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広げよう“IOTA”の輪 ~ONE PIECE of IOTA~

その10 IOTAとの出会いに感謝!(JE6HCL 佐治氏より)

JP3AYQ 眞田真由美

こんにちは。JP3AYQ眞田真由美(Mami)です。ご縁あって月刊FBニュースにIOTA関連の記事を連載させて頂いております。今回で早くも第10回目となり第4コーナーを回りました。12回シリーズの連載も最終コーナーですが、皆様にIOTA情報を楽しんで頂けましたら幸いです。少しでも多くの方に、IOTAの魅力や楽しみ方を知って頂けるように、色々な視点からIOTAチェイシングのノウハウ、体験談や苦労話・移動レポートなどIOTAの魅力たっぷりな情報を頂いて繋げて行きます。IOTAは世界の島々を電波で巡るアワードです。あなたも一緒に電波で島への旅に出かけませんか?はまると楽しいIOTAです!

さて、前回は私JP3AYQが関西ハムフェスティバル2017の様子を、IOTAブースを中心にご紹介させて頂きました。暑い夏に行われます、ハムのお祭り通称「関ハム」。毎年7月に大阪府池田市にて行われています。入場料も無料ですので、ぜひ機会がございましたらご来場頂いて、IOTAブースへ遊びに来て下さい。

今月は、IOTA仲間でもあり、KCJ(※1)Keymen's Club of Japan(全国CW同好会)でもご一緒させて頂いています、JE6HCL佐治さんに『IOTAとの出会いに感謝!』と題しまして、IOTAとの出会いからIOTAチェイシングやサービスの楽しみ方&IOTAコンテスト参加体験などをレポートして頂きました。Home固定&移動運用も活用しながら、大変アクティブに無線を楽しまれています。これからのIOTA活動に役立つ事間違いなしの情報満載レポートです。どうぞお楽しみください。


関ハムKCJブースにて、左よりJR3XEX、JE6HCL、JO3OMA、JP3AYQ、JH3HGI

『IOTAとの出会いに感謝!』

JE6HCL 佐治 健一

皆さんこんにちは。JE6HCL佐治と申します。このたびJP3AYQ眞田さんからのご依頼で、私の感じるIOTAの魅力を自分の運用スタイルを含めてご紹介できたらと思います。

★アマチュア無線との出会い
私が開局したのはちょうど20年前の1997年、14歳、中学2年生の時でした。当時のコールサインはJO2LSV。父親(JA2NNF)が熱心なDXerだったので、「Your five nine over !!」という言葉は生まれたときから聞いていましたHi

ただ、私は父親と違って理科も数学も全くできないし、機械への興味もありませんでした。好きなのは歴史。当時の私は地元・名古屋市内にある古墳や遺跡を片っ端から自転車で回って、休みの日は博物館や図書館に入り浸っている「歴史ボーイ」でした。


関西アマチュア無線フェスティバルで1kW局を運用中の筆者

では何故Hamになったのか。それはただひとつ「賞状が欲しいから」。当時、父のシャックにはコンテストの賞状やDXCC/WAC/WAZと言ったアワードの類が所狭しと飾ってありましたので、私も世界中から山のように賞状をもらいたい!それが、私がアマチュア無線をはじめたきっかけです。

★IOTAとの出会い
開局後すぐにCWを覚えて3アマを取り、国内のコンテストやJCC/JCGをはじめとしたアワード、そしてDXCCにもチャレンジするようになりました。ただ、英語も全くダメでしたので、コンテストとペディションを中心に「Your five nine over !!」を連呼して、覚えたてのCWで「599 BK」を連発していただけですがHi

DXCCが増えていくと届いたQSLの中にAS-xxとかEU-xxとかZone等とは違う番号が書いてあるカードがあることに気がつきました。これが私とIOTAの出会いです。父親に聞いてみると「島を集めるアワードだろう」ということでしたのでさらに調べてみますと、日本周辺にも沢山、該当する場所があることが分かりました。そして実家を離れる18歳までの3年ほど一生懸命これらのQSLを集めることに力を入れました。ただお金は無いし、英語も良く分からないので結局、申請することは無く、考古学の勉強をするため大学進学で2002年に奈良市にQSY。コールサインをJO3AYNに変えて下宿のアパートからVUHFを中心に、後にはHFでの移動運用を含めて無線を続けました。しかし、DXからは遠ざかってしまったのでIOTAも頭にはありましたが結局、申請すること無く8年が過ぎました。

