか?

乗車時間は約2時間(トイレ休憩あり)
募集人数は15名を想定。

皆さん、お誘いの上、参加表明お願いします。
今回は車内での飲食が可能です。参加費には(アルコール350ml缶2本を含みます。)その他、飲料やおつまみ等の食べ物は持ち込み自由です。

1. 開催日 2024年3月23日(土)
2. 集合場所・時間 阪堺電車・恵美須町駅 13:15
3. 出発時間 13:36
4. 参加費(1名につき) 2500円
5. 申し込みはEメールでお願いします。
  E-mail: mail_je1ecf(アットマーク)ymail.ne.jp
  ※(アットマーク)は@に置き換える。
  表題を【阪堺電車懇親会 コールサイン】として送信してください。
6. 募集締め切りは2024年3月16日

以上

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