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おきらくゴク楽自己くんれん

その20 軽トラック荷台に載せる移動運用シャックを作る-6

JF3LCH 永井博雄

皆さん、こんにちは。軽トラック荷台に載せる移動運用シャックは一通りの実戦仕様に仕上がり、何とか今年最後のJARL主催のメジャーコンテストである全市全郡コンテストに間に合わせることができました。これまで触れていなかった部分を紹介しながらコンテストの参加報告もさせていただきます。

1. 外装に使用した材料・化粧について

移動シャックは製作費用の制約から、外装はホームセンターで購入したラワン材としています。ラワン材は製造時に使われている接着剤の種類によって耐水性能が変わります。今回使用したのは、1類(タイプ1)と呼ばれるメラニン樹脂接着剤が使われているものです。もっと耐水性能が高い特類というタイプがあるようですがホームセンターでは見つかりませんでした。1類でも建築物外装用とされているようなので、常時水気のある場合でもない限り問題ないと思っています。塗装は木部保護とされている水性シリコン塗料を使いました。色は悩みましたが一番気に入っていた「うす若草色」としました。しかしそうしますと運転席側面がこの塗料の一色のベタっとした感じとなっていて何かアクセントが欲しと考えて少し飾りをつけることにしました。


杉の板にスピードブロック柄を塗装

飾りですから材質にはこだわりはなくて安い杉板を2枚買ってきて色を塗ります。デザインは、大好きなオートバイメーカーのレース車に伝統的に採用されているストロボラインで「スピードブロック」と呼ばれるデザインをリスペクトして塗ってみました。しかしこの車、特にシャックを載せている時に上り坂では交通の流れ悪くするくらいにスローでしか走れません(笑)。


単色だった運転席側にワンポイント

上下のラワン材のつなぎ目に下地がありますから化粧板をネジで止めて本体との接する箇所にコーキングを施し防水します。窓がある助手席側とも少ししっくりとしてきましたがまだ少し愛想が足りない感じもします。


同軸引込口の隙間には梱包用ウレタンの緩衝材を使う

2. コンテストの準備と現地での設営

さていよいよ全市全郡コンテストが迫ってきました。最低限の移動運用が出来る装備が整い、実際に移動運用ができる状態になりました。この試みを思い立ったのがコンテスト移動運用を快適にしたいという発想が元でした。スタートしてから5ヶ月もの時間が経ってしまいましたが、いよいよ初出動となります。

このコンテストは24時間の長丁場ですので移動運用にはつらいものがあります。運用の環境が整いましたので、気合を入れてシングルオペレーター電信電話オールバンドM部門に50Wで挑戦してみます。移動専用シャックでの快適さは大きな武器になるはずでした


出発前のシャック内

大した規模の装備ではなかったのですが実際に積み込んでみると結構時間がかかってしまいました。


無事に現地到着

私は何をするにもスロースターターなので「今回こそはと早いうちに」と準備を進めていたつもりだったのですが、結局出発前に「ケーブルがないどこにいった?」とか「食料を積んでない」とか相変わらずのバタバタで出発が遅れてしまいます。運用予定地は奈良県吉野郡の標高800mを超える場所です。

先日の移動運用で少しシャックを載せた状態で走りました。今回は、より長距離となりましたが、走行中は特に異常は感じられませんでした。コンテスト開始が21時なのに現地に到着したのは夕方になってしまいました。マルチバンドの準備をするには余裕がありません。次回には積み込む荷物の選別や積込方法など慣れが出てきますのでもっと早く準備をすることができることでしょう。

雨の予報が出ていましたが現地に到着した時は幸いまだ雨は降っていませんでした。撮影中は少し降りだしましたが濡れることはなくラッキーでした。

リグ用電源は手持ちの電池の関係で4電源方式です。シャック電源盤には車内に置いた30Ahのリン酸鉄リチウムイオン電池バッテリーと荷台下に置いた50Ahリン酸鉄リチウムイオン電池を外部ケーブルで接続。それでも容量が足りなかった時のために車のバッテリーからも供給できるようにしました。これらは使用が多いであろうIC-7300Mに接続。比べて使用率が少ないであろうIC-9700には5時間くらいの使用に耐えるBL-50TXを使うこととします。


荷台の下に50Ahバッテリー。車用バッテリーも活用


車用バッテリー接続ケーブル(理想ダイオード付)

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは12.6V、鉛蓄電池は12Vと電圧が違いますので並列に接続しても大丈夫なように理想ダイオードを挿入したケーブルを作りました。理想ダイオードは電圧降下がありませんから電圧が低い側の鉛蓄電池にうってつけの逆流防止策となっています

