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おきらくゴク楽自己くんれん

その6 変角ロッドアンテナを使って省スペースな50MHz折り曲げ式ダブルバズーカアンテナの製作

JF3LCH 永井博雄


皆さん、こんにちは。今月は以前ポケットダイポールアンテナで紹介した塩ビT字管利用給電工法を活用し、ジャンクの変角機能付きロッドアンテナを使い移動地での占有スペースを削減した50MHzダブルバズーカアンテナをご紹介します。

最近はHF帯で広帯域な性能が見直されお使いの方も増えているダブルバズーカアンテナですが、昔からHFでは同軸ケーブルのエレメントがとても重くなるのでどちらかというとハイバンドから50MHzなどで製作される事が多かったアンテナです。ダイポールよりゲインがあるとかないとか議論されることも多いアンテナですが、今回は折り曲げ式としゲインはともかく打ち上げ角などでダイポールでは得られない特性などいろいろな可能性を期待して製作してみることにしました。

1.材料からコンセプトが決まる!?




変角式ロッドアンテナ

日本橋のジャンク屋さんで見つけたこのロッドアンテナは9段で伸ばした状態で長さは約660mm。根元近くに角度を変えることの出来る軸がありその下にも12mm程度伸縮できる機構がついています。この変角軸を利用してダブルバズーカアンテナに大きな特徴を持たせることにしました。

実は10年以上前の話なのですが、塩ビ管を使ったV型のダブルバズーカ式アンテナを作ったことがあります。何度か移動運用で使用していました。コンパクトな割に思わぬ遠距離との交信も経験がありお気に入りのアンテナでした。今回はエレメント形状の他にも工夫してさらなる性能アップを目論みます。前回作ったダブルバズーカアンテナの給電方式は広帯域とされる左右の同軸エレメントを交差させて接続するクロス式でした。帯域は広い方が作りそこなったときにつぶしが効くと思ったのですが、前回の経験からクロス式の帯域特性は十分過ぎるくらいのものでした。そこで今回は放射効率重視とされるストレート式にして性能アップを狙います。下図にその接続方法と同軸エレメントの寸法を示します。


2.給電部と同軸エレメント部分の製作

まずはエレメント部の同軸1.5D-2Vの加工から始めます。910mm長の1.5D-2Vを2本、外皮を剥いて編線部分を少しカットして心線を出します。この同軸の長さは、のちに長いことがわかるので要調整と考えておいてください。むき出した心線を突き合わせてハンダ付けでストレートに接続します。編線にはハンダメッキを施しておきます。


910mm長の同軸の心線を突き合わせてハンダ接続

次に給電部の同軸1.5D-2Vの加工です。120mm長の1.5D-2Vにフロートバランとしてメガネコアを通して先ほど突き合せた同軸を接続する部分を加工します。


120mm長の同軸にメガネコアを通し端末加工

接続図を参考に先ほどハンダメッキしておいたエレメントとなる同軸の編線部分と給電部フロートバランから出ている端末部分をハンダ接続します。


T字管内で短絡しないよう絶縁処理を確実に


塩ビT字管に25mm程度に切ったVP13の短い管を差し込み、塩ビ用接着剤で固定しエレメントを左右直線口から出てくるように通します。下の写真の短い管は20mmと少し短かったのでもう少し接着剤を塗る部分を作るため長くしてください。


塩ビソケットを通してメガネコア部分を収める


M型レセプタクルを接続

※塩ビソケットを加熱して加工する作業があります。ヤケドには十分注意して作業して下さい

ヒートガンを使いソケットを温めM型レセプタクルを埋め込み冷やして固定します。かなり熱しないと上手く埋め込みできませんのでヤケドには十分注意して作業してください。

常温ではVP13用ソケットには六角ナットの角部分がつかえて入りませんが、熱しますと塩ビソケットがやわらかくなり口が広がりレセプタクルを埋め込むことができます。ヒートガンのスイッチはLOWにしてゆっくりと熱しました。しばらくするとソケットがふにゃふにゃに柔らかくなります。そしてすかさずM型レセプタクルを傾きが出ないように気を付けながら埋込んでいき、冷めるまで動かさないように塩ビ外周を締め付けてください。傾きなどが出ないよう、埋込具合をうまく調整して冷えて固まるのを待ってください。これで接着剤などを使わなくてもソケット内部に六角ナットが引っ掛かりM型レセプタクルは動かなくなり固定されます。


