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おきらくゴク楽自己くんれん

その14 軽トラック荷台に載せる移動運用シャックを作る-1

JF3LCH 永井博雄

皆さん、こんにちは。これまで各種アンテナや移動用電池電源などを作っては実際に使って私なりのチャレンジ(自己くんれん)を続けてきましたが、今月のネタは何にしようかとずっと悩んでおりました。実は以前からやりたいことが一つあったのですが、色々環境が整わず長らく見送っていたのです。ここ最近少しばかり時間が出来たことで機は熟したのではないかと判断してついにチャレンジすることにしました。

これまで本連載で紹介したものは実際に使ってみて是とすることを心がけていました。木工作など日頃全くしないので素人もいい所なのですが今回も実際の移動運用(コンテスト参加)までなんとか頑張ってみようと考えています。

1. 中古軽トラックを購入

我が家では農業を営んでいませんので軽トラックを持つことは無かったのですが、昨年ひと月に何度かの割合で軽トラックが必要な事が続きそれまでは都度レンタカーを借りてしのいでいたのです。そのうちいちいち借りに行くのが面倒になり思い切って国道沿いの修理屋さんで安く売られていた年式の古い中古を思い切って購入しました。


2010年式 SUZUKIキャリイ 5MT4WD

購入当時は全く無線での使用を考えていませんでした。もちろん移動運用でいろいろ便利に使えないか考えたりしていましたが、通常は無線仕様状態で置いておく訳にはいきません。しかし実際には用事があるとき以外はエンジンをかけることもなく、車のコンディション維持にはあまり良くない状況が続いていました。たまには動かすことの必要性を感じ、やはり何とかして移動運用に活用できないかを考えるようになりました。

2. コンテストや遠方での移動運用に軽トラック荷台の活用を考える

当初に考えていたのは手持ちキャンプ用品を利用して軽トラックの荷台を無線運用ベースとして使えないか? ということでした。荷台に木の板を敷き、その上に一人用のテントを置いてブルーシートを雨除けタープとして使えば、雨の日の夜間も比較的快適に運用できるのではないかと考えたりしていました。

そんな時に関西アマチュア無線フェスティバル特別記念局の運用を担当させてもらう機会がありましたので、2021年関西VHFコンテストに移動運用で参加してみようと計画しました。天気予報では夕方から下り坂で雨の降るということでしたので雨の対策もテストすることができそうな感じでした。

21時、コンテスト開始に合わせて夕方になる前に設営を完了。テント内シャック環境を整えます。想像をしていたことですが少し格好が悪いです(笑)。スマートな移動運用とはいきませんね。しかし見てくれはともかく、この時点では快適に過ごすことのできる環境が整っていました。


関西VHFコンテスト参加風景


当初は快適な運用環境でした

ところが時間が経つにつれ下り坂の予報通り雲が厚くなり風がでてきました。当地は標高800mくらいの見晴らしのいいところですので、風が出ると結構強く吹きつけてきます。次第にテントが変形し荷台ごと揺れるくらいの強風が吹くありさま。この時点でテントの中で落ち着いて無線を楽しむ余裕がなくなっていました。結局朝までこの状態は続き、予報ではまだまだ同じ状況が続きそうでしたので少し雨がおさまった間に急いで撤収し帰宅しました。

この経験から軽トラック荷台で無線を楽しむにはもっと丈夫なキャンピングシェルのような完全な個室状態のものにするべきであると身をもって理解しました。そしてそのような大げさな設備を整えるのは物理的かつ経済的に無理があると判断し、いったん軽トラックの移動運用活用計画はあきらめることにしました。

3. 自作軽トラックキャンピングカーを検討する

軽トラックの無謀な挑戦からしばらくたち、世はまさにキャンプブーム。しかもキャンプするだけでなく道具や用品を自分でなんとかしようという動画などの情報がたくさんでています。そんな中自作軽トラックキャンプシェルの製作情報をたくさん見つけました。いずれも大変参考になる力作で非常に凝った作りのものが紹介されています。しかし荷台テントでコンテストをしようとした私にはそんなおしゃれなシェルでなくても簡単にできる日曜大工レベル以下の工作技術でなんとか夢の移動戦用シャック箱が作ることができそうな気がしてきました。

というわけで自作移動運用シャックの製作に取り掛かる決断をした次第です。

4. コンセプト・基本設計

図面を書いて作れば間違いのないところですが、初めてのチャレンジです。途中でいろいろ心変わりや変更が考えられますので大体の方針と大きさだけを決めておきます。

サイズは居住性を考えると軽トラック荷台の縦1940mm横1410mmの限られたスペースをできるだけ大きく使いたいところです。法律上の制限をクリアしなければなりません。そして何よりも一人で作る予定ですので一人で扱うのにあまり大きなものは能力的に無理が生じます。今回はできるだけコンパクトにすることにし、よくトラックキャンピングカーに見られる運転席上オーバーヘッド部分の収納スペースも見合わせることにしました。素材はホームセンターで購入可能なものを利用します。どうしても手に入らないものは通販や専門の方の力を借りることも考えます。

