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おきらくゴク楽自己くんれん

その51 6m AND DOWN コンテストと記念局公開運用参加

JF3LCH 永井博雄

2025年8月1日掲載


6m AND DOWNコンテスト移動風景

皆さんこんにちは。昨年忙しい中移動運用に挑み、多くの課題を残してしまった6m AND DOWNコンテストが今年もやってきました。昨年はユーティリティ面ではミニスポットエアコンを試行しながら、無線設備としては自作144MHzツインデルタループアンテナで電信144MHz部門の全国入賞を目指し移動運用を行いましたが、残念ながら結果は全国入賞を逃し3エリア入賞に留まりました。全国3位入賞局との差はわずかで大変惜しい結果となりました。考えてみれば昨年はコンテスト開始時刻に間に合わずそれほど高い山にあがった訳ではなかったので仕方のない結果であったと思いました。

1. 昨年よりも高いスコアを目指すために

最初に考えたのは運用地です。今年は昨年の轍を踏むまいとより標高の高い場所で、より長時間運用(昨年は遅刻)することで昨年を越えリベンジを果たすべく準備していきます。

そして今シーズン初めてのミニスポットエアコンの設置です。昨年は暫定仕様で段ボールだった排気熱風を集め、通気口に繋ぐチャンバーは今回プラダン製に変更しました。段ボールより見た目を改善できればと思いましたが、出来上がってみるとたいして代わり映えはしませんでした(笑)。昨年採用していた吸入ダクトは、エアコン内部で吸入空気を蒸発器側・凝縮器側共に同一の吸込み口から引いているので効果ないものと判断して止めました。


ミニスポットエアコン

それ以外で昨年と違った点としてはこれまでノートPCを使っていましたが、今年はミニPCの採用、壁に取り付けたディスプレイと、無線式キーボードのおかげでマウスの移動にも気を遣わなければならなかったテーブル上のスペースに余裕が生まれました。


ミニPCと壁付ディスプレイでスペースに余裕

今回移動するのは奈良県吉野郡の標高1300m程度ある場所です。それだけでも昨年より好スコアが狙える場所なので万全の構えです。現地への到着時刻は予定より少し遅れてしまいましたがアンテナの設営が短時間で行えますのでコンテスト開始時間にはなんとか間に合いました。

2. コンテストがスタート

開始早々感じたのは、昨年ほどコンディションが良くないという事です。昨年は550mくらいの高さでしたが、開始直後から1エリアと沢山交信ができたので良いコンディションだと感じていました。今年はより標高の高い場所であるにもかかわらず、あまり昨年のように好感は得られませんでした。より高い場所からの運用で少し余裕を持ったつもりでしたがそうやすやすとは事は運ばないようです(汗)。

標高が高いという事は気温的には有利で、夜間は外気温22℃まで下がり、ミニスポットエアコンの出番はありませんでした。昨年よりロケ的に有利なはずでしたが思ったように増えてくれない交信数とマルチプライヤーに「もしかすると昨年のスコアを下回ってしまうのか?」という不安がよぎります。

開始後2時間で昨年のログと比較すると今回は明らかに低調でした。焦るもののなかなか交信数は増えず3時間を過ぎるとほとんど新しい局と出会わなくなり、準備の疲れがどっと押し寄せてきたので明日のコンディションの好転を期待しつつ休むことにしました。

目が覚めると「しまった!」でした。完全に夜が明けておりバンドに内は沢山の「CQ TEST」が聞こえています。慌てて空き周波数を探しCQを出しますが全然呼ばれません。それにより「早く起きていても変わらなかっただろう」と都合のいい解釈(笑)をしてバンド内を巡回ワッチしました。

日が昇りシャックに日光が当たると室内の温度が上がってきました。今シーズン初のエアコン運転で温度上昇を抑えますが、ここでのひとつインバーター運転によるノイズの問題が発生しました。

ミニスポットエアコンの電源はAC100Vですので、バッテリーのDC12.8VをAC100Vに変換するインバーターが必要です。その際発生するノイズが問題となります。昨年はエアコン排気口の不具合でエアコンをあきらめましたので大したことはありませんでしたがエアコン運転時のノイズは酷いものでした。

今年は対策の一つとして比較的ノイズの少ない矩形波インバーターに代えて見ました。格安の矩形波750Wインバーターを使いミニスポットエアコンを使ってみます。矩形波は波形の歪みからPCや電子コントロール式器具には使えないことが多いのですが、私のミニスポットエアコンは送風時のみコンプレッサーが回らないようにするインターロック回路があるくらいで難しい電子制御は使われていないので問題なく使用できています。

144MHz CWモードで運用中の下のスコープ画面を見ていただくと、バンド全体にうっすらとノイズが出ていることがわかりますでしょうか。相手の信号が強ければ全く問題ない程度なのですが、極めて弱い信号の場合は運転を止めて対応した方が良いでしょう。


矩形波750Wインバーター運転時

次に1000Wの正弦波インバーターを使用した場合のスコープ画面です。先ほどとは比べものにならないくらいノイズだらけになってしまいました。これでは少し弱い局でも交信が難しいと思います。このためコンテスト中は正弦波インバーターを使わないでいます。そんな正弦波インバーターですが、メリットはどんなAC100V機器でも使えることや、効率が良いので電池の持ちが良いのと、このモデルだけなのかも知れませんが冷却ファンの音が静かな点があげられます。それぞれの特徴を生かして上手な使い分けができれば有効に活用することができます。


正弦波1000Wインバーター運転時

この日はしばらく運用していると天候が曇り気味になり、シャック内温度が上がることがなくなりました。また心地よい風が吹くようになったことでコンテスト後半はエアコン運転を止めたのでノイズに悩まされることはなくなりました。

途中まで昨年の交信数を下回っていたのですが10:00を過ぎると順調に局数が伸びてきて、しばらくすると昨年の局数を超えるペースになりました。同時に獲得マルチプライヤーは23を超え、昨年のスコア超えが見えてくるようになりました。9エリアや4エリアと1エリアに取りこぼしがあり、これらのマルチをどうして埋めていくかが課題となってきます。

12:00を回ると局数の増加も難しくなってきたので、バンド内巡回であらたなマルチを探します。そんな中、福井県(29)と広島県(35)とつながりマルチプライヤーは昨年を超えることができました。

そして15:00となりコンテストが終了しました。お手軽なツインデルタループアンテナですので15分で撤収を完了でき、夕方には自宅に帰ることができました。早速ログを提出。果たして今回は目標である全国入賞は可能なのでしょうか? 2エリアの某局と部門がぶりそうな気がします。油断はできないようです(汗)

終わったことは仕方ありませんので、あとは結果発表を気長に待ちます。

次ページへ続く

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