給電部が完成


同軸エレメント先端の加工

910mm同軸エレメントの先端で編線と心線を接続しハンダメッキをしておきます。この部分にのちに製作する塩ビキャップに取り付けたクリップで挟みロッドに導通させます


給電部と同軸エレメント部分が完成

3.ロッド部分の加工

まずロッドを取り付ける塩ビキャップから加工します。使用する塩ビキャップは写真のように頂部が平らなものを選んでください。最近は頂部が丸くなったものが主流のようで平らなキャップを置いてあるお店を探すのに苦労するかも知れません。

ロッドアンテナを取り付けるため側面を削りフラットな部分を作ります。


塩ビキャップの下地加工

ミノムシクリップは外の色の付いた絶縁チューブを取外し中身だけを使います。



キャップにロッドとミノムシクリップの中身

塩ビキャップに下穴をあけφ2.6mmタッピング皿ネジをミノムシクリップの持ち手部分に開いている穴を通し共締めしロッドアンテナとクリップを一緒に固定します。キャップ頂部に同軸エレメントを通して外に出すための穴(5mm程度)をあけてください。


キャップ頂部に5mm程度の穴あけ

850mmの長さに切ったVP13水道管を2本作り同軸エレメントを通して反対側にロッド付キャップを差し込みキャップにあけた穴から同軸エレメントを出してクリップで挟んで導通をさせます。



これで完成

4. 調整

調整とテストのため出来上がったアンテナとIC-705を持って奈良県東部の標高約600mの山頂へ行ってきました。



IC-705の電源はPDモバイルバッテリの12V、出力10W程で運用

アンテナアナライザーを使って計測したところ、当初の寸法で50.650MHzに同調していました。ロッドの変角部分を上に曲げた状態で計測すると53.150MHzとかなり上がってしまいました。



ロッドエレメントストレートで50.650MHzに同調



ロッドを上に曲げると最良点が2.5MHzも上がってしまいました

上がった同調周波数を下げるためロッドを15mmほど伸ばして計測すると51.750MHz(下図)と、かなり下がり運用予定の50.360MHzでもVSWR=1.24と十分に低くなったので、この状態で運用することとしました。


立てたロッド部分を15mmほど伸ばして再計測

5. テスト運用

調整を終え、まずはバンド内をワッチします。朝8時前でしたのでまだ静かでしたが長野県の常置場所の局が聞こえます。少し弱かったので10Wで届くどうか自信なかったのですがアンテナの向きを変えるとスッと信号が浮き上がってきました。ビームもかなり切れるようです。長野県の局と交信終了後、今度はCQを出してみました。初めは空振りが続きましたがだんだん運用される方が増えてきたようで、ぽつぽつ呼んでもらえるように。IC-705のスコープのあちこちで柱が立つようになりましたので聞きに行くと3エリアの移動局と1エリア横浜市常置場所の局の交信が聞こえてきます。残念ながらその周波数は3エリアの移動局がCQを出していたようで、交信終了後横浜市の局はQSYされ交信することはできませんでした。

その後何局か交信した後、今度は群馬県の移動局の信号も入ってきました。かなり高い標高で運用されているみたいでしたが、すぐに下山されるということでこれまた交信には至りませんでした。グランドウェーブの伸びが良かったみたいですが普通3エリアからエレメントの多い八木アンテナを使ってもなかなか群馬県の局とはできません。このダブルバズーカアンテナが移動運用で十分に満足できる性能があることが確認できました。この日は11時頃までの運用で15局と交信することができて満足してテストを終了しました。

6. まとめ

一回の運用で調整が不十分ですが同軸エレメントの長さをもう少し短くすればバッチリ良く使う周波数帯の中心に調整することが出来るでしょう。しかし帯域が非常に広いのでこのままでも普通の使用には全く問題はありません。直接ダイポールと比較していませんので何とも言えませんがアンテナ単体で使った印象は移動用コンパクトアンテナとして十分な性能で8の字特性はダイポールと変わりませんが、切れが良く遠くの局も良く聞こえこれからの運用で大いに期待できます。

もう一つの特徴としてアンテナの占有するスペースが少なくて済むということもあります。昔流行ったヘンテナほどではありませんが普通のダイポールだと上げるのに3m幅のスペースが必要ですが、このアンテナなら2m弱の幅があれば上げることが出来ます。アンテナが上げにくい木々に覆われた山での運用で活躍が期待できるでしょう。

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次号は 11月 1日(月) に公開予定

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