★IOTAを申請!!
大学を卒業後はそのまま奈良市で事務職に就きましたが毎日が同じことの繰り返しで退屈。たまたま旅行で訪れた熊本県山鹿市が気に入り、ちょうど歴史の専門職の仕事があったので転職。2010年にQSYしてコールサインは現在のJE6HCLに変わり、「アンテナを自由に上げていいよ」と言ってくれたアパートを借りました。最初、アンテナはベランダに上げたモービルホイップ1本でしたが1年半ほどでDXCCを達成、WACもできました。我が家は2階建アパートの1階の1室ですので上や隣は他人が住んでおり、アンテナには気を使います。そこで、徐々に長いアンテナに変えていき2年ほどを費やして現在のスタイルに落ち着きました。


現在の私の固定。赤枠の部分のみが我が家。

3エリア時代からほぼ毎週続けていた国内局向けのJCC/JCGサービス目的の移動運用も継続、弱小局なのでパイルに参加しても勝ち目はありませんが、パイルを浴びることの気持ち良さは何とも言えません。

QSYして3年ほどが過ぎDXCCも頭打ちになってきた頃、QSLも揃ったのでいよいよIOTA-100を申請することにしました。2エリア、3エリア時代のQSLやデータは全く使わず、3年でゼロから集めた紙QSLばかりで申請したので達成感がありました。きれいな写真の入った紙QSLは見ているだけでワクワクします。申請は2013年のハムフェア会場でJA9IFF中嶋OMにQSLをチェックしてもらったのを覚えています。それから2週間ほどして英国からアワードが届いた時は嬉しかったです。そして今年7月の関西アマチュア無線フェスティバル(関ハム)会場でIOTA-300とIOTA-ASIAを申請しました。毎回イベントブースで皆さんとぐだぐだ会話できるのもIOTAの魅力です。


IOTA-300の賞状

★IOTAをどう集めるか
Excel等を駆使してIOTAの管理をされている方が多いと思いますが、私はまだ紙ベースです。と言ってもWkd/Cfmの確認だけですが。なぜか。PCを立ち上げる時間が致命傷だからです。私のようなアパマン弱小局はクラスターにDX局(IOTA局)のコールサインが上がった時点で基本的にアウトです。パイルには太刀打ちできません。ターゲットがCQを出してからクラスターに上がるまでの数分が勝負になりますので、すぐ確認、未交信のみを確実に交信する。「先んずれば人を制す」と言いますが「待ち」「迷い」があればDXもIOTAも下手をすれば永久にCfmできなくなりますので瞬発力を一番大切にしています。それにはリグの横に置いた紙のリストが有効だったりします。


紙のリストを活用

そしてもうひとつはいかにQRV情報を掴むか。これにはブログ等で紹介されているOMさんや様々なページがありますので、仕事の休み時間でもネットサーフィンして情報の収集に努めています。ただ、移動運用先から狙うのか、固定から狙うのか。これはいつも悩むところです。確かにロケーションの良い場所にアンテナを持っていけばS9で聞こえるシグナルもありますが如何せん50Wでは届かない。固定だとS5しか振りませんが200Wなので届く。こんなことも良くありますので、アパマン、貧弱設備でも固定局は大事だと思っています。何より固定だと車の運転を考えること無くビール片手に寝そべって無線を楽しめます。


DXCCのペディションもIOTAに有効なものがたくさんあります。

★IOTAの何が面白いのか
ここまで私の無線歴を中心にお話してきましたが、ではIOTAの何が面白くてはまったのか。何が他のアワードと違うのか、私が感じたことを少しご紹介します。

まず1つはDXCCと違ってバンド、モードに関わらず「①1つでも交信できればポイントになる」。アパマンや小規模な設備でもポイントが増やせます。そして「②IOTAの信号は弱い」。このことは悪い意味で使われることが多いかと思いますが、考えてみてください。弱い局はあまりパイルにならないのでこちらの耳を鍛えに鍛えて、どうにか相手に届かせれば交信できるわけです。相手も小規模な設備が多いせいかシグナルが弱くても送受信のバランスが取れた局が多いように感じます。

そして、小規模なペディションが多いので「③運用側と呼ぶ側の距離が近い」。弱小局はコールサインをミスコピーされることもしばしば、しかも短期間のペディション等では次のQSO機会は無いわけです。虎の子の1QSOを有効にするためには相手に連絡を取ってログの確認とコールサインの修正をお願いしたり、スケジュール等を組んで再度のQSOを行なう必要が出てきます。そうした無理なお願いに結構応えてくれる局が多いのもIOTAの魅力でしょう。こうしたことが日常茶飯事ですので、おかげさまで私の英語力も格段に上達しましたHi

★IOTAを通じたお付き合い
IOTAを申請している局はDXCCのそれとは比較にならないほど少ないので前にも書きましたが、熱心なチェイサー同士は住んでいる国に関係なく、親密です。それでいて○×クラブみたいな特定のグループではありませんので全員参加の総会や宴会があるわけで無く適度に距離を保ったお付き合いができているように感じます。