トラック荷台に大きな箱を置いてしまいますと箱の中で使う物以外の荷物は助手席にしかスペースがありません。大きな荷物(ポール、アンテナ、同軸など)をどのように載せるようにするか考えておかなければ移動運用に使えなくなってしまいます。

これらの希望と私自身のプアな木工作の能力と積載の法的規制を考えながら進めていきます。

【くんれんコラム】
自動車の積載の制限の巻

あまり報じられていませんが、軽トラックに限らず道路交通法施行令の「自動車の積載の制限」がこの2022年5月13日より改正されました。

長さについては従来「その自動車の長さの1/10の長さを加えたもの」でしたが、改正後は2/10になりました(ただし前後1/10ずつ)。そして今回の荷台シャックに関係する幅ですが、これは従来「その自動車の幅」とされていたのですが、今回横はみだしが「自動車の幅にその2/10の幅を加えたもの」となりました。ただしこれも左右はみ出しは最大1/10となりました。つまり車幅の1.2倍まではみ出せることになったため、左右それぞれ車幅の10%分はみ出してもよくなりました。

しかし今回の荷台シャックでは、大きくすれば材料コストが上昇、重さも増し形が複雑になり製作方法も難しくなるので、今回の改正の恩恵を受けるわけにはいかなかったのです。それにこの改正が行われることを知ったのは土台部分が出来た後だったのでした。

仕方ないのですが改正で許容された寸法は今回採用できませんでした。


箱の大きさを考える上で一つ問題の個所が、自分の軽トラックのメーカーだけなのかもしれませんが、横のアオリを留める金具を受ける部分が突出していて箱の大きさを制限されることに悩まされました。写真の丸の部分を長手方向に避けると室内長が、横方向に避けると室内幅が制限されます。寝ることが目的ではありませんが可能にしておきたい項目です。私は身長が高くないので室内で1,700mmあれば横になり寝ることができるので長さ方向で妥協しました。私より身長の高い人は悩ましい選択かなと思います。後部のアオリを使わず後ろにはみ出させて前後寸法を確保する必要があるでしょう。


横のアオリを留めるために突出した部分

現在のところ次の仕様が可能になるよう進めていこうと思っています。
・室内高は1500mm程度以上、面積は荷台分
・可能な限り軽くするため、箱だけの重さ目標は180kg以下(積載上限は350kg)
・断熱材を入れる
・換気装置を装備する
・テーブルは「コンテナ箱の上に板」方式? を予定
・床下に伸縮ポールを2本収納するスペースを確保
・可能であればその他の用品も床下に収納できるように
・タイヤ踏みベースを使用せずに伸縮ポールを取付しアンテナを上げる機構
・同軸ケーブル及び外部からAC100V(発電機等)を引き込める工夫
・最低5時間の運用を可能にするDC13.8V電源装置を装備

5. 土台部分の製作を開始

まずは土台部分の材料・部材を購入しました。


特価品のまとめ買いがお得

何軒かのホームセンターを回りましたが、昨今の世界情勢の影響で以前と比べ木材の価格がかなり上がっています。感覚として数年前の約2倍の価格となっており、スタートから予算的に厳しい状況に陥っていて頭の痛いところです。今後資金的に大きな妥協をしなければならない可能性も考慮する必要があると思っておきます。ネジなどは余る量とわかっていても100本程度以下で買うよりは箱で買った方が安かったのでまとめ買いして節約しました。

土台の外周部分は2×4材、他の部分は35mm角の垂木を使いました。


荷台に目いっぱいに枠を組む


右端に伸縮ポール収納のスペースを確保

床下伸縮ポールスペース確保のために通して垂木を入れました。それほど箱が重くなる予定ではないのですが強度的に少し心配です。今のところ箱自体の重さは180kg以下にしたいと考えています。


2×4専用の金具を使い補強


伸縮ポール収納スペース


床は合板を3分割にして1枚は取外し可能に


床下に同軸ケーブルも収納

1枚だけ合板を外せるようにしておき、床下収納にアクセスできるようにしておきました。


12mm厚の針葉樹構造用合板を貼って土台が完成

ここまで、ああでもないこうでもないと進めていったため、休日を何日も費やしてしまいました。

6. 今月はここまで

これから梅雨の季節となります。屋外での作業がほとんどですので、梅雨の間どれほどの進捗できるか定かではありません。まだ外壁をどうするか、屋根はどうする? 扉は、窓は? などと解決していかなければならない問題が数多く残っています。じっくり一歩一歩進めていきたいと思っています。首尾よく上手く進めることが出来ましたら来月も進行状況をお伝えしたいと思います。製作中出来上がった部分を保管できるスペースの確保をしたいと思います。また、できあがるまで雨を避けて置いておく為の工夫も必要です。ついては完成した箱の保管方法にもつながる場所にしなければなりません。あくまで箱は移動運用の時だけ積む予定ですので。それではまた来月号で。

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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