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おきらくゴク楽自己くんれん

その5 【格安溶接機で作る移動用タイヤ踏みベース】
移動にMY郎(マイろう)を改良MarkⅡ

JF3LCH 永井博雄

皆さん、こんにちは。先月ご紹介した格安100Vインバーター溶接機でカラーC形鋼を使って作った「移動にMY郞」ですが実際使ってみたところ、いくつかの問題点出てきましたので改善していこうと思います。

1. 試作品モニター募集

1号基完成後すぐに2号基も製作、手造りゆえに全く同一品とはいきませんでしたが・・・。自分が使っただけでは気が付かない点があるかもと思い日頃からお世話になっている移動運用無線家のJP3OGA局にモニター使用してもらうようお願いをしてみました。「是非とも」と快諾をいただき喫茶店で待ち合わせ。怪しい物品(MY郞)を引き渡した後アイボール会議を実施。楽しい時間を過ごして後日のモニター報告を待つこととなりました。


モニターを依頼した初期型のMY郞(マイろう)

その後ほどなくOGA局から丁寧に作成された詳細な報告書が届きました。氏はこの短い期間に5回もMY郞を使って移動運用を実施していただいたそうです。そこにはおおむね良好に使用することができたとの高い評価とトラブルが発生したとの報告がありました。

数回使用した後の運用でOGA局が伸縮ポールを扱っている時に傾いてしまい一緒にMY郞の縦パイプも曲ってしまったということでした。


モニター報告書に添付された曲がったMY郞の写真

そもそもは自分用に逆Vダイポールなどワイヤー系アンテナを上げるため簡単で取り扱いしやすいタイヤ踏みベースはできないものか? 「風が強い時には使わない」と割り切って設計したものです。しかしモニター使用していただいて問題が発生したことは放っておけません。当初の想定になかった大きさのアンテナ使用や風だけではなく伸縮ポールに思わぬ力が加わった場合に対してMY郞の縦パイプ根本部分があまりに弱いことがわかりました。その他移動先では想定外なことが起こりえます。頭の中で考えるよりもう少しシビアな条件で考えることが必要なわけですね。


自身のコンテストでの使用状況

確かに風のない時に小さなアンテナを6mまでに上げるのには問題はありませんが。いわゆるHF移動用として発売されているV型の短縮ダイポールアンテナなどを高く上げると大きな無理な力が根元にかかる可能性もあります。そのような使い方は想定していませんでしたが改善できるのであれば考える必要がありそうです。

2. 自身でも使ってみて

フィールドデーコンテストに430MHz15エレメントの八木アンテナをMY郞と通称ビバポールと呼ばれている6m伸縮ポールを使って設営してみました。


フィールドデーコンテストでの運用風景

上の写真の前輪で踏んでいるのがMy郞です。15エレ八木は垂直偏波に合わすため片支持ブームを使いますので重心が大きくずれビバポールが大きくしなるので2段半くらい(3m強?)しか上げることができませんでした。この程度でもMY郞のカラーC型鋼部分は強い風が吹くと少し捻じれが生じてフラフラしていました。幸い当日はそのような強風は数回吹いただけで大きな問題はなかったのですが、高く上げるともっと大きく振れたりして事故となる可能性があるかも知れません。その前にビバポールのしなり方が大きくなるから放っておいてもいいか、とも思っておりましたがそれはそれですね。

3. 対策を検討する

モニターしていただいたOGA局からの報告書で、先月号に載せたMY郞プロトタイプにあった耳を付けてはどうか? との提案をいただいておりました。


知り合いに廃材で作ってもらったプロトタイプ

プロトタイプでは、たまたま廃材の中にあったL型アングルをパイプのタイヤの反対側に捻じれに踏ん張れる形で取り付けてもらいました。ところがMY郞初期型には使用に条件を付ければ必要ないだろうと省いておりました。早い話が小さな薄い部品の溶接は難しそうな気がしたので「できればしたくなかった」というのが本音でありますhi。

カラーC形鋼60mmは1.6mm厚の鋼板をプレスで曲げてC形にしているだけでそもそも捻じれに対する強さを求めるのは無理がある代物です。ガチガチに補強を入れれば頑丈なものはできると思いますがそれでは軽量でコンパクトをいう本来のコンセプトから外れてしまいます。パイプ根元部分に縦リブを付けるというのも検討しましたが、それをやるには溶接の技量が伴わないと考え今回はパスしました。

4. アーク溶接の技術鍛錬?

そもそもこのタイヤ踏みベースを作ろうとしたきっかけは、ネットで100V電源の溶接機を使っている動画を見て思いつきで格安インバーター溶接機を購入したことです。動画でも「素人でも扱える」と簡単そうに溶接をしているのを見て衝動的に購入に至ったわけです。しかしアーク溶接を大変甘く考えておりました。特に今回の主な溶接ワークとして使っているC型カラー鋼は次の写真のようにつける場合、上側のC形鋼の溶接個所にRがついていて下側のC鋼ときちっと合わさっていないため大変溶接しにくくなっていることが溶接技能の取得を難しくしている要因でありました。そのことに気が付くのも大変遅かった鈍感な私です。


なかなかキレイにできません

アークが出て消さないよう溶接棒をスムーズに動かす。最初そのことだけを考えて実行していました。それでもなかなか真っすぐ溶接棒を動かすことはできませんでした。ワークとの距離を一定にしないとアークが途切れてしまうからです。先月できたベースの溶接部分はボコボコでとても他人に見ていただけるようなものではありませんでした。(それは今現在も変わりないのですが)

