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テクニカルコーナー

IC-705でアンテナチューナーAH-4を使う

JK3AZL 高岡奈瑞

IC-705の販売店向け出荷が開始されました。IC-705専用アンテナチューナーは「発売予定」ですが、「すぐにIC-705でワイヤーアンテナを使いたい」ので、IC-705でAH-4を使えないか検証してみました。

IC-705 TUNERジャックとプラグのピンアサイン

IC-705は右側面に「TUNERジャック」があり、「後日発売されるIC-705専用アンテナチューナーが接続できる」とされています。


IC-705のTUNERジャック位置。

TUNERプラグは3極ステレオプラグで、先端から[KEY]・[START]・[GND]が割り当てられています。


IC-705 TUNERプラグのピンアサイン。

IC-705にAH-4を接続するには

IC-705にはIC-7610やIC-7300のようなAH-4接続コネクタはありませんが、TUNERジャックにAH-4側からの各制御線とGNDを接続し、AH-4に別途13.8Vを供給すれば、IC-705でもAH-4が使えるようになる…はずです。


AH-4とIC-7300の接続図。AH-4は無線機本体から13.8Vが供給されて駆動する。


AH-4とIC-705の接続図。同一の外部電源にAH-4とIC-705を接続し、GND端子から正しくアースを取っておく。

IC-705にAH-4を接続するため、Φ3.5ステレオプラグのチップとリングにAH-4側からの各制御線(KEYとSTART)およびGND線を接続し、13.8Vを別途供給できるように加工します。Φ3.5ステレオプラグはパーツショップなどでも入手できますが、動作検証するだけの場合、ネジ止め式の変換コネクタは便利です。


3ピン端子に直接配線できるネジ止め式変換コネクタは、配線確認に便利。

IC-705とAH-4を接続するには、下記どちらかのケーブルを用意します。
(1)Φ3.5mmプラグを使い、IC-705接続専用に加工したAH-4コントロールケーブル。
(2)AH-4用コネクタ(メス側)パーツを使い、AH-4コントロールケーブルのコネクタに取り付ける変換ケーブル。

(1)の場合、AH-4付属コントロールケーブルを加工してしまうことになるので、これは避けたいと思い、別途購入した4芯シールドケーブルの片側をAH-4のJ2コネクタに、もう片側をIC-705に接続できるよう加工しました。(上の結線図の赤色の部分)


購入した4芯シールドケーブル。1m単位で購入が可能で、10mを越えると割引がある。

(2)の場合、ケーブルは数十センチ程度で十分なので、AH-4標準付属のコントロールケーブルが短くなっても問題ない場合は、AH-4の本体側から必要な長さを切って利用しても良いでしょう。また変換ケーブルのAH-4側コネクタ(メス側)のシェルとピンは、アイコムのサポートセンターメールフォームで購入(代引き)を依頼できます。


AH-4コネクタ用パーツは、アイコムのサポートセンターメールフォームから注文できる。


AH-4用コネクタ(メス側)パーツを取り寄せて自作した変換ケーブル。

接続と動作確認

IC-705が手元に届いていないため、動作確認はハムショップの展示機をお借りしました。AH-4接続前のIC-705ファンクション画面を確認すると、当然ですが[TUNER]は選択できません。


AH-4接続前のIC-705ファンクション画面。

次にAH-4とIC-705をどちらも電源OFFの状態で同じ安定化電源に接続し、AH-4→IC-705の順に電源を投入します。IC-705のファンクション画面を確認すると、今度は[TUNER]の文字が白地で表示されており、長く(約1秒)タッチするとOFFからONに変わりました。


AH-4接続後のIC-705ファンクション画面。

外部アンテナチューナーでチューニングを開始するとIC-705画面左上に[TUNE]表示が赤く点滅し、チューニングが取れると[TUNE]表示が点灯に変わります。


IC-705画面左上のTUNE表示。チューニングが取れると図のように点灯する。

AH-4使用時の注意と専用アンテナチューナーへの期待

AH-4をIC-705に接続して理論的に動作することが確認できました。実際に問題なくチューニングも取れましたが、他の無線機と比べるとチューニング完了の検出がシビアなバンドもあるようです。AH-4のチューニングパワーは10Wで、AH-4の取扱説明書には「10W機をご使用の場合は、送信出力をハイパワー(10W)に設定してください」の記載もあります。結論として、IC-705にAH-4を接続した運用は可能ですが、暫定的な運用と割り切ることも必要だと感じました。

コンパクトでバッテリー運用も可能なIC-705。楽しさを最大限に追求するには、一日も早く専用アンテナチューナーが欲しい! と改めて感じました。


北海道旭岳山頂にて。ID-51にRH-770を使って144MHz/430MHz帯で通信した。
IC-705と専用アンテナチューナーがあれば、さらに無線の楽しさが広がりそうだ。

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