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車内シャックの構築と運用

その2 正弦波インバーターの設置

月刊FB NEWS編集長 JS3CTQ 稲葉浩之

正弦波インバーター

車内でパソコンを使用する場合は基本的にはAC電源が必要です。そのためには、バッテリーのDC12VをAC100Vに変換するDC-ACインバーターが必須となります。車種によってはインバーターが標準装備されているものや、グレードによってオプションで装着可能な車種もありますが、インバーターが装備されていない車両の方が多いでしょう。今回当方が導入した車種でも、最高グレードだけは標準装備でしたが、購入したグレードには備えられていませんでした。

当方はRTTYモードも運用するためパソコンは必須であり、さらに他モードの運用も含めて電子ログを利用していますので、運用時にはパソコンが手放せません。ノートパソコンによる比較的短時間の運用であればバッテリー駆動でも問題ありませんが、今回導入したのは、パソコン本体とモニターが別々で、それぞれAC電源を必要とするタイプのため、インバーターを設置しました。


助手席シートの下に設置したDC-ACインバーター(リアシート側から撮影)

市販のインバーターには大別すると正弦波タイプと矩形波(疑似正弦波)タイプがあります。それぞれの詳細は専門のホームページなどをご覧いただくとして、新たに購入するのであれば、コストは上がりますが正弦波タイプをおすすめします。矩形波タイプは正弦波タイプに比べてノイズを出しやすいだけでなく、相性問題で動作しない電子機器があるからです。以前、安価な矩形波タイプを導入した際には、パソコン(のACアダプタ)が動作しない、またローテーター(移動運用で使用)が回らないということを実際に経験しました。

さらに言うならば、正弦波タイプでアマチュアバンドにノイズを出さない、もしくは極めてノイズが少ない製品がベターですが、製品の輻射ノイズ量を公表しているメーカーなど無く、こればかりは実際にインバーターを手にして使ってみなければ判らない、というのが正直なところです。高価なものが必ずしもベターという事ではありません。

さて、今回は前代車両から降ろした350Wの正弦波インバーターを流用しました。配線は前号でご紹介したアイソレーターからいったん配電盤PD-30を経由して接続しましたが、直流的にはサブバッテリーと常時直接繋がっている状態です (PD30のリレーは通過させず)。


前代車両から流用した電菱製SK350-112 (DC12V入力、AC100V出力)
(写真はメーカーホームページより)

設置場所は助手席シート下の空きスペースを利用しましたが、ここにはリアヒーターの吹き出し口もあるため、床から少し浮かせました。


市販のステー金具を使用して、床から少し浮かせた

サーキットブレーカーを電源スイッチに代用

またインバーターには電源ON/OFFスイッチが備えられていますが、このインバーター(SK350)の場合、電源スイッチが背面にあって、当方の設置状態ではかなり操作がしにくいため、接続ケーブル(8SQ赤黒線)のプラス側(赤)の途中にサーキットブレーカーを挿入して、これを電源スイッチに代用しました。


助手席左側の小スペースに設置(ネジ止め)したサーキットブレーカー
(ナイロンコネクタはインバーターメンテナンス時に簡単に取り外せるように挿入した)

今回は電源スイッチとしての使用のため50Aのサーキットブレーカーを使用しましたが、サブバッテリー直近に入れたAGUヒューズが40Aなので、機器トラブルなどで大電流が流れた際には、このブレーカーが作動する前に40Aヒューズが溶断するハズです。


今回使用したサーキットブレーカー
(電源スイッチとして使用)

さて、インバーターには無視できない程の待機電流(無負荷時に流れる電流)が流れ、この350Wタイプですら0.2A程度流れるため、使用しないときは電源を切っておかないとサブバッテリーを消耗してしまいます。そのためサーキットブレーカーで毎回電源を切ることにしました。なお、先に紹介したアイソレーターと同様にACC(車両のアクセサリー機能)連動でインバーターの電源をON/OFFさせる事もできますが、運用中は基本的にエンジンを止めており、すなわちACCはオフの状態ですので、この機能は使用しません。


正弦波インバーターからのAC100V出力は、定格内の電力であれば、ほとんどの電子機器に使用できます。当局の場合は、現時点で、1.パソコン、2.LCDモニター、3.首振り扇風機の3つの電気製品に使用しています。

近年では大容量の正弦波インバーターも比較的安価に入手できるようになり、小容量タイプとの価格差は小さくなってきました。しかし、大容量タイプは待機電流が大きいので、一概に余裕があればあるほど良いというわけでは無く、新たに購入する場合は、用途に合わせた容量の正弦波インバーターを入手されることをおすすめします。例えば3000Wの正弦波インバーターの場合、無負荷でも1A以上流れるようですので、大容量のものを使う際には、運用休止中などACを使用していない時はこまめに電源を切ることをおすすめします。

ご参考

さて、当方が流用設置したインバーターの出力350Wでは電力不足で湯沸かしポットが使用できず、移動先でお湯を沸かしてカップ麺を食べたり、インスタントコーヒーを飲んだりすることができません。

そのため、車中泊で移動運用に出かけるときなどは、別途、前代車両でサブバッテリーとした使用していたディープサイクルバッテリー(105Ah)と1000Wタイプの矩形波インバーターも積んでいく予定です。このインバーターは安価でしたが、ノイズが出るのであくまでも湯沸かし専用として使用し、運用中には使用しません。マイコン非内蔵で湯を沸かす機能だけの湯沸かしポット(定格550W)ですが、問題なく使用できています。もちろんディープサイクルバッテリーの方は、湯沸かし目的だけでなく、サブバッテリーと併用して運用にも使用する予定です。


矩形波インバーターで使用できた湯沸かしポットの一例

次号予告

次号ではDC-DCアップバーターの設置についてご紹介します。

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