新・エレクトロニクス工作室
2026年8月17日掲載
今までに月刊FBニュースでもSi5351Aは第6回、第11回、第26回などで使っています。今回は令和版のKCSを作っている事もあり、まずはトランスバータ基板にあったVXOをSi5351Aに置き換えようと考えました。そのために作ったVFOです。今回は他の令和版KCS基板と合わせて、外注で基板を作りました。この基板を作るという目的もあった訳です。もちろん本来はトランシーバ内に入れて使う基板ですが、とりあえず写真1のように単体でのテストができるようにしています。

写真1 このように作ったSi5351Aを使ったVFO
今回はこのようにSi5351Aを使っていますが、KCSのオリジナルであるVXOも作りました。これは第48回、第51回になります。VXOが良い方は、そちらを参考にして下さい。
Si5351Aを使う事で有利な点が多くあります。VXOの水晶やコイルで悩まなくて済むという点や、周波数の可変幅です。特に、逓倍した時のスプリアスに悩まされる事が無いのは大きいと思います。但し、このICは内部でPLLや分周を行います。その設定方法によってはスプリアスが発生する可能性があります。設定方法は多数ありますので、答えを探しながらソフトを作る必要があります。つまり設定によってはスプリアスが多く発生します。これは慣れないと簡単ではありません。周波数が決まると設定も決まるDDSとは違うところで、最初は相当に苦労すると思います。
また、上手くソフトを作ったとしても内部で発生する僅かなスプリアスにより、受信に支障のある周波数がある場合もあります。これを完全に退治するのは難しそうです。避けたいのであれば、DDSを使う方が良いのかもしれません。ただこの場合、送信時に問題になるようなスプリアスとはならないようです。
KCSで使うとすれば、周波数はせいぜい65MHz程度まででしょう。アンプの方はトランスバータ基板に入れましたので、Si5351AのCLK0から出力します。キャリアが作れるとしても、逆に作り難くなっては仕方ありません。それは、この先に考える事にします。
今までと、ほぼ同じ回路になりますが、図1の回路としました。あまり小型のLCDを使う必要もないと考え、16文字2行のオーソドックスなタイプを使いました。基本的には、私がCQ誌2025年2月号に書いたものと、ほぼ同じです。ただ、シングルバンド用にはしています。
ロータリーエンコーダは一回転25パルスを2個使っています。ソフトで4倍モードにしていますので、一回転100ステップになります。1ステップが1kHzと20Hzですので、一回転100kHzと2kHzになります。ざっとワッチをする時や周波数を大きく動かしたい時は1kHzを使い、合わせる時は20Hzを使います。好みと思いますが、ステップの変更よりも使い勝手は良いでしょう。
今回の基板も外注で作りましたので、ハードとしては部品を入れてハンダ付けするだけです。抵抗は1/6W、パスコン等は2.5mm幅を使うのも同じです。写真2が作った基板の部品面で、写真3がハンダ面になります。2層基板のためジャンパー線はありません。従って配線は簡単です。ただ、Si5351AのモジュールにICソケットを用いるとLCDに接触します。直付けにするか、LCD側で金具を少し加工する必要があります。高周波的にもICソケットは使わない方が良いのでしょう。もちろん、LCDをパネルまでワイヤーで延長する場合は、この限りではありません。今回はそのような作り方をしませんでしたが、延長するコードを作る事は可能でしょう。

写真2 基板の部品面

写真3 基板のハンダ面
基板をハンダ付けしたところが写真4になります。LCDを付けると写真5のようになります。写真4と写真5のLCDのコネクタに赤く印が塗られている部分があります。LCDによって+5VとGNDが逆になるものがあるため、互換できない場合があります。そのため、どちらにも+5V側に赤く印をしています。他のLCDも含めて、このようにしていますので、別のLCDでも安心して入れ替える事ができます。このようにしておかないと、時々痛い目に遭います。何回も遭った事があるので間違いありません。間違うとLCDに表示は出ずに熱を持ちますのですぐに気が付きますが、手遅れです。

写真4 ハンダ付けをした部品面

写真5 LCDを付けたところ
なお、コネクタの右側に未実装のスペースがあります。ここにはDIPスイッチやジャンパーピン、あるいはコネクタを付ける事を想定しています。ソフトと連動して機能を拡張するスペースです。
ハンダ面が写真6になります。

写真6 ハンダ付けをしたハンダ面
今回は写真7のようにアクリル板を使って固定しました。アルミLアングルをネジ止めして、ロータリーエンコーダ等を固定しました。ここでアルミ板や生基板を使用しなかったのは、ここに金属を使ってもあまり意味はないと考えたためです。また、昔々LEDの表示用に使っていた緑のアクリルが残っていた事もあります。ここで使わないと更に残るでしょう。

写真7 アクリル板とアルミLアングルでベースを作製
そして各部品をネジ止めし、ハンダ付けした様子が写真8になります。これで基板が完成し、テストボードもできた事になります。

写真8 完成した様子
ロータリーエンコーダはメカニカル式の1回転25パルスです。クリックなしのロータリーエンコーダはフィーリングが固くて好みではありません。クリック付きを使って、内部の金具を外してクリックなしにしています。アルミLアングルは使える部分が少ないので、左右いっぱいに使っています。それでも余裕はないので、ツマミは細めを使っています。また、F LOCKのスイッチは実装していません。F LOCKはロータリーエンコーダの位置によって、1kHzステップが不安定になる事があるために付けています。
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