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おきらくゴク楽自己くんれん

その1 携帯性抜群! 50MHzポケットダイポールアンテナ

JF3LCH 永井博雄

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皆さん、こんにちは。今回は今頃から7月末頃まで、Eスポを利用した遠距離交信をお手軽に楽しむことができるコンパクトで携帯性が抜群の徒歩移動運用アンテナの決定版! 50MHzポケットダイポールアンテナをご紹介します。

用意する材料

水道用塩ビT字管VP13

1個

M型コネクタ(5D用)

2個

M型レセルタクル(丸型)

3個

1.4mロッドアンテナ

2本

メガネ型コア

1個

リード線

0.5m弱

5D-2V(古い廃棄予定品)

少々

2液式エポキシ接着剤

少々


実際に使用した材料

1. ロッド式エレメント部分の製作

それではまずロッド式エレメント部分の製作から開始します。

1.4mのロッドアンテナはJARL地方イベントでの出店で入手しました。通販で1本1000円程度で購入できます。1.5mのものが必要なように思いますが、最近は手に入りにくくなりましたし1.4mでも十分に代用できます。というか後で示しますがこれでも長過ぎるくらいでした。


用意した1.4mロッドアンテナ。SMAコネクタが小さなプラスネジで止まっている

このロッド式アンテナは「伸縮エレメント部」「短ロッド部」「SMAコネクタ部」の3つパーツで構成されています。今回はSMAコネクタ部分以外を使います。短ロッドとSMAコネクタはプラスドライバーでネジを外すだけで分離します。


短ロッドのネジ穴がある板状部分がMコネの中心コンタクトに納まる

SMAコネクタを外した短ロッドのネジ穴に5D-2Vの心線を絡げてハンダ付けしM型コネクタの芯に通します。ロッドとコネクタは2液性エポキシ樹脂接着剤でつけました。接合面積が小さく接着力に不安があるので接合部の外回り一周に薄く接着剤を盛って補強します。あまり厚く塗り固めてしまうとMコネの外部コンタクトの自由度が無くなってしますので注意します。最後にMコネのセンターに出てきた心線をハンダ付けします。


短ロッドとMコネはエポキシ接着剤があいだに塗ってあるのですが、この作り方ではアンテナの心線とMコネのクール側(シェル部分)は導通してしまいます。決してこのロッドエレメントを他の無線機に取り付けしないで下さい。無線機が壊れてしまいます。


接着剤が乾いたら初めに外した1.4mロッド部分にねじ込む


エレメント部分が完成

2. 塩ビ製給電部の製作

塩ビT字管を加熱して加工する作業があります。ヤケドには十分注意して作業して下さい。

M型レセプタクルのセンターピンに15-18センチくらいのリード線をハンダ付けしてください。


M型レセプタクルに付属する六角ナットは必ず強く締めておいてください

塩ビT字管にリード線を通して取付けします。このままでは六角ナットの角が邪魔して付けられません。そこで塩ビT字管を熱く温め、柔らかくして埋め込みます。


ヒートガンはネット通販で購入した1700円程度(送料込み)のもの

以前、カセットコンロで塩ビ管を熱していたのですが、焦がしてしまうこともあり少々危険です。そこで今回は写真のヒートガンを使用してみました。ガスコンロよりは安全ですが、塩ビをかなり熱くしないと変形しくれませんのでヤケドには十分気を付けて作業してください。もちろん軍手着用は必須です。

常温ではT字管が六角ナットの角部分がつかえて入りませんが、熱しますと塩ビがやわらかくなり口が広がり埋め込むことができます。ヒートガンのスイッチがHIGHですと1800Wもあり強すぎるのでLOWを使ってゆっくりと熱しました。しばらくするとふにゃふにゃに柔らかくなります。そしてすかさずM型レセプタクルを傾きが出ないように気を付けながら埋込んでいき、冷めるまで動かさないように塩ビ外周を締め付けてください。傾きなどが出ないよう、埋込具合をうまく調整して冷えて固まるのを待ってください。これで接着材などを使わなくても塩ビ内部に六角ナットが引っ掛かりM型レセプタクルは動かなくなり固定されます。

T字管の直線部2箇所の埋込に成功したらリード線を開いている真ん中の口から引き出してメガネコアを通しT字管内に納め簡易的なバランとします。今回使用するメガネコアは日本橋のジャンク屋さんで入手しました。きちんとしたバランとしての動作ではありませんが不平衡-平衡による不要な輻射をカットするのが目的です。付けておいた方が良い程度とお考えください。なかったとしてもアンテナの動作にさほど影響はないでしょう。メガネ型コアがなくてもフェライトビーズなどでも代用もできます。


コアを通ったリード線はM型レセプタクルのセンター側とアース側に接続するのに必要な分だけを残し切断、ハンダ付けしてコアを上手く収めながらヒートガンで熱して埋め込みます。


これで給電部も完成しました


先に作ったロッドエレメントを取り付ける

3. 計測

アンテナアナライザーを使った測定で大変FBなデーターとなりました。1.4mと寸法的にすこし短いのかなと思いましたがロッドを伸ばし切った状態でバンド外下の周波数に同調します。特性は大変なだらかで測定点の50.300MHzでもSWRほぼ変わりありません。このように帯域が広いですからこのままの状態でも十分実用になります。53MHz付近でもSWRは1.5以下ですからなんの問題もありません。ロッドを縮めてやればバンドのもっと上の周波数に調整できます。


4. テスト運用


ポールに取り付けるのにはグラスファイバー工研のUブラ(UB-353)が使える

この35サイズのUブラでギリギリVP13塩ビT字管をポールにはさみこんで取りつけることができます。ナットはオリジナルでは普通の六角ナットなのですが移動先で工具不要とするためにステンレス蝶ナットに取り替えています。


標高600m程の山頂展望台で伸縮ポールに取り付けた

この日、桜が散った後なのにぶり返しの寒波で風が強くて展望台は誰もいなくて自由に利用できたのですが、テーブルに置いたノートPCがひっくり返るほどの強風。伸縮ポールもフルに伸ばすことができず手もかじかみ、長時間の運用は不可能。残念ながらEスポには出会えませんでしたが、10W出力で2・3・4の各エリアの移動局に一発でピックアップしてもらえ、いずれの局からも「59」のFBなレポートをもらうことができました。


100均で売っているソフトケースに入れて運べる

今までロケーションはFBでも行くことが困難だった場所や、大きなアンテナを上げにくい場所でも活躍してくれそうです。

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