今年、そうしたつながりからJN6RZM山本さんから米国の有名なコンテスターK3EST BobさんのWACA/WAGA取得支援のお願いがあり、九州内のJCC/JCGをあちこち移動運用して回る機会がありました。初めて訪れる場所もあって、景色のすばらしさに感動したり各地の銘酒を買いあさることもできました。

★初めてのRSGB IOTAコンテスト本格参加
K3EST Bobさんが最後に残ったJCCが種子島の西之表市(JCC#4614)だと聞いたので、記念すべきWACA達成は私が決めてやるぞ!と思って7月29日~31日までIOTAコンテスト参加と合わせて、初めての種子島へ行きました。私は”飛行機恐怖症”なのでどこに行くのも基本的に車か電車なのですが、釣りの趣味もありますので船はどれだけ揺れても全く苦になりません。むしろ船は見ただけでアドレナリンが噴き出してテンションが上がります。


種子島へ渡るフェリー。船はワクワクしますね。

そんなわけで興奮状態のまま種子島に到着し、これまで”つまみ食い”しかしたことが無かったIOTAコンテストに参加しました。このコンテストはJA同士のQSOももちろん有効ですし、JAはどこから出てもIOTA対象地域ですのでたくさん呼んでいただきました。K3ESTさんとももちろんQSOができて最後のJCCをプレゼントすることができました。

ただ、初めての土地に行くと仕事はしないと決めていてもその土地の土器や石器が見たくなる性分が抑えられず日中は遺跡めぐりと資料館めぐりに時間を費やしてしまいましたがHi トビウオなどおいしい海産物もお腹いっぱい食べられましたので、今度はまた違った島に移動してみたい気持ちが出てきました。なお、IOTAコンテストでのQSOはQSLカードの取得等に関係無くIOTA申請に有効です。


IOTAコンテスト移動運用風景(種子島)早速、K3ESTからQSLが届きました☆

★おわりに
ここまでとりとめの無い話ばかりでしたが、私はIOTAを通じてこの数年で眞田さんをはじめ国内外に多くの知り合いができました。飛行機はNGなのでほとんど海外にも行ったことはありませんが仕事では英語の通訳のお手伝いができるまでになり、本業でも海外に多くの知り合いができました。これもIOTAとの出会いが大きいと感じています。いつか船で世界一周して彼らの所にも立ち寄りたいと思っています。

以前は紙QSLの取得かIOTAコンテストのQSOしか有効な手段がありませんでしたが、現在はClub logでの交信照合も有効になりIOTA申請が随分と楽になりました。ぜひこの連載をご覧になっている皆さんもIOTAを申請してみましょう。こうした機会を与えていただいた眞田さんをはじめとした関係者の皆さん、そしてIOTAとの出会いに感謝!

以上、今月はJE6HCL佐治さんに、IOTAとの出会いから、現在進行中でIOTAを楽しんでおられる様子をレポートして頂きました。IOTAアワードは、佐治さんもおっしゃっていますが、ペディショナー側も気軽な個人移動が多いため、非常にチェイサーとペディショナーの位置関係が近いのも特徴です。私もIOTAを始めてから、国内・海外にたくさんのIOTA関連の知人&友人が出来ました。こういった楽しみが出来るのもまたIOTAの一つの魅力かな?と思っています。IOTAは自身の島移動でも1カウントされますので、JAの国内島移動でも世界中からのパイル体験が出来たりします。ぜひ佐治さんのようにうまく固定局と移動局を組み合わせてIOTAチェイシング&移動を楽しんで頂けたら嬉しいです。皆様のIOTAアワードへの参加をお待ちしております。よろしくお願いします。

来月は、JO3LVG桂YLさんにここ数年IOTAコンテストに台湾から参加されていますので、その実況レポートをお願いしました。今年は、BV0LのメンバーとしてSHIAO LIUCHIU ISLAND(AS-155)よりIOTAコンテスト2017に参加されました。台湾は比較的日本にも近くて、お気軽に行けるDXの島です。台湾文化を含めて海外移動&IOTAコンテスト参加レポートを書いて頂く予定です。どうぞお楽しみに!

IOTA申請に関する情報は、IOTA CP JAのJA9IFF中嶋さんが日本語でHPを開設しています。ご質問・お問い合わせはお気軽に!
http://www001.upp.so-net.ne.jp/ja9iff/iota.html

(※1)KCJ  Keymen's Club of Japan(全国CW同好会)
KCJはアマチュア無線愛好者で電信をこよなく愛する人々が集まった同好会です。去年は創設40周年を迎えました。アワードの発行やCWコンテストの主催など電信の普及に力を入れています。現在の会員数は約230名。和文・英文問わず、アワードハンター、コンテスター、電信ラグチュー派など、プロ級の達人から私のようなへぼOPまで、たくさんのCW大好きなメンバーが集まっています。詳しい事は↓のHPにて。
http://www.kcj-cw.com/j_index.htm

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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