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新・エレクトロニクス工作室

第51回 令和のKCS VXO基板(基本波用)を使った簡易SG

JE1UCI 冨川寿夫(ふかわ としお)

2026年7月15日掲載

今回は、令和のKCSシリーズ最後の基本波用VXOになります。逓倍用VXOは第48回で紹介しましたので、今回は基本波用VXOとなります。現在であればDDSやSi5351Aを使う方が作りやすいとは思いますが、CPUを使うため敷居が高くなる方も居られるでしょう。そこで、写真1のような基本波用のVXOも作りました。これは出力を細工してSG化したものです。


写真1 基本波用のVXOを作製し、SGとしてまとめた

発振回路のアレンジ

本来は逓倍用VXOの時に説明すべきでしたが、改めて回路の説明をします。図1は元祖のKCSトランスバータの基本的な回路です。この図にはコイルとコンデンサの値を入れていません。CQ誌1981年7月号に説明があるのですが、実は逓倍によって回路が異なります。


図1 KCSのトランスバータ基板の基本回路

まず、当時どのような説明がされていたかです。注意すべきは、全てのバンドにおいて7.8MHzのIFを使う前提になっています。当然ですがIFの周波数が変われば周波数構成も変わります。逓倍の考え方も変わります。以下は参考という事になりますが、考え方は同じなのでしょう。

50MHzのVXOでは14.55MHzを4逓倍して、58.2MHzを作るようになっていました。58.2MHzからIFの7.8MHzを引き算すると50.4MHzになります。図2はトランスバータ基板のVXO部分だけを取り出して、更にコイルやコンデンサの値を入れています。このように、初段で発振と2逓倍を行って複同調を通し、更に2段目で2逓倍を行って複同調を通します。そして3段目でアンプしてDBMで使えるレベルに上げています。逓倍の度に複同調をしている事が分ります。この方法はクリスタルの都合もあって試してはいませんが、現行のスプリアス規格をクリアするのはどうかと思います。特に1W以上では更に難しそうです。


図2 4逓倍で使う50MHz用のVXO部分

そこで、第48回では13MHzを3逓倍するVXO回路にしました。図3のように発振と3逓倍を同時に行い、次段を含めて複同調に2回通します。つまり3逓倍後に2回の複同調を通しています。一応IFは11.2735MHzですが、スプリアス規格はクリアしました。ただ、これでも周波数関係によっては難しいケースもあります。1W以下の方がスプリアスの関係で無難です。図3図2の回路とほぼ同じで2段までとなっています。これで充分にDBMがドライブできました。3段目はトランスバータ基板に入っています。これはVXOだけではなく、DDSやSi5351A使うためです。元祖KCSと全く同じVXOにするにはトランスバータ基板に図3のVXOを接続し、図3のR7を100→330Ωにするだけです。変えなくても大差は無いと思います。


図3 第48回の回路

14,21,28MHzのケースには2逓倍になります。図4のように発振回路から最終段のアンプに直結するようになっています。3逓倍とは違ってスプリアスの周波数が離れるので多少は良くなるのですが、やはりスプリアス規格的には不安があります。図2図3のように複同調を2回通す方が良いのは言うまでもありません。


図4 2逓倍で使う14,21,28MHz用のVXO部分

3.5MHzと7MHzの場合には基本波になります。図5のように発振回路のエミッタから、最終段のアンプに22pFで直結するようになっています。同じ2段でも図4とは異なり、同調回路を簡単に済ませています。


図5 基本波で使う3.5,7MHz用のVXO部分

なお、図4図5についてですが、使用しない2段目のアンプへの電源を供給する220μHと0.01μFが残っています。この図は田縁OMの指定のとおりなのですが、恐らく削除漏れと思います。残っていて支障はありませんが、取り付ける必要はありません。

回路

今回は、この逓倍なし回路のVXO基板を作製しました。この回路は図6のようになります。図5を書き直して、ツェナーダイオードをレギュレータICにしただけです。基本的には何ら相違はありません。VXO端子はバリコンを付ける端子で、図1と同じ名称にしています。

図6は、昔々と変わりません。変わるのは正規のFCZコイルが無いため、同等と言われるコイルを探すか、自分で巻くかになります。特にVXOのコイルは昔々から言われるように、再現性が低く苦労する部分です。


図6 今回作ったVXO基板の回路

元祖KCSトランスバータの回路では様々なパターンがあり、本人に考えさせるようになっていました。SSBジェネレータ基板も含めて、その考える部分が楽しかったのです。最近のキットは、当然のようにバンドは決められています。VRやスイッチ類も直接基板にハンダ付けするので手間はかかりません。ケースにもそのまま入れられるようになっています。今時ですので否定はしませんが、ほとんど想像力が湧きません。元祖KCSのように自分で想像し、骨のあるキットがあっても良いと思います。解らない、作れない・・・ というのを乗り越える事も自作の楽しみです。

製作

この基板もKiCadで図面を書き、発注しました。写真2が届いた基板になります。ハンダ面が写真3になります。これまでと同様ですが、抵抗は1/6W、コンデンサは2.5mm間隔を使います。コンデンサはそのまま、抵抗は足を90度曲げるとそのまま基板に入ります。曲げる位置を確認する必要はありません。


写真2 届いた基板


写真3 そのハンダ面

基板に問題が少々ありました。C11を入れるスペースが思いのほか狭くなり、C11はT2の足にハンダ面で直接ハンダ付けしました。これはコンデンサの厚みにもよりますが、もう少し広めにするべきでした。

次ページは「VXO基板のSG化」から

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