3. コンテスト開始


アンテナの設営は暗くなるまでに終了

アンテナはHFに3.5MHzと7MHzは8mポールにダイポールと釣り竿利用のロングワイヤー。50MHzはデルタループ。144MHzと430MHzは長めのモービルホイップです。本格的なオールバンド装備には程遠い設備ではありますが、限られた設備でどれだけできるかに挑むのもコンテストの醍醐味と自分に言い聞かせます(笑)。


コンテスト中のオペレートテーブル

リグはHF+50MHzはIC-7300Mと144+430MHzはIC-9700です。1200MHzはこの場所では飛びが良くないので用意しませんでした。

21時になりコンテストが始まりました。昨年このコンテストにはQRP部門で参加したのですが、その時はCQを出しても呼ばれず「50Wあればもっと呼ばれるだろうな」と思っていたのですが、今年はCQを出してもみるも呼ばれることは少なくて、どうもアンテナが貧弱なのが原因のようです。みなさんまだ始まったばかりですから、この時間帯は強い局ばかりが呼ばれる状態、私の存在には気が付かないといった感じでしょうか。仕方がないので呼びに回ることにします。しかし、昨年のQRPに比べればマシではありますが思っていたほどのペースは上がらない状態が続きストレスが溜まります。

開始後3時間が過ぎ、急に疲れが出てきました。これまでのシャック作成や準備の疲れがいっきに襲ってきたような感じです。情けないのですが耐えきれなくなり1時を前にしてノックダウン。寝るにしても快適な環境が整っていることがわざわいすることになってしまいました(笑)。

それでも04:30頃には目覚めることができましたので、すぐに運用再開となりました。過去、車での仮眠と比べればかつてないさわやかな気分での寝起き運用となりました(笑)。

4. 途中本降りの雨に遭う

寝ている間に少し雨が降ったようでした。移動運用で初めて雨に遭ったわけですが特にシャック内に異常はなく一安心です。

開始から結構な時間が経ちましたが、相変わらず呼んで回る運用が続きました。3.5MHzではこの程度の高さのダイポールでは性能が今一つ足りない様です。もっと地上高を上げる必要があると感じています。比べて7MHzはやっと私の存在に気付いてくれる局が増えてCQを出し続けることができるようになりました。呼ばれなくなるとV/UHFにQSYして時間が経てばまた戻るということが続きます。

お昼を過ぎるとまた雨が降りだし今度は次第に本降りとなってきました。屋根に溜まった水がまとまって窓を伝って落ちてくるクセがあることも確認できましたが、幸いここまで雨に関しての問題が発生することはありませんでしたので雨に対しては満点の万々歳です。

夕方になりなかなか局数が伸びないだるい時間帯が訪れます。それを超えると日が暮れてあたりは再び暗くなりました。電池残量は今一つの交信数が幸いし車内の照明をつけるのに十分な余裕が残っていました。シャック外部の車用バッテリーのエネルギーに頼る必要なく完走できそうです。そのまま終盤もQSO数が大きく伸びることはなく余裕を残しながらコンテストは終了してしまいました。最終的な戦果としては昨年のQRPでの参加(382QSO)に比べ100QSOアップほどで終わり、いまひとつでスッキリとはしませんでしたが24時間もの間、時々の雨の中、無事にコンテスト使用に耐えたシャックには満足いく結果を得ることができヨシとします。

終了後せっかくなのでもう一泊すればよかったのですが、あまり家を空けたくなかったので2時間ほどかけて撤収作業をして帰宅の途に着きます。


山から降りてコンビニで夕食タイム

途中のコンビニで休憩しました。深夜ですので人が少ないので平気でしたが、まだ昼間には人が多いところでは「あれ何?」とか会話が聞こえて、少し恥ずかしい思いをする時があります。

5. 無事に帰宅

午前様になりましたが無事に帰宅することができました。荷物(シャック共)の積み下ろしは後日にして休むことにしました。今回はこのシャックを使った初めてのことが続きました。装備も十分ではありませんでしたのでコンテスト以外の部分の負担でいつもとは違う疲れを感じました。次回はもっと快適に楽しむことができることでしょう。

後日片付けをしていると思わぬ発見をしてしまいました。


天井に出現したシミ

天井に水が浸みたあとがあることに気が付きました。塗装等せずラワン材の素の状態でしたのでこれは気になります。雨漏りでしょうか? これまで異常がなかったので少し落ち込みながらの対策は後日施すことにします。

念願のコンテストに移動用シャックで参加でしたが、肝心のコンテスト成績は思った程ではありませんでした。これまでの作業疲れとかが影響したのかも知れません。しかし当初の目的を達成することができて大きな満足感がありました。しかしまだまだ改善の余地があります。これからも一つ一つ環境を整えていきたいと思っております。

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