それなりに慣れてきた頃、一定の速さで溶接棒の距離も一定に保ちながら動かすことが出来たので喜んでいると下側だけについていて2つの鋼材は全くついていないということも多々起こりました。それを防ごうと今度は強く奥に押しつけるように棒を運ぶと1.6㎜の厚みしかない鋼板では「ズボッ」とすぐに穴が開いてしまい、なかなかキレイな溶接はできません。何度も繰り返すことで少しずつ不良個所は少なくなってきましたがまだまだきれいに仕上げることは難しい状態です。溶接を盛れるところは盛り、開いた穴にはエポキシ樹脂を埋めて乾いたらデコボコのビードと共に削る、という手法で誤魔化して乗り切りっています。それでも何とか2つの鋼材を引っ付けるという最低限の目的を達成しているという状況です。

【くんれんコラム】
ALL JAコンテストの結果が発表されました

本連載の第2回でレポートした自作ポケットダイポールとIC-705を使っての大台ケ原に山頂で参加したALL JAコンテスト参加記。その結果が発表されました。

残念ながら50MHz電信M部門での入賞とはいかず2エリア4位で入賞外でした。昨年のスコアですと2位で入賞となるスコアを得ていたのでかなり期待していたのですが。しかも今回2位で入賞された方はなんとまさかの出力P、5W QRPで2位入賞です。こちらはわざわざモバイルバッテリまで担ぎ上げて10Wで運用していたというのに。完敗で恥の上塗りとなってしまいました。敗因は高く登ってマルチは稼げたのですが局数が圧倒的な差で遠く及ばず運用場所のロケーションの違いが勝敗を左右していたようです。
せっかく自作ポケットダイポールに「コンテスト入賞アンテナ」の冠を付けてやりたかったのですが今回は力が及びませんでした。せっかく作った良いアンテナですから機会があればコンテストでの入賞を目指してまた挑戦したいと思っております。




5. 捻じれ対策と各種変更を実施する

検討した結果、次の改善を実施することにしました。
(1) パイプから反タイヤ側にL型金具を溶接し踏ん張る形で捻じれに対応
(2) C型鋼にパイプが入る箇所が一番捻じれに弱そうなので強化の為に細い箇所を出来るだけ短くする
(3) 強度アップとより少し大きいタイヤの車に対応するため全体を少し大きくする
(4) 踏みつけ部分である3つのC型鋼の重なり部分を広くとる

とは言っても普通の溶接作業でもままならぬ状況ですので、この通りに改善したものができるかどうかも怪しいものですが取りあえず実行してみましょう。まずは先月作った初期型にL型金具を溶接して実験してみます。


補強するL型金具はこの謎の金具から切り出しました

小さな金具を取り付けるのは避けていた訳ですが、結果的にはこの部材のように溶接部分がストレートか直角になっている部品はC型鋼のRの部分と比べれば断然やりやすいということがわかりました。初めから付けておくべきものでありました。


初期型MY郞にL型補強金具を取付け


初期型でテストします。(奈良VUHFコンテストにて)

改造したものでテストしたところ十分とは言えませんがかなり安定して使えるようになりました。再び金具を外してパイプとの距離を詰めて取り付け直したことでより安定し良好な結果を得られました。

6. 改良版を製作

テストの結果を踏まえて新しい改良を施しMY郞MarkⅡを作っていきます。MarkⅡとはツイッターで補強用L型金具をつけた画像を見たフォロワーの方から名前をいただきました。FBな名前をありがとうございました。

まず大きさですが、初期型ではコンパクトさを強調したがために必要以上に小さく作ってしまった感がありました。それと軽自動車の一般的な使用に限定すれば問題ないサイズだったのですが、もう少しタイヤ幅の広いものにも対応させる為各パーツを大きくしてみました。それでもそれほどコンパクトさは失わないよう最小限のサイズアップに留めました。


部材を切り出します

今回使用する部材の切り出しは、手持ちのディスクグラインダー(中国製)を使って1本1本を手作業で行いました。手間と時間がかかりましたので思わず高速カッターかロータリーバンドソーが欲しいと思ってしまいました。逆に言えばディスクグラインダーさえあれば切り出し、バリ取り、寸法調整・先端加工など何でも出来てしまうわけなのですが・・・。


改良版では取付け位置をシビアに


溶接作業は終了

幾度ものやり直しを経て何とか形になってくれました。


スプレー缶で塗装

塗装を施しますとアラが見えにくくなってくれます。見た感じで剛性がアップした感が出ていますね。


寸法図

7. テスト使用


改良版MY郎MarkⅡをテスト使用

この状態でポールをこじったり捻じったりしてみましたが、何も対策していなかった初期型の時と比べ断然強くなっています。しかし完ぺきとは言えそうにないので、風が強い時は使わない大きなアンテナは取り付けないなど十分な注意は必要であるのは変わりありません。そもそもは細いポールを使った移動運用のための物です。

8. まとめ


今回の試行錯誤で出来たベース達

今回、ふとしたことから思い立って作り出したタイヤ踏みベースですが、実験的に色々変更しながら写真のように作ったと同時にプロ用ホームセンターで購入した6mもの長さがあったカラーC形鋼を使い切りました。よって「移動にMY郞MarkⅡの製作」はこれにて終了の予定です。

皆さんの中で条件が許す方は、安くなって高性能なインバーター溶接機を使って色々な鉄工作に挑戦してみてはいかがでしょう。最小限の鉄工作の知識と道具が必要ですが、ネット動画などで比較的容易に知識は得られると思います。そうすればこれまでのDIYの枠を超えた意外な楽しみが見つかるかも知れません。

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次号は 11月 1日(月) に公